【ブックトーク】
これまで以上に「読書指導」「多読の指導」が重視されるようになりました。「本の紹介カード」以外に、多読を生かした学習指導の方法はありますか?
ココがポイント!
ブックトークで言語活動の活性化!
『平成20年版学習指導要領解説(国語)』に、「ブックトーク」が言語活動の一例として明示されています。
読書の範囲を広げるために、学校図書館などの施設の利用方法を学び、図書を紹介するブックトークなどの活動や読書案内、新刊紹介などを積極的に利用する態度を養うことが必要になる。
〔第3学年及び第4学年〕の「C読むこと」領域の解説((2)内容@指導事項の「カ 目的に応じた読書に関する指導事項」)より
子どもが「ミニブックトーク」を行う学習指導も可能だということです。言語活動の活性化を図るためにも挑戦してみて下さい。
効果抜群! 堀江式 大ワザ&小ワザ
ワザ1 より豊かに読むために「子どもによるミニブックトーク」学習活動を行う
【3冊目】 最後に紹介するのは、「モチモチの木」です。登場人物は、豆太とじさまと医者さまです。
豆太がまごで、じさまが、おじいちゃんなので、主に豆太とじさまが、出てきます。始めの豆太は、とってもおくびょうで泣きむしでした。でも、じさまがはらいたになって死んでしまうと思った時に豆太がキセキをおこします。クライマックスは豆太が変わります。じさまが真夜中にはらいたになりました。でも、まだ、豆太はおくびょうです。そして、ここから勇気を出して豆太が医者さまをよびに行きます。そして、じさまは、元気になります。でもまた、豆太はおくびょうになり、泣きむしになってしまいます。
ここから、「心が変わる。」というテーマが分かります。テーマが、分かる本文は(教科書18ページを読む)の所です。理由は、豆太がその時に気持ちが変わって医者さまをよびにいき、じさまのはらいたを治す、手伝いをしたからです。(中略)
ごんは、がまん強いと思います。理由は、兵十に分かってもらえるまで、くりや松たけを持っていったからです。人の心は、自分を大事にしてくれる人と出会った時に、いい方に変わることが分かりました。「ごんぎつね」で分かってもらえなくてもあきらめないで、知ってもらえるまでがんばることが分かりました。これで、心が変わるというテーマのミニブックトークを終わります。
これは4年生による「ごんぎつね3冊つなぎミニブックトーク」原稿の一部です(兵庫県たつの市立小宅小学校三木惠子教諭の指導によるもの)。この子どもは教材「ごんぎつね」と絵本「100万回生きたねこ」、そして既習教材「モチモチの木」をつなぎ、「心が変わる」というテーマのミニブックトーク原稿を書き、発表しました。「人の心は、自分を大事にしてくれる人と出会った時に、いい方に変わることが分かりました。」という表現がみごとです。ミニブックトークによって中心教材「ごんぎつね」をより豊かに読んでいることがよく分かります。
ワザ2 単元をつなぎながら【簡易→練習→本格】とステップを踏んで展開する
三木教諭は、1学期の「白いぼうし」では【簡易ブックトーク(1作品紹介)】を行い、夏休みをはさみ、2学期には【練習ミニブックトーク1】として「白いぼうし+1作品紹介ミニブックトーク」に取り組ませました。また、「一つの花」については、「テーマのもとで2作品をつなぐ」【練習ミニブックトーク2】を実施。そして、「ごんぎつね」について、「テーマのもとで3作品以上をつなぐ」【本格ミニブックトーク】へと展開しました。こうした単元をつないだステップを踏むことにより、豊かなミニブックトーク学習活動を行うことができます。
ブックトークが言語活動の一例で示されているということは、多読指導をより力を入れて取り組まないといけない表れだろう。ブックトークを年間通じて取り組んでおられる一端を見た。ブックトークを行うに当たって、原稿を書かせないといけない。ブックトーク原稿にはほんと本をつなぐテーマを盛り込みたいが、教科書教材を入れるとき、読みとり段階でテーマを見つけるように指導していく必要がある。ということは、教師のはっきりとした計画性と教材研究が大事だ。その上で、言語活動に必要な手立てを講じて行くとよいと感じた。
私のクラスでは、「大造じいさんとガン」でブックトークをしました。他の動物物語を読む中で、もう一度「大造じいさんとガン」に返り、「あきらめない心」としていたテーマを「ライバルの大切さ」というテーマに変えた子がいました。多読、比べながら読むということの大切さを改めて感じました。
三木先生は「本格ミニブックトーク」という言語活動を行うために、【簡易→練習→本格】とステップを踏んで展開することはこれからの指導活動において本当にいいヒントになります。いきなりブックトークを行うことではなく、簡単な言語活動から難しさをアップしていくことはより効果的な指導がなされるでしょう。