- 著者インタビュー
- 授業全般
授業の中に体験や活動を多く取り入れることです。今風に言えば、アクティブ・ラーニングということになるでしょうか。
理科で化石を学ぶのであれば、実際に化石の発掘体験をさせてみたり、社会で県の特産品を学習するのであれば、紙粘土でミニチュアをつくって、特産品マップにしてみたり(本書p.112〜113)など、授業に体験や活動を積極的に取り入れます。準備や段取りに多少の手間はかかりますが、それだけの効果はあると信じています。
話し合いの結論を作者に尋ねてみる技(本書p.24〜25)です。
国語の物語文の授業では、討論が拮抗し決着がつかないことがあります。そんなとき、教師がおもむろに携帯電話を出して「それじゃぁ、この答えを作者に聞いてみましょう」と電話をかけます。
「ふむ、ふむ。そうですかぁ」などとうなずきながら「○○さん(筆者)に聞いてみたら、○○なんだって」と伝えます。子どもたちの疑惑の視線を感じつつ「なぜかというとね…」と理由を述べます。こうして子どもたちの注意を引きつけながら、教師の解を述べます。「絶対アヤしい…」と言いながらも、子どもたちは真剣に耳を傾けます。
子どものやる気がグンと上がる赤ペンのサインの技(本書p.134〜135)です。小さなことですが、提出物に入れるサインも、子どもの努力を認め、さらなるがんばりを引き出せるように工夫しています。
例えば、子どもの提出物を3段階で評価しようとするとき、A、B、Cと書くのではなく、AAA、AA、Aと書きます。つまりAAがBに、AがCに該当するわけです。ほんのちょっとのことですが、子どもにとってAと書かれることは大きなモチベーションにつながります。
また、花まるやAに目や口をつけるだけで、ちょっとしたキャラクターに変身します。かいているうちに様々なバリエーションが生まれ、教師も子どもも楽しくなってきます。
理屈や指導者の思いだけでは子どもは変わりません。具体的な指導の工夫を一つひとつ積み重ねることでしか子どもは変容しないのです。理屈や思いを百万遍語ったところで、子どもは1ミリもよくなりません。薄皮を1枚1枚重ねるように、具体的な指導を積み上げることでしか子どもは変わらないのです。本書では、薄皮ではあっても、優れた思想の具体の表れと自負する「授業の小技」を紹介します。