- まえがき
- 第1章 「見取り」の基礎基本
- 1.職能形成
- 2.なぜ出来る
- 3.今までの授業で教師は見取りが出来たか?
- 4.一人も見捨てず
- 第2章 教師はなぜ,見取れないのか 会話形式でわかる『学び合い』テクニック
- 1 言葉が分からない
- 2 丸飲み込み出来るか
- 3 状況が違う
- 4 見ているところが違う
- 5 問題の解き方が違う
- 6 タイプ別では分かりません
- 7 見取りを押しつけると
- コラム
- 第3章 集団の見取り 会話形式でわかる『学び合い』テクニック
- 1 遊んでいる子の見つけ方
- 2 異学年の活動の見取り
- 3 共同作業における見取り
- 4 班の見取り
- 5 一人で偵察,数人で議論
- 6 図書室
- 7 研究授業の見取り
- 8 学校の見取り
- コラム
- 第4章 『学び合い』の見取り 会話形式でわかる『学び合い』テクニック
- 1 1校時で30クラスを見取る
- 2 『学び合い』の質を見取る
- 3 手のかかる子にどのように関わるか
- 4 課題の見取り
- 5 異学年の『学び合い』のポイント
- 6 特別支援の子に対する見取りのポイント
- 7 『学び合い』の見取りのポイント
- コラム
- あとがき
まえがき
本書を手にとっていただき,ありがとうございます。そしておめでとうございます。本書を手に取ったのは偶然ではなく,必然です。
なぜですって? それは本書を手に取るということは,あなたが色々な本を読み,研修も参加して今までより一段高い見取りの能力を獲得しようとする熱意のある方だからです。なぜなら今までの自分の見取りでは見切れない子どもがいることを自覚できるだけの見取りの能力のある方だからです。そして今までの本や研修では満足出来ない方です。だから今まで読んでいた本とはおもむきの違う本書を手に取っているのだと思います。子どもの表面が見取れて満足している方は,本書を手に取らないと思います。
そうです。教師が今まで見取りの能力だと思っている職能の上には,もう一つ上の見取りの職能があります。
本書には今までの類書では書いていなかった,とても簡単だけど強力な「たった三つのノウハウ」が書いてあります。それさえ分かれば,多くの教師が見取れないことを,子どもの奥底にあるものを,誰でも見取ることが出来ます。
第一は,教師は子どもを見取れないというノウハウです。最初から「え???」と思われると思います。でも,本当に子どもを見取れるようになるためには,まずは「そんなに簡単に分かるわけないよ」ということを分からなければなりません。
第二は,集団での見取りというノウハウです。子どもの奥の奥が分かるためには,子どもの奥にあるものを,子どもが外に出さなければ分かりません。どうしたらいいでしょうか? それは子どもたちを関わらせるのです。子どもたちが関われば,教師には見せない本音をどんどん外に出します。
第三は,『学び合い』の見取りというノウハウです。『学び合い』とは子どもたちの関わりを最大限に生かした教育の考え方です。その学習をしている子どもたちの関わりを見れば,本当に深い,深い,深いところが手に取るように分かります。
おそらく,皆さんの頭の中には「?」が浮かんでいると思います。つまり,今まで読まれた数多くの本とは,だいぶ違うことを意味しています。でも,ご安心下さい。難しくありません。本書で書いてあることは,全部,分かってしまえば「な〜んだ」ということです。
さて,選択しましょう。今までに似た本をもう1冊読みますか?それとも今までとは違う三つのノウハウを学びますか?皆さんの答えは決まっていますよね。さあ,始めましょう!
/西川 純
子どもを見取ることの難しさを感じている者にとっては必読の一冊だろう。