GIGAスクール構想で変える!1人1台端末の授業づくり
1人1台端末導入で、授業が確実に変わります。そして、仕事術も確実に変わります。具体的な実践のヒント・授業のノウハウを伝授!
1人1台端末の授業づくり(3)
トラブルの火種をつくるな!
香里ヌヴェール学院小学校樋口 万太郎
2021/8/20 掲載
  • 1人1台端末の授業づくり
  • 授業全般

 SNSでの発言や書きぶりには気をつけないといけないということは、子どもたちに伝えていることでしょう。
 子どもへの発言や書きぶりをより注意していかないといけない。今回はそんな話です。

 私は、FacebookやTwitterやInstagramを実名でしています。
 鍵をつけたり、みられる範囲を制限をしたりすることなく、実名でしているため、学級の保護者がアカウントをみつけ、フォローしてくれているということもあります。
 これらのSNSでは個人の考えを発信しています。
 ただ、発信の内容や仕方には気を使っています。
 もし、SNSで

  • 受け持っている子どものことを書いていたり
  • 書いていることから特定されるようなことを書いたり
  • いつもとは違う言葉遣いをした内容
  • 誰かを責め続けるような内容

を保護者がみたらどう思うでしょうか。
(匿名だからオッケーというわけではありません。もしかしたらその発想が危険なのかもしれません。)
 そこまでに築きあげてきたものが崩れる可能性があります。
 また、身近な人に迷惑をかけてしまうかもしれません。
 そのため、SNSでの発言や書きぶりには気をつけています。
 デジタルタトゥーという言葉があるように、SNSに1度書き込んだことは、消したとしても、スクショなどを撮られていれば発言は残ります。
(Instagramをみていると、子どもの顔はみえないようにモザイクをかけたりしているものの、みる人がみたらわかるような写真をアップしている方に出会います。
保護者に写真をSNSにアップをしていいかという許可をとっているのでしょうか。
顔をわからないようにしているから大丈夫という話ではないはずです。
私の書籍では子どもの写真は顔がオープンになっている場合が多いです。それは、許可をとっているからです。
もし、それでトラブルになったら……。トラブルの火種を自分からつくっているようなものです。)

1 タブレット端末の持ち帰り

 現在、GIGAスクール構想により、タブレット端末の持ち帰りが全国各地で始まっています。
 持ち帰りにより、

(1)週予定の提示
(連絡帳に明日の予定を書かなくても良くなります。その時間を違うことに使うことができます。連絡帳は低学年のうちは「かく」力をつけるために必要だと主張される方もいます。「かく」力をつけることには異論はないのですが、授業時間に設ければ良いだけの話になります。)
(2)子どもとのやりとりができる

といったこれまでにできなかったことに取り組むことができるようになります。
 ただ、ここがトラブルの火種になる可能性があります。
 特に(2)「子どもとのやりとりができる」です。
 これまでは、家庭で何か疑問に思ったことがあったときには、学校に電話するしかありませんでした。子ども自身が学校に連絡をすることは、ハードルが高いことです。
 しかし、コメントを投稿すれば、質問をすることができます。まるで、LINEのような感覚で行うことができるため、連絡をするというハードルがとても低くなります。
 子どもから例えば質問があったら、それに返答したくなるのが教師の優しさです。
 ここが要注意です。
 22時に質問がきたとして、22時に返答したらどうでしょうか。
 「こんな時間まで先生、ありがとうございます」と感謝してくれる保護者もいれば、保護者によっては、「え!? なんでこんな遅い時間にやりとりをしているの!?」と不信感を抱くかもしれません。
 プライベートであれば、22時にLINEで友達からメッセージがきたら返信をしても、おかしくはありません。
 でも、深夜やみんなが寝ているような時間に返信したりすることはないでしょう。
 「子どもとのやりとり」はプライベートではありません。
 返信する時間帯には気をつけないといけません。
 おそらくそういった時間帯は、学校で決まっているはずです。
 その時間帯を超えたときには返信をしないということを徹底しましょう。
 時間を超えても、子どもが困っているのであれば……と思うかもしれません。
しかし、それは優しさではありません。
 グッと我慢することがときには大事です。

2 その書きぶり大丈夫ですか

 そして、子どもとのやりとりの書きぶりです。
 基本的には、子どもとのやりとりを保護者はみていると思いましょう。
 最初にSNSでの発言や書きぶりには気をつけていると書きましたが、
あたかも
「友達!?と思うような教師の書きぶり」
「その言葉遣いはどうなの?という教師の書きぶり」
をみることがあります。そのたびに、大丈夫!?と思ってしまいます。
 フレンドリーさを出すために、そのような書き込みをしているのかもしれませんが、そのような書きぶり、どうなの!?と思う保護者の方はいることでしょう。
 アルバート・メラビアンが提唱した「メラビアンの法則」を知っていますか。
 「感情や気持ちを伝えるコミュニケーションをとる際、どんな情報に基づいて印象が決定されるのか」ということを割合で示したものです。

  • 視覚情報……55%
  • 聴覚情報……38%
  • 言語情報……7%

 今回の教師の書きぶりは視覚情報や聴覚情報がなく、「言語情報」だけになります。
 言葉だけのコミュニケーションでは、こちらの気持ちや言いたいことがうまく伝わらないこともあります。
 うまく伝わらないということがトラブルの火種になることがあります。
 だからこそ、書きぶりに気をつけた方が良いです。

樋口 万太郎ひぐち まんたろう

1983年大阪府生まれ。大阪府公立小学校、大阪教育大学附属池田小学校を経て、2016年より京都教育大学附属桃山小学校教諭。「子どもが楽しむ・教師も楽しむ」「子どもに力がつくならなんでもいい!」をモットーに日々の算数授業を行っている。著書に、『子どもたちの学びが深まるシン課題づくり』『GIGAスクール構想で変える!1人1台端末時代の算数授業づくり』『GIGAスクール構想で変える!1人1台端末時代の授業づくり』『GIGAスクール構想で変える!1人1台端末時代の授業づくり2』『GIGAスクール構想で変える!1人1台端末時代の国語授業づくり 物語文編』『GIGAスクール構想で変える!1人1台端末時代の国語授業づくり 説明文編』『GIGAスクール構想で変える!1人1台端末時代の学級づくり』(明治図書出版)などがある。

(構成:及川)

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