著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
効率と同時に充実も視野に入れて、時間の価値を高めよう
栃木県小山市立大谷東小学校山中 伸之
2018/2/16 掲載
  • 著者インタビュー
  • 教師力・仕事術
 今回は山中伸之先生に、新刊『30代、40代を賢く生き抜く! ミドルリーダーのための「超」時間術』について伺いました。

山中 伸之やまなか のぶゆき

1958年栃木県生まれ。宇都宮大学教育学部卒業。栃木県公立小中学校に勤務。
著書に、『今日からできる 学級引き締め&立て直し術』 『新任3年目までに身に付けたい 保護者との関係構築術』  『話し合いができるクラスのつくり方』(以上、明治図書)『全時間の板書で見せる「わたしたちの道徳」』『ちょっといいクラスをつくる8つのメソッド』(学事出版)『キーワードでひく小学校通知表所見辞典』『できる教師のどこでも読書術』(以上、さくら社)『できる教師のすごい習慣』『忙しい毎日が劇的に変わる 教師のすごいダンドリ術!』(以上、学陽書房)他多数。

―ミドルリーダーにとって、若手の指導、育成は重要な仕事の1つです。山中先生は、若手と同じ学年を組んだら「自分の学級経営はすべて公開する」と宣言するそうですが、それにはどのようなメリットがあるのでしょうか。

 最も大きなメリットは、自分の学級経営を若い先生方に参考にしてもらえるということです。特に初任者の場合は、自分でも何が問題なのかがわからず、失敗したときに傷口を広げてしまうことがあります。問題が大きくなると、それを解決するために多くの時間・手間・心労がかかります。学級経営をすべて公開することで、若い先生方に自分の学級経営を振り返ってもらい、早めに軌道修正をしてもらうことができます。さらに、若手から質問を受けたり、やってみてうまくいかなかったことなどのフィードバックが得られれば、情報の交流も活発になり、自分の力量アップにもつながります。

―ミドルリーダーにとって、時間を拘束される多くの会議、打ち合わせは、悩みの種の1つです。例えば、学年での打ち合わせを効率化するためには、どうすればよいのでしょうか。

 打ち合わせの本質は、メンバーが戸惑うことなく行動できるための情報交流だと捉えています。そう捉えると、毎日のルーチンやすでに決まっていること、各教師の裁量で行って差し支えない内容の伝達などは必要がありません。また、主任が決めて差し支えない内容の伝達は短時間で済みます。協議の必要がないからです。
 また、「打ち合わせは○分でやろう」と予め決めてしまうことで、内容を精選し情報量を減らすこともできます。さらに、同一歩調にこだわらない、統一は最小限にする、などの方策も有効です。

―本書では「管理職を動かし時間を生み出す」方法の1つとして、何か計画を立てる際に管理職に「根回しをする」ことの重要性が述べられています。この「根回し」が意味するところを教えてください。

 新しい計画について理解し判断してもらうには、説明する機会や検討してもらう時間が必要になります。何の相談もなくいきなり回議されても、即座に理解し判断できる人はほとんどいません。十分に理解されないままに判断されてしまうこともあるでしょう。
 そこで、正式な計画を立てる前に、管理職に「なぜこのような計画を考えたか」「メリットは何か」などを話し、十分に理解してもらいます。その際に管理職の意向も伺えば、変更のポイントが明確になっているので計画も立てやすくなります。これが「根回し」で、結局この方が時短につながります。

―ミドルリーダーにとって仕事と家庭の両立は重要なテーマで、本書でもそのための工夫に多くのページが割かれています。そこで、本書第10章で紹介されている「家族のために時間を生み出す」方法の中から1つご紹介ください。

 「内平らかに外成る」と言います。これは一国と外交の関係を表していますが、家庭と社会の関係も同じだと思います。家庭が平和ならば仕事も成功しやすいでしょう。
 そのためには、家族を優先することです。もちろんすべて優先というわけにはいきません。そこで、家族を優先する「行事」をいくつか決め、関係の職員に可能な限り早く宣言をします。例えば、「5月20日は子どもの誕生日なので定刻に帰ります」というように。こうしておいて、その日に定刻に帰れるよう仕事を調整するのです。
 このやり方を、同僚にも積極的に勧めます。それが、学校の働き方改革にもつながります。

―最後に、読者の先生方へメッセージをお願いします。

 ますます忙しくなる学校現場にあっては、「いかに短時間で仕事を終えるか」に大きな関心が向けられています。確かに、仕事が早くなれば、時間的なゆとりが生まれます。しかし、私たちは仕事が早く終われば充実感を味わえるのでしょうか。どうも、私にはそうではないように思えます。私たちが充実感を覚えるのは、時間の長短にかかわらず、子どもたちの姿に成果を見たときでしょう。つまり、私たちは効率だけを求めているわけではないのです。本書では、効率と同時に充実も視野に入れて、時間の価値を高める実践を紹介しています。どうぞ本書の活用によって、毎日をさらに充実させてください。

(構成:矢口)
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