堀江式 国語授業のワザ
国語授業のお悩みをズバッと解決!“ワザの堀江”先生が指南する、堀江式の大ワザ&小ワザが満載!
堀江式 国語授業のワザ(11)
メモ指導で「聞くことの力」を伸ばそう!
―〈必然性を感じさせる〉場を活用する―
兵庫教育大学大学院教授堀江 祐爾
2013/4/5 掲載

【聞く力】

「聞くことの力」を身につけさせる指導の難しさを感じています。特に他教科等での学習の基礎となる「メモを取る力」を身につけさせるための手立てはないでしょうか?

ココがポイント!

話すこと・聞くことの指導は〈必然性を感じさせる〉場を活用することが重要

 言語活動の重視にともなって、話すこと・聞くことの教材が増えました。「学級会を開こう」などの教材がありますが、どうしても「とってつけたような」学習活動になりがちです。子どもたちに〈必然性を感じさせる〉のが難しいためです。逆に言うと、〈必然性を感じさせる〉場を活用することが重要だということになります。

効果抜群! 堀江式 大ワザ&小ワザ

ワザ1 全校朝礼での校長先生のお話のメモを頭の中で取らせる

 〈必然性を感じさせる〉場を活用した学習活動として、「全校朝礼・始業式などにおける校長先生のお話のメモを取らせる」ことが挙げられます。次のような特色を持っています。

  1. 校長先生という、「学校の中ではちょっと特別な存在である人」の話であり、しっかりと聞こうという〈必然性を感じさせる〉ことができる。
  2. その場ではメモを取れないため、話をしっかりと聞かなければならない。
  3. 話のキーワードを選択し、頭の中に記憶しなければならない。
  4. 自分たちに関係のある話題が扱われるため、「自分の考えを書きましょう」という学習活動に展開することができる。

ワザ2 メモをもとに「自分の考えを書きましょう」という学習活動に展開する

例 「『香住小学校の歴史』を聞いて」のメモ例(兵庫県香美町立香住小学校5年・井上京子学級において生み出されたもの。山本真校長)には、「新校舎完成に関する校長先生のお話」が3項目メモされています。この学習活動は国語の時間に行われました。「3項目のメモ」という数の指定も教師のワザのひとつ。さらに、「自分の考えを書きましょう」という欄が用意されています。しっかり聞き取り、メモしたものをもとに、「自分の考えを書く」という言語活動まで展開したいものです。さらに注目したいのは、「私も中央公民館の大松が香住小学校のものとは、しりませんでした。」という、友だちからのメッセージが添えられているところです。自分自身もメッセージを書かなければいけないので、よりしっかりと話を聞くようになります。

堀江 祐爾ほりえ ゆうじ

兵庫教育大学大学院教授、元中央教育審議会初等中等教育分科会教育課程部会国語専門部会委員、平成20年版中学校学習指導要領(国語)作成協力者、「国語教育の実践と研究をつなぐ会」世話役代表。
主な著書に『「国語力」向上の授業改革1 国語科授業再生のための5つのポイント』『小学校新国語科 言語活動の展開がよくわかるシリーズ1 書く力がぐんぐん伸びる!「言葉のワザ」活用ワーク』、などがある。最新刊『小学校国語科授業アシスト 実物資料でよくわかる!教材別ノートモデル40』が好評発売中!

