- プロローグ─夢の破れることがある
- Chapter1 必ず知っておきたい 初任者が直面する学校現場の現状
- 1 話を聞いてくれない子どもたち
- 2 保護者は優しくない
- 3 教室の「あの子」の存在感
- 4 同僚・先輩もいろいろ
- 5 忙しくて何をしているか分からなくなる
- Chapter2 「学級づくり」とはそもそも何か
- 1 現場の細かいことは,大学では教えない
- 2 初日から知らないうちに学級はつくられていく
- 3 力量が足りないことを自覚せよ
- 4 怒ってばかりでは学級づくりにならない
- 5 まずは自分のできることからやる
- @教師として,今できることは?
- Aネタに頼る怖さを心得よ
- B遊ぶのも仕事である
- C笑顔をつくる
- Chapter3 新年度のスタートに必要なこと
- 1 自分のアピールをする
- @子どもへのアピール
- A保護者へのアピール
- B通信でアピール
- 2 子どもと仲良くなる
- 3 挨拶で学級づくり
- @いろいろな挨拶の声
- A返事のタイミング
- B目上の人への挨拶の仕方
- C表情の大切さ─手鏡を用意して
- 4 授業のルールを示す
- @ルールは少なめに
- A学校のマジョリティには従う
- Bなかなかできない「徹底」
- 5 一日のタイムテーブルを示す
- 6 掃除ができるクラスは安定する
- @ブロークンウインドウ理論
- A自根清浄
- B教師がゴミを拾ってもいい?
- 7 子どもが成長する班活動をする
- @生活班と学習班
- A班のめあて
- 8 席替えも学級づくり
- 9 給食指導の考え方
- 10 一人一人とつながるために
- @日記,振り返りジャーナルなど
- A子どもとの時間をつくる
- Chapter4 スタートを乗り切ったころに考えること
- 1 学級はいくつもの波に見舞われるものである
- 2 五月病―教師にも子どもにも
- 3 連休明けの子ども対応
- 4 6月くらいから本当の姿が出る
- @新年度スタート時の子どもとの違い
- A記録が勝負になる
- 5 乱れ始める時期に向けて
- @6月・11月・2月に気を付ける
- A荒れないための予防
- B「続ける,徹底する」とは,どうすることか?
- Chapter5 子ども同士の関係づくり
- 1 放っておけば,どうなるのか?
- 2 関係に立ち入るのは難しい
- 3 学級の“ムード”をつくる
- 4 いじめ問題は一人で対応しない
- Chapter6 学級づくりに欠かせない行事指導
- 1 なんのための行事か?
- 2 行事の後が荒れやすい─だからこうする
- 3 ベテランには一年間の見通しがある
- Chapter7 個人面談の在り方
- 1 悪いことを言う必要はない
- 2 子どもにとってプラスになることを
- 3 クレームは一度のみこむ
- 4 特別な準備のいらない方法
- Chapter8 学級づくりにおすすめの絵本
- 1 なぜ絵本なのか
- @簡潔に完結
- A自分だけの「対話」ができる
- B子どもたちが一心に聞き入る
- 2 使える学級づくりのアイテム
- エピローグ
プロローグ
─夢の破れることがある
「今の学校現場は,甘くありません。」と,僕は学生たちに語っています。
毎年,たくさんの先生方の相談にのっていますが,多くの若い先生方が苦しんでいます。
「バラ色の教師生活を送っているなどという人は一人もいません。」
とまで言うのは,言い過ぎかも知れませんが,数少ないと断言します。
だから,僕はこの本では,甘いことは書きません。
夢を持って現場に出たその日から,どんどん夢は壊れていきます。よほどいろいろな人間関係に恵まれることでもないと,苦しみの連続です。
例えば,心許せる同僚,面倒見のよい先輩,おおらかな管理職,素直な子どもたち,協力的な保護者等ですね。そういう方たちに恵まれない限り,いきなり大きな壁にぶち当たるのです。
初任者が直面する学校現場の現状は,次のようなものです。
1 話を聞いてくれない子どもたち
2 優しくない保護者
3 教室の「あの子」の存在感
4 同僚(先輩)も時には敵と化す
5 忙しくて何をしているか分からなくなる
これらは,ほぼ同時に起こると言っていいでしょう。落ち着いて一つ一つにじっくりと対応することなんてできません。
そして,その中でくたくたに疲れていきます。
大阪では,新任の先生が六月に突然学校に来なくなって,親も連絡がとれず,捜索願が出されることがありました。二日後に発見されたのですが,そのまま休職して,八月に退職していきました。
2006年に東京都に就職した新任女性教師は,その年の12月6日に自殺しました。あまりにも多忙で,何かのトラブルに対応するどころではなかったのです。先輩の言葉が彼女を追い詰めていきました。
若い人たちばかりではありません。一般教員が精神疾患で休職する率は,およそ0.6%です。15人に一人は精神を病んで(ほとんどが鬱ですが),休職するということです。各校に二人くらいは毎年のようにそういう先生が出てくるということです。
そういう世界で生き抜いていくには,覚悟だけではどうにもなりません。真面目さだけでも通じないのです。実際,休職する先生のほとんどは真面目な方なのですから。
このような現状を踏まえて,そこを乗り切るにはどうしたらよいのかということを考えて,本書を記しました。新卒三年目までの先生方に乗り切り方を伝授したつもりですが,中堅の先生もご自分を振り返るというおつもりで読んでくだされば,きっと意義のあることがいくつか見つかると思います。
教師に向いていない方は確かにいらっしゃいます。そういう方は新しい道を選択すればいいのです。しかし,その見極めもできずに教壇から去っていくのはなんとも哀しいことです。能力のある真面目な教師が潰された例を,僕はたくさん知っています。
教師と言う仕事は,実にやりがいのある仕事です。この本が,少しでも若い先生に光を当てられたら,幸いです。
追手門学院小学校 /多賀 一郎
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- 明治図書
- この本は本当にいろんなことが書かれているので、学校の先生についての勉強(学級づくり、子どもとの関わり方、保護者対応など)どこからすれば良いか分からないという方におすすめの本です。私が大学生のとき著者の多賀一郎先生に会ったことがあり、それで手にした本でしたが内容も初任の私にはぴったりでとても読みやすく、様々な実践や対応例についてはぜひやってみようと思いました。2020/4/2420代・小学校教員
- 来年度から先生になる人たちにおすすめ。2020/2/2230代・小学校教員
- 多賀先生が学級びらきについて、或いは一年を乗り切る方法と心構えについて述べられた、待望の書だと思いました!2018/4/140代・小学校教諭