- 学級経営ガイドブック
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1 教師主体の学級経営から、子ども主体の学級経営に
4月になります。
いよいよ新しい年度が始まり、新しい学級を一日一日育み、つくり上げていく日々が始まります。
さて、ではこの一年間子どもたちとどのように学級をつくっていきますか?
今年度から新しい指導要領が実施されます。
新しい指導要領の目玉は言うまでもなく「主体的・対話的で深い学び」です。
簡単に言うと、それまでの教師主導の授業から、子どもを主体とした授業を志向していくことになります。
さて、そういった意味でこれまでと真逆の授業を(も)志向していくことになりますが、それを支える学級経営は、「これまで」のままで良いでしょうか。
「これまで」の学級経営といっても色々あると思いますが、それでも諸先輩方から「もう少し厳しくしないと」とか「ちゃんとさせないと」などと言われた若手の先生方も多いのでしょうか。
その背景にあるのが、「先生主導で学級をつくっていく」「先生の言うことをよく聞く子がよい子であり、よい学級である」という「教師主体」の学級づくり「観」ではないでしょうか。
ここで、「ん?」と思われた方。
よく気づきました。
学級経営は「教師主体」で、授業は「子ども主体」で行う。
あれ?
整合性がありません。
もちろん、これは「二元論」ではないので、完全なる「教師主体」の授業や学級経営もありませんし、完全なる「子ども主体」の授業や学級経営もありません。
ただ、どこに軸足を置いているかで、授業や学級経営は変わってきます。
そして、これからの「主体的・対話的で深い学び」を実現させる学級経営としては、やはり軸足を「子ども主体」に置き換えていく必要があると思っています。
では、「子ども主体」の学級経営とは、どのようなもので、どのように行っていけばいいのでしょうか。
2 受容共感型の学級経営
方向が違えば、方法論も違いますし、そして一年間の過ごし方も違ってきます。
「教師主体」の学級経営を「教師主導型の学級経営」とするならば、その逆方向の「子ども主体」の学級経営を「受容共感型」として、そのつくりの基本形を示してみたいと思います。
「受容共感型」の学級経営をカウンセリング的な学級経営として捉えて、その流れを以下に示してみます。
- ラポールを築く
- 枠を示す
- 傾聴する
- 整理する
- 方向性を確認する
- 実行する
- 見守る、修正する
- 手放す
※4、5、8の段階では、内容や意図が伝わっているかについて、言語や身体的な状態から確認、把握し、お互いに修正しつつ進めていく必要がある。
この流れで言うと、まずは4月、子どもたちと「仲良くなる」ことを大切にすることが必要だと考えられます。
そして、それと同時に枠を示し、傾聴し、子どもに決定させ集団をつくっていくようにしていきます。
そして、それは管理統制型の学級経営に比べて、最初は遅遅として進まないように感じるかもしれませんが、途中から自分たちで考え、集団の総意を問い、合意を得ながら自分たちで集団をつくり、その中で活動することが加速していきます。
それは、上に挙げたようなカウンセリング的な学級経営の流れの中で。
もちろん、教師主体の「管理統制型」の学級経営を頭に思い描きながら、4月を迎えるということを否定するつもりはありませんが、その一方の選択肢として「受容共感型」の学級経営も頭の片隅に置いておいてはいかがでしょうか。
ここでは紙幅の関係もあり、論を尽くせませんが、またどこかで具体的にこの話を深めていければと考えています。