学校現場は甘くない! 手立てと教師力の両方が必要である
2018/2/20 掲載
- 著者インタビュー
- 学級経営
今回は多賀一郎先生に、新刊『大学では教えてくれない 一年を乗り切る学級づくり教師力を高める方法と心構え』について伺いました。
―前著『大学では教えてくれない 信頼される保護者対応』は、保護者対応に悩む先生方にたくさんお手に取っていただきました。今作は、満を持して、“学級づくり”です。……あれ? 教職課程のある大学でも、「学級づくり」って教えてくれないのですか?
最近は「学級経営講座」などのカリキュラムも出てきましたが、まだまだ大学では採用試験対策が中心で、採用されてからのことまでは指導されていません。丸腰で現場に出ていくのが現状です。
―学級経営を教えている大学はまだわずかなのですね。とりわけ小学校は、4月の学級経営がすべて! とも聞きますが……。
四月でのボタンの掛け違えがしだいに影響を及ぼして、学級がうまくいかないという姿をよく見かけます。ベテランでも崩れてしまったものを立て直すのは大変です。4月がすべてとまでは思いませんが、まずはスタートでつまずかないことが大切です。
―本書は、副題に「教師力を高める方法と心構え」とあるように、活動の意義や理念、考え方といった、これから長く働いていくための土台となる力について考えるための本になっています。多賀先生ご自身もネタを使って授業をされることもあるそうですが、あえて本書を“すぐに使える”というものにされなかったのにはどんな理由があるのでしょうか。
ネタばかりでスタートして、途中でつぶれてしまった若手をたくさん見てきました。ネタばかりやっている先生は楽しいですが、本筋としての学びは提供できません。力量の高い先生がネタをするならよいでしょうが、ネタをしつつも自己の力量形成をしていかなければ、どこかでうまくいかなくなるでしょう。
―本のカバーには、「夢の仕事か?厳しいブラック企業か?」という、ちょっとドキッとする言葉が載っています。教師という仕事のいろいろな面をご覧になっていらっしゃる多賀先生だからこそのお言葉だと思いますが、それでも教職が「やりがいのあるすばらしい世界」と言い切れるのはなぜですか。
僕は多くの教え子たちが共に人生を楽しんでくれます。そんな仕事は他にありません。100人教えて100人ともが慕ってくれるということはあり得ませんが、一割でも二割でも共に呑みに行けるような関係になれれば、人生はすばらしいと実感しますよ。
―最後に、この春から教壇に立つ読者の先生方に向けてメッセージをお願いします!
この本は、僕が教師教育をやってきて見てきた若手のつまずきを基に書いています。学校は最初の三年間を乗り切ったら、とりあえずやっていけます。失敗や過ち等はたくさんあるでしょうが、それを超えるだけのやりがいもある仕事です。楽しく教師生活を送れるように、この本は手助けになればうれしいです。
(構成:林)
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