著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
8つの菊池メソッドでほめ言葉があふれるクラスをつくる!
「菊池道場」主宰菊池 省三
2018/2/16 掲載
今回は菊池省三先生に、新刊『菊池省三 365日の学級経営』について伺いました。

菊池 省三きくち しょうぞう

愛媛県出身。「菊池道場」主宰。
小学校教師として「ほめ言葉のシャワー」など現代の学校現場に即した独自の実践によりコミュニケーションカあふれる教育を目指してきた。2015年3月に小学校教師を退職。自身の教育実践をより広く伝えるため、執筆・講演を行っている。

―本書には、菊池先生の特徴的な実践(8つのメソッド)の解説と、それを生かした1年間の学級経営の取り組みが載っています。そこで、まず菊池先生にとって、1年間の学級経営の柱は何かを教えていただけますか。

 私の学級経営の柱は、「言葉で人間を育てる」という考え方です。「ことばが育つとこころが育つ。人が育つ。教育そのものである」という大村はま先生のお言葉から、この考え方はきています。そして、その言葉の核は、「ほめ言葉」であると私は考えています。「人は、ほめられたとおりの人になる」という言葉があります。公社会に役立つ人間を育てるために、一人残らず成長させるという覚悟をもって、1年後のゴールを見すえながら1年間の学級経営をスタートさせるのです。

―1章では、「ほめ言葉のシャワー」「価値語」など、菊池先生の特徴的な実践が詳しく解説されております。非常にオリジナリティのある実践だと思うのですが、先生がこのような実践に取り組まれてきた理由を教えてください。

 33年間の教職人生の中で、「荒れた学校」にも赴任しました。そんな中で、従来の指導法では子どもたちは変わらないということを実感しました。過去の「教師の権威」に守られて行う一斉指導型の指導スタイルでは、子どもたちは成長しないということです。美点凝視で子ども一人一人のよさを伝え、考え方や行動をプラスに導く価値ある言葉を植林し続けることが必要だと気づいたのです。そのような指導観を変える必要にせまられた中から、「ほめ言葉のシャワー」や「価値語」といった成長を自覚させる指導法が生まれてきたのです。

―2章の冒頭では、新学期前の準備と初日の学級経営のポイントが示されています。先生は、学級開き前にどのような準備をされていたのでしょうか。

 学級開きの短い時間でも、「全員をほめる」ための準備をしました。様々なデータに目を通したり、過去の担任に聞いたりする内容の中からも、ほめる材料を徹底的に探しました。出会った時には、具体的なほめ言葉の場合もありますが、「笑顔で目を3秒間は見つめる」「やさしく肩をたたいたり、笑顔で握手をしたりする」といった非言語も含めて、「全員をほめる」という覚悟を決めていました。ラポール関係をつくるための親和表現も大切にしたのです。それら一つ一つに、「一人一人を必ず成長させる」という覚悟をもっていました。

―2章では、様々なメソッドを生かした学級経営の取り組みが紹介されています。なかでも、価値語は何度も登場しますが「価値語づくり」や「価値語指導」のよさとは何でしょうか?

 「言葉は実体験を求める」という言葉があります。大好きな言葉です。プラスの言葉は、プラスの人間を育てることにつながると思います。「一人が美しい」「Dの言葉からYの言葉へ」「価値ある無理をしよう」などです。これらは価値語です。「言葉を植林する」という言葉もあります。我々教師が心がけておきたい言葉です。これからの時代を生き抜く子どもたちに必要な、価値ある言葉をほめたり叱ったりする中で、子どもたちに植林していきたいものです。言葉の力を実感し始めた教室では、価値語が自然と子どもたちからも生まれ育ってきます。

―最後に、新学期からほめ言葉があふれるようなクラスをつくっていこうという読者の先生方に、メッセージをお願いします。

 この本は、菊池道場の精鋭である先生方が、日々の実践をもとにまとめたものです。どれも子どもたちのあたたかい価値ある教室の事実です。全学年に対応できるように仕上げていただいています。ぜひこの本を手にしていただき、「覚悟」をもって、「1年間の見通し」の中で、3月の「ゴールイメージ」を定めながら、先生方の学級の実態に合わせて修正しつつ、活用していただきたいと思っています。きっと笑顔とほめ言葉があふれる素敵な学級になることでしょう。そして、自信と安心感のあふれる楽しい教室に成長し続けることでしょう。

(構成:茅野)
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