著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
多様な人と折り合いをつけて自らの課題を解決しましょう!
上越教育大学教職大学院教授西川 純
2017/4/28 掲載
 今回は西川純先生に、新刊『みんなで取り組む『学び合い』入門』について伺いました。

西川 純にしかわ じゅん

1959年東京生まれ。筑波大学生物学類卒業、同大学院(理科教育学)修了。博士(学校教育学)。臨床教科教育学会会長。上越教育大学教職大学院教授。『学び合い』(二重括弧の学び合い)を提唱。
主な著書に、『子どもを軸にしたカリキュラム・マネジメント 教科をつなぐ『学び合い』アクティブ・ラーニング』『今すぐ出来る!全校『学び合い』で実現するカリキュラム・マネジメント』『汎用的能力をつけるアクティブ・ラーニング入門<会話形式でわかる社会的能力の育て方>』『資質・能力を最大限に引き出す!『学び合い』の手引き ルーツ&考え方編』『資質・能力を最大限に引き出す!『学び合い』の手引き アクティブな授業づくり改革編』『アクティブ・ラーニング時代の教室ルールづくり入門』『サバイバル・アクティブ・ラーニング入門』『アクティブ・ラーニング入門』『クラスと学校が幸せになる『学び合い』入門』『気になる子への言葉がけ入門』『子どもたちのことが奥の奥までわかる見取り入門』『子どもが夢中になる課題づくり入門』『簡単で確実に伸びる学力向上テクニック入門』『子どもによる子どものためのICT活用入門』『アクティブ・ラーニングを実現する!『学び合い』道徳授業プラン』(以上、明治図書)などがある。

― 本書は、大好評をいただいている入門シリーズの1冊として、「みんなで取り組む『学び合い』入門」がタイトルとなっています。まず、本書のねらいと読み方について、教えて下さい。

 中央教育審議会の最後の最後になって、カリキュラム・マネジメントが大きくクローズアップされることとなりました。カリキュラム・マネジメントをどのように捉えるべきでしょうか?私は教師がチームになり、地域を巻き込んだチームになることだと思います。それが成り立てば、学校が抱える多種多様な問題を解決することが出来ます(キッパリと断言できます)。
 では、どのように教師がチームになるのでしょうか?私は学校教育の多くを占める教科学習を通してチームになるべきだし、それ以外に方法はないと思います。本書は、『学び合い』においてそれを実現するための方法を詳しく書きました。

―3月末に、次期指導要領が公表されましたが、先生が推進される『学び合い』は、これからの授業づくりにおいてどのように有効でしょうか。

 次期指導要領では学ぶ内容ばかりではなく、教え方(子どもから言えば学び方)を指定しているところが特徴です。それがアクティブ・ラーニングであり、主体的・対話的な深い学びです。その実現の方法は多様です。つまりノウハウ(know-how)は多様です。しかし、何故、次期学習指導要領で教え方を指定したか、そのknow-whyに着目すれば、多くのアクティブ・ラーニングは目的を達成するのは困難です。お叱りを覚悟で書けば、『学び合い』はドストライクだと思います。なお、これは本シリーズの、『アクティブ・ラーニング入門』、及び、『サバイバル・アクティブ・ラーニング入門』に詳しく書いております。

―『学び合い』は以前に比べると劇的に認知度が高まり、広まっていると思います。ただ、授業の見た目が今までの授業とかなり異なっていることから、同僚や管理職の先生、子どもや保護者からも誤解を受けることもまだあるようです。学校で始めるには、まずどのようなアプローチが大切でしょうか。

 まず、誤解されるのは当然だと理解すべきです。そして、誤解は理屈で解くことは出来ないことも理解すべきです。「分かる」と「納得する」は違います。「理屈は分かった、でも、納得できない」ことは普通にあります。
 では、どうしたらいいか?子どもの姿で理解してもらうしかないのです。それも、分かる人が増えることによって、さらに分かる人が増えます。従って、時間がかかる。そのため、その間、実践し続けるための知恵が必要です。
 本書では、ことさら荒立てることなく、穏やかに浸透する方法を紹介しています。

―先生は本書の中で、まわりの方の理解を得ながら、『学び合い』を週イチ、つまり週の中で1時間だけ『学び合い』をすることをすすめられています。また、順調にいったからといって急に増やさず、1学期ぐらいはそのペースで、とすすめられています。その理由について教えて下さい。

 『学び合い』によって子どもは直ぐに変化します。分からない授業を黙って聞いているより、分からないと思ったときに友達と相談できる方が、楽しいし、分かるのは直ぐに実感できます。一方、子どもの「楽しい」、「分かった」を教師は直接実感することは出来ません。そして、今までの枠組みで理解しよう、理解しようともがきます。だから時間がかかるのです。そのもがいているとき実践をし続けると迷います。その迷いは子どもに伝わります。その点、週1程度でやれば本人も迷わなくてもすみます。また、周りの教師も、そういう授業「も」やることは理解しやすいからです。

―『学び合い』が上手くいかなくなることもあると思います。そのような時はどうすればよいでしょうか?本書の中でも詳しく触れられていますが、教えて下さい。

 『学び合い』はもの凄くシンプルな理論と方法論から構成されています。それらは学校段階、教科に依存しません。そのため、『学び合い』をしたときに起こるであろう問題点はパターン化しており、数も限られています。その『学び合い』は二十年以上、数千人の教師が実践しています。そのため、起こるであろう問題点はほぼ出尽くしています。そして、既に、その一つ一つに対して、解決策は多くの実践者が開発し、それらは『学び合い』実践者のなかで情報共有され整理されています。
 これは教師集団内部、また、対保護者との関係においても同じです。この本に書かれていることを守っていれば、問題はほぼ起こりません。具体的な方法を多様に書いてありますが、一つだけ書きます。
 みなさんは、同僚がどんな人であるかを何で判断しますか?
 おそらく、授業方法で判断していないと思います。普段の様子で判断していると思います。「おはようございます」、「ありがとうございました」、「すみませんでした」、「お先に失礼します」の4つの言葉が大事です。そして、少しでも余裕があったら「何かすることはありませんか?」と声をかけることが大事です。
 この当たり前のことを続けることが最も大事です。

―最後に、読者の先生方へメッセージをお願いします。

 相田みつをは「人の世の幸不幸は人と人とがあうことからはじまるよき出逢いを」と書いています。『学び合い』を実践しようと、しまいと同じです。本書は、よき人と人とが出会うための方法が書かれています。つまり、幸福への本です。

(構成:及川)

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