(構成:林)
コメントの一覧
12件あります。
    • 1
    • がま
    • 2013/4/8 0:35:16
    「話すこと・聞くこと」は国語科の学習の中だけでなく、日常的に行うようにする必要があると感じました。また、この校長先生のお話のメモを書くという活動は、繰り返し行え、またワークシートも繰り返し使え、子どもにとっても、教師にとっても良い言語活動だなと思います。
    子どもは必要性を感じないとなかなか話を聴こうとしません。われわれ教師は話を聴かせるように工夫しますが、興味を持たせすぎると口をはさむ・・・
    話を聴かせることは、永遠の課題です。
    • 2
    • 島唄
    • 2013/4/21 15:04:00
    校長先生のお話についてメモを書くことは、「聞く力」を高めるのにとても有効だと思います。漫然と全校朝礼に参加するのではなく、「校長先生が大切なお話をされるから、よく聞いて生活の中で生かしていこうね。」と、「聞く必然性」を子ども達に感じさせることができます。私は今年度低学年の担任ですが、指導要領(第1学年及び第2学年)の「大事なことを落とさないようにしながら、興味をもって聞くこと」を指導するのに合った方法だと考えます。井上京子先生の「メモの項目数を指定する」「自分の考えを書く」「友だちからメッセージを書いてもらう」という工夫も取り入れたいです。
    • 3
    • Big Moon
    • 2013/4/21 16:07:25
    聞くことの力を育てる難しさを日々感じつつ子どもたちに向かっています。メモを取るといっても、つい耳に入ったことをだらだらと書き、書いている間の話は聞けていないということが多々あります。今回の実践を読んで、聞くときは、キーワードを見つけながら聞く。思い出すときに、まずキーワードを出して、それについて要点を書く。さらに、自分の考えを書く。というふうに、段階を追って指導することで、子どもたちに「聞く力」を確実につけることができるのだと思いました。子どもたちに、「お話を聞くときは、いつも自分なりのキーワードを考えながら聞く。」「それについての自分の考えをもつ」という指導をしていきたいと思います。
    • 4
    • 幸子
    • 2013/7/23 18:01:34
    日常生活では人と話をしたり、人の話を聞いたりすることを通してコミュニケーションをします。「話す」、「聞く」この2つがコミュニケーションにとってどちらも不可欠です。このうちもっと上手に話せるようになりたいと思う人がいっぱいいると思いますが、人の話をもっと上手に聞けるようになりたいと思う人はあまり多くないのではないでしょうか。しかし、「聞く」も「話す」と同じようにコミュニケーションの重要な要素なので、聞く力も育たなければならないのです。で、聞く力を育てるために、堀江先生がおっしゃった通り「メモを取る力」を育てることが重要です。校長先生のお話についてメモを書くことは、まさしく堀江先生がおっしゃった通り「聞く力」を高めるのにとても有効だと思います。
    • 5
    • 703
    • 2013/7/24 21:29:19
    「メモを取る力」を身につけさせるための手立てとして、メモを取れない場で聞くという発想が新鮮でした。その場ではメモを取れないため、話のキーワードを選択し、頭の中に記憶しなければならないというのは、集中して話を聞かないとできません。教室に帰ってそれを書くという活動が、聞くという力つけるためにはとても効果的だと思いました。また、校長先生の話は、自分たちに関係のある話題が扱われるため「自分の考えを書く」という学習活動に展開することができるというのもなるほどと思いました。校長先生の話を書くだけでなく、それについて自分の考えを書くというのは、子ども達が人の話を真剣に聞き、それに対して自分はどう思うのかという質の高い聞き手として育つものだと感じました。是非取り入れてみたいです。
    • 6
    • D.T
    • 2013/7/25 2:33:56
    子ども達の「聞く力」を養うためには、必然的に「聞く」ための環境を教師が準備する必要があります。意識的に聴こうとしなければ、子どもたちの「聞く力」はなかなか向上しません。校長先生のお話のように、メモをとることができない状況下において、子ども達には話題のキーワードや内容を絞って聞かなければなりません。さらに、頭の中で話の内容を整理し表現するためには、集中して話の内容を聞きとらなければならず、このことが結果として思考力を高め、文章の構成力や表現力を向上させる効果を生み出すのだと思います。「聞く力」を高めるこの実践は、最初は子ども達にとって緊張感をもたらすものとなることが多いでしょうが、実践を重ねることにより意識的に聴こうとする力が彼らの中に習慣化されることが期待できると感じました。
    • 7
    • ハイライト
    • 2013/7/31 23:08:56
