- はじめに
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- 第1章 プロ教師への第一歩
- 全ての教師が押さえておくべき「常識」
- 1 プロ教師とはなにか
- 2 プロ教師と経験年数
- 3 プロは見通しを持つ
- 4 プロは限界を知る
- 5 プロは使う言葉が違う
- 第2章 プロ教師の“秘訣”50
- 「プロ」か「アマチュア」か,行く末を決めるは自分自身
- 「原則論」を見つめ直す
- 1 子どもとはなにか
- 2 学校とはどんなところか
- 3 学級はどうあるべきか
- 4 授業とはなにか
- 5 教師の仕事とはなにか
- 6 子どもの成長とはなにか
- 7 言葉はなぜ大切なのか
- 8 性格とはなにか
- 9 学力とはなにか
- 10 家族とはなにか
- 11 評価とはなにか
- 12 教師と子どもはどんな関係か
- 「学級づくり」「授業づくり」を見つめ直す
- 13 授業づくりと学級づくりの関係
- 14 授業を楽しむ心
- 15 プレゼンテーション力
- 16 構造的な板書力
- 17 意図的なノート指導
- 18 家庭学習〔宿題〕
- 19 学校,学級のルール
- 20 時間を守る意識
- 21 食育と学校給食への認識
- 22 清掃指導
- 23 学級会の運営
- 24 学級通信,文集への配慮
- 25 道徳教育と躾の違い
- 26 学校行事への取り組み方
- 27 年間指導計画と見通し
- 28 研究授業の位置づけ
- 29 参観授業の位置づけ
- 30 保護者会への姿勢
- 31 家庭教育への関わり方
- 「子どもの成長と発達」を見つめ直す
- 32 子どもの見方
- 33 結果が伴わないとき
- 34 発達段階とレディネス
- 35 思春期の子ども
- 36 子どもの居場所
- 37 子どもが見せる姿
- 38 子どもへの好き嫌い
- 39 グレーゾーンの子どもたち
- 40 子どもにとっての遊びの価値
- 「教師の言葉の重み」を見つめ直す
- 41 子どもへのコメント
- 42 褒めること
- 43 叱ること
- 44 ユーモアと皮肉
- 45 教師の言葉の影響力
- 「教師の仕事」を見つめ直す
- 46 身だしなみ
- 47 休み時間の過ごし方
- 48 体調管理と休暇
- 49 研究への姿勢
- 50 職場外の仲間
- 第3章 「プロ中のプロ教師」への道
- 一流から聞き取る,対談的インタビュー
- プロ教師に聞く!
- Vol.1 八巻 寛治 先生
- Vol.2 中村 健一 先生
- Vol.3 山田 洋一 先生
- 対談的インタビューから分かる「プロ中のプロ教師」論
- おわりに
- 参考文献
はじめに
「学級崩壊」という言葉は,20年前には存在していなかった言葉です。それが,今や,全国の学校現場を席巻しています。
確かに,今の教育現場は課題が多くて,教師が簡単にはやり遂げていけない状況がたくさんあります。どんなベテランのクラスでも,崩壊していく危険性を持っています。
しかし,プロ教師としての最低限の意識と知識を持ち合わせていれば,崩壊にまで至らなくて済む場合も,たくさんあるように思えます。
「プロ教師」という言葉を出すと,
「自分には,ほど遠い話だ。」
「いつかはプロ教師になるために,努力している。」
というような声が聞こえてきそうですが,プロ教師とは一流の教師のことでも,全国的に有名なカリスマ教師のことでもありません。
教師になって,子どもたちの前に立ったときから,本当は全ての先生がプロ教師なのです。でも,実際には,プロ教師になりきれない教師がたくさんいます。
プロ料理人を例にして考えてみましょう。三つ星レストランのシェフや老舗の料亭の板長さんはプロ料理人で,町の小さな居酒屋やスーパーの総菜屋さんで料理を作っている人は,プロ料理人ではないのでしょうか。
そんなことはないですね。
料理を作って多くの人に食べていただき,それでお金をもらって職業にしている点では,どちらも全てプロの料理人なのです。
もしも,スーパーの総菜屋さんで調理をしている方が,ご自分の作った料理のことを
「私は新入りで,まだまだプロではないので,そんなに美味しいものは作れません。」
と言ったら,そのお店の料理は誰も買わなくなるでしょう。新入りであれ20年目であれ,人様に料理を提供する以上は,全てプロなのです。
教師だって,同じです。
初任者でも20年目のベテランでも,子どもたちに授業をしたり,担任したりする以上は,全てプロ意識というものを持っていなければならないということです。
「私は新任なので,うまく授業ができません。ごめんなさい。」
「まだ3年目なので学級経営は下手ですが,一生懸命やります。」
と言ったら,保護者が安心して子どもを任せようと思うでしょうか。
特に教師という仕事は,初年度から担任を任されることも多く,ベテランも若手も同じ責任と仕事を課せられる場合が多いものです。あまいアマチュア意識では,とうていやり切ることが,できません。
プロ教師としての自覚と心の持ち方を,この本を通して振り返ったり,発見したりしてほしいと思います。
僕は自分自身を低レベルだが,プロ教師だと思っています。美味しいものを安く提供する町の居酒屋の料理人だと思っています。
だから,一流のシェフを目指す人,つまり,世に言う「カリスマ教師」,一流のプロ教師を目指している先生には,僕の言葉は必要ないでしょう。
この本は,全ての先生たちにプロ教師になってもらうための本です。ここに書いてあることは,一流のプロ中のプロから見れば,常識に近いことばかりかもしれません。
でも,それに気づけないアマチュアのような教師もたくさんいるのです。
第3章では,八巻寛治さん,中村健一さん,山田洋一さんと,僕がプロ中のプロ教師だと認める三人の小学校の先生方に,無理をお願いして対談的インタビューをさせていただきました。
普段の会話のような対談の中で,先生方の生の姿を引き出せたと思います。
全く違うタイプの先生方の言葉には,珠玉のメッセージが詰まっていました。普通の教育書には書かれない,リラックスした言葉の中にある,実践家の生き方というようなものを感じてもらえると思っています。
この本が,全ての教師がプロ教師になるためのきっかけになれば,幸いです。
/多賀 一郎
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