- はじめに
- 第1章 ゆるみのない学級をつくるための大原則
- @教師の教育観,指導観を見直す
- Aきまりを明確に示す
- B厳しい指導や強制もときには必要
- C信賞必罰を徹底する
- D教師の言動をぶれさせない
- Column 3秒…
- 第2章 ゆるみのない学級をつくるための5つのポイント
- @厳しさと楽しさのバランスをとる
- A行為のみを叱る
- B叱りっぱなしにしない
- C担任自身を理解してもらう努力を惜しまない
- D「愛語」で叱る
- Column トリプルハンカチ
- 第3章 こんなゆるみを,こう引き締め,立て直す!
- 1 基本的な生活習慣のゆるみ
- 返事やあいさつをしない
- 言葉づかいが悪い,ていねい語で話さない
- 話を聞かない,聞こうとしない
- 靴をそろえない
- 脱いだ服がぐちゃぐちゃ
- 服装が乱れている
- 髪型が乱れている
- 忘れ物が多い,忘れ物を気にしない
- 整理整頓ができない
- Column 直らなかった敬礼
- 2 学級集団のゆるみ
- 学級のルールやきまりを守らない
- 落とし物,なくし物が多い
- けが人が後を絶たない
- ものが壊れる,壊される
- 教室にゴミがたくさん落ちている
- 歌をちゃんと歌わない
- 机やいすがすぐに乱雑になる
- トイレ掃除を嫌がる
- 集会時に私語が多い
- 当番や係の仕事を忘れる
- まわりの状況に気づかない,関心をもたない
- 掲示物がはがれている
- Column
- 早く伸ばしなさい!
- めんこ学級
- 3 学習態度のゆるみ
- チャイムで席に着かない
- 始業前に学習の準備ができない
- 起立,礼がきちんとできない
- 文字が乱暴
- 指示された作業になかなか取りかからない
- 授業中すぐに私語をする
- 授業中ボーっとしてしまう
- 挙手,発言が少ない
- 宿題をやらない,適当に済ます
- テストや提出物の文字が乱雑
- Column
- 子どもへの語り「見ている人」
- 子どもへの語り「4球に1球」
- 4 生活態度のゆるみ
- 提出物の期限を守れない
- 廊下や教室で大声を出す
- ハンカチ,ティッシュを携帯しない
- 給食の食べ残しが多い
- 名札をつけていない,つけ方が悪い
- 必要以上のおしゃれをする
- 不必要なものを持ってくる
- 配付物が家庭に届かない
- 5 人間関係のゆがみ
- 友だちに意地悪をする
- 友だちの発言をバカにする
- 男女が協力しない,仲が悪い
- けんかが絶えない
- 友だちの話に耳を傾けない
- 話の途中で茶々を入れる
- 6 根っこの深いところのゆるみ
- 努力せず,楽をしようとする
- 叱られるとふてくされる
- 教師の指示に従わない
はじめに
今,崩れかけている学級にも必ず秩序は取り戻せる!
この本を手にしてくださった方は,現在ご自身の学級経営に悩みを抱えている先生ではないでしょうか?
そうでなくても,ご自身の学級経営に満足せず,よりよい学級にしようとがんばっている先生ではないでしょうか?
学級は,何といってもまず第一に子どもたちが安心していられる場所でなければなりません。
そのために大切なのが,学級の秩序です。
秩序がなければ,力のある子や利己的な子が自分勝手に振る舞い,それがまかり通ってしまいます。
そうなると,安心や安全はおびやかされ,特定の子どもたちだけが楽しむという,見せかけだけの楽しい学級になります。
力の弱い子,力はあっても消極的な子どもたちにとっては,安心していられる学級とは言えません。
ですから,子どもたちが安心していられるようにするには,きちんとした秩序があり,その中で楽しく活動ができる学級をつくらなければなりません。
私はそんな学級を目指して学級経営に取り組んできました。
私の学級では,授業中の私語はまったくと言っていいほどありません。
それでいて,発言する場では積極的に自分の意見を述べます。
返事やあいさつは学校一で,子どもたちもそれを誇りに思っています。
忘れ物はほとんどありません。
提出物がそろわないこともありません。
子どもたちは仕事が好きで,トイレ掃除は一番人気です。
担任が終日出張していても,何事もなく一日が過ぎます。
できない子,やらない子がいると,まわりの子が声をかけます。
小さなトラブルはもちろんありますが,すぐに解決されます。
しかし,もちろん最初からそんな学級ができたわけではありません。
私の学級にも私語があふれていました。
忘れ物が後を絶ちませんでした。
トラブルもたくさん起こり,その処理に疲れ果てました。
子どもたちが私の指示に従わず,私のいないところでは私の陰口がささやかれる,静かな学級崩壊も経験しました。
保護者とトラブルになったことも何度もありました。
そのような体験を通し,試行錯誤を繰り返しながら,私なりの学級経営の方法をつくり上げてきました。
それは,まず学級に秩序をつくり,その中で子どもたちに自治的な活動を行わせ,自立に導いていく,という至極正統で,一般的なものでした。
では,学級に秩序をつくるにはどうすればよいのでしょうか?
それは,次の3つの段階・方法によって行います。
まず,子どもたちにルールやマナー,きまりを明確に示します。
次に,それを実践し,確認します。学級にゆるみが出ている,もうちょっと引き締まった感じがほしいと思える学級の多くが,この実践と確認ができていません。先生が注意しただけで終わっているのです。
そして,最後に信賞必罰です。バランスを考えつつも,子どもがほめられるべき言動をしたときには必ずほめ,叱られるべき言動をしたときには必ず叱る,ということです。
本書では,これらを非常に細かく,かつ具体的に紹介しました。
実態に応じてこれらを着実に実践していけば,今崩れかけている学級にも,必ず秩序は取り戻せます。
取りかかるのに遅すぎる,ということはありません。
今から行えば,今から行っただけの効果が必ずあります。
ぜひ,本書の内容を参考に,すばらしい学級をつくってください。
本書が,この本を手にしてくださった先生方の悩みを解決し,希望をかなえるためのお役に立つことを,切に願っています。
2015年8月 /山中 伸之
揺るぎない考え、揺るいではいけないものを教えてくれる一冊です。
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