    一口に「聞く」という活動をとってみても、「しっかり聞きなさい」「話す相手を見て聞きなさい」という漠然とした指導で終わっている。普段から人の話を聞く習慣づけのために、聞くコツとしてこの‘メモを頭の中で取らせる’ワザはとても参考になった。話のキーワード選択して記憶すること、これを校長先生のお話をはじめ、あらゆる人の話においてもこの習慣づけが「聞く」ことにつながると思った。そして、この聞いて頭の中でメモしたことをワザ2のように書いて残していくことで、さらに聞くことを確かなものにつなげていると思いました。1学期に各学年系統立てたワークシートを作成して聞くことを柱立てすることによって、学校全体の子どもたちが人の話をしっかり聞く姿勢が身に付き、落ち着いた学校になると思われる。
    • 8
    • k.s
    • 2013/8/1 12:00:53
    「聞く力」をつけるために全校朝会で校長先生のお話を聞き取り、会が終わってから教室でそのお話をまとめるという活動は前任校で全校児童で取り組んでいました。まとめ方も「100字以内にまとめる。」「いつ、どこで、だれが、どうした、をまとめる。」など低・中・高学年(小学校)それぞれの発達段階に応じて工夫されていました。その取り組みを何年か続けた結果、子供たちは以前よりも集中して校長先生のお話を聞くようになったり1年生の児童でもしっかりと要点をまとめて書くことができるようになる等「聞く力」がついてきたように思いました。大切なことは、全学年で取り組む、続けることだと実感しました。メモをとる技ですが、3項目に絞ってメモをとらせることはよい取り組みだと思いました。子供たちは、学年が小さければ小さいほど聞き取ったことを全部メモ用紙に書こうとしまい大切なことは何か聞き取ることができないことがあります。ですから、項目を絞ることはメモをする上でとても大切だと思います。
    • 9
    • 2013/8/1 15:50:35
    「読むことの力」、「書くことの力」と比べ、「聞くことの力」を身につけさせる指導は難しいです。大事なことを落とさないように聞く能力、話の中心に気をつけて聞く能力、話し手の意図をつかみながら聞く能力などを身に付けさせるためにどんな工夫をしたら、いいでしょうか。〈堀江式 国語授業のワザ〉−〈必然性を感じさせる〉場を活用することが重要だということになります。〈必然性を感じさせる〉場を活用した学習活動として、「全校朝礼・始業式などにおける校長先生のお話のメモを取らせる」ことが挙げられのはまさしく適当な言語活動例だと思います。
    メモをもとに「自分の考えを書きましょう」という学習活動に展開するのも「聞く」ことにとどまらず、聞いた内容を書くのは国語を適切に表現し理解する力を育成につながるでしょう。
    • 10
    • flaba
    • 2013/8/9 16:19:18
     この記事では、メモ指導の学習活動例として「校長先生のお話のメモを取る」ことが挙げられています。「子どもたちに必然性を感じさせる」場を活用するというテーマのもと実践された活動例ですが、私が興味を持ったのが、この活動において、様々に異なる「必然性」が生み出されているという点です。
     校長先生という人物や、その場でメモをとれないという状況から生まれる「集中して聞く必然性」、3項目のメモという指定から生まれる「考えながら聞く必然性」、そして自分たちに関係のある話題が扱われることから生まれる「自分に関連づけながら聞く必然性」。
     これらの必然性が重なり合うことによって、価値のある「聞くことの指導」が可能になっているのだと思います。
    • 11
    • タマ
    • 2013/8/14 22:52:07
    「話を聞く」、「メモを取る」という活動の間に、「頭の中に記憶する」という段階を設けることは、「メモを取る力」を育成する上で重要な意味を持つと考えられる。のちに「メモにおこす」という活動が存在し、その前提として聞いた話の中からキーワードを取捨選択し、整理を行う。頭の中でも一種の「メモを取る」という活動が展開されているのである。つまり、頭の中での「メモ」、紙におこす「メモ」、2つのメモ活動を実践することが出来る。「頭の中に記憶する」メモ活動においては、一過性のものではなく、「話を聞く」全ての機会において、その力の向上が図られる。また、キーワードの取捨選択、整理が行われることで、話自体への理解も深まると考えられる。「メモを取る力」の向上は、学習の基礎として欠かせないものであり、今後是非取り組んでいかなければいけないと感じた。必然的な環境を作り上げることが重要であると今回の「国語授業のワザ」を通して学んだので、取り組みの中で活かしていきたいと思う。
    • 12
    • カッパさん
    • 2013/8/14 23:53:04
    最近メモを取るクセをつけられている人が少ないように感じています。アルバイトなどでも、重要な連絡事項であってもただ立っているだけで聞いているのかいないのかよくわからない態度でいる人もいます。もちろんやたらめったらメモを取るのは時間の無駄ですが、メモを取る姿勢に苛立ちを感じる人はいないでしょう。メモを取るクセを早い段階からつけることで、書く力と聞く力と瞬時に考える力を養うことができるのは非常に有効的だと感じました。メモを取れない状況でもあとでこれとこれをメモに残そうと考える力は普段からやっていないとできないことだと思います。学校でメモを取ることの大切さを教えるというのはなかなか考えつかないことです。本当にどの能力が将来必要なのかを考え直すいい機会になりました。
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