【複合単元・関連単元】
4年生の「アップとルーズで伝える」と「『仕事リーフレット』を作ろう」(光村図書)のような、関係の強い単元が並んでいる場合、どのように扱えば良いのでしょうか。
ココがポイント!
複数の単元が強い関係を持って並んでいる〈複合単元〉をうまく活用する
複数の単元が強い関係を持って並んでいる、こうした単元の正式な名称はありませんが、〈複合単元〉または〈関連単元〉と呼べば良いでしょう。
光村図書の教科書には、「わらぐつの中の神様」と「物語を作ろう」(5年)などもあります。東京書籍の教科書にも、「新聞記事を読み比べよう」と「立場を明確にして書こう」(5年上)や「注文の多い料理店」と「ふしぎな世界へ出かけよう」(5年下)などの〈複合単元〉があります。こうした〈複合単元〉をうまく活用することは、授業改善につながっていきます。
効果抜群! 堀江式 大ワザ&小ワザ
ワザ1 学習の見通しを持つ段階から、複数の単元のつながりを子どもと共有する
例えば、「『情報をうまく伝える』ということを扱った教材を読む」という言語活動と、「情報をうまく伝えるために書く」という言語活動を上手につないで、効果的かつダイナミックに学習指導を展開したいものです。
そのためには、学習の見通しを持つ段階から、複数の単元のつながりを子どもと共有する必要があります。板書例(赤穂市立原小学校4年塩江理栄子学級)においては、「説明のしかたについて考えよう」→「写真と文章で説明しよう」という二つの単元の関係を目に見える形で整理しています。
ワザ2 〈リーフレットを書く〉ための工夫(ワザ・コツ)を見つけるために読む
板書例において、リーフレットの実物がすでに示されているところに注目して下さい。これは「アップとルーズで伝える」という教材を「〈リーフレットを書く〉ための工夫(ワザ・コツ)を見つけるために読む」ということを示しています。例えば、次のような工夫(ワザ・コツ)になるでしょう。
【「アップとルーズで伝える」から見つけた工夫(ワザ・コツ)】
(1)送り手が伝えたい内容や受け手が知りたいことを考える。
(2)アップとルーズのどちらを使うか考える。
(3)アップとルーズをうまく組み合わせる。
さらに、実際のリーフレットからも工夫(ワザ・コツ)を見つけていきます。
【実際のリーフレットから見つけた工夫(ワザ・コツ)】
(4)地図やイラストも入れて、説明を書く。
(5)数字などは具体的に正確に示す。
(6)読み手を引きつける見出しをつける。
(7)読みやすいレイアウトを考える。
わがクラスも、今「物語を書く」ために「わらぐつの中の神様」を「読む」学習をがんばっています。物語文でも、複合単元できますよね!
第二、〈リーフレットを書く〉ための工夫(ワザ・コツ)を見つけるために読むことです。
「アップとルーズで伝える」という教材を「〈リーフレットを書く〉ための工夫(ワザ・コツ)を見つけるために読む」という読む言語活動と書く言語活動を関連性づけ、教師の柔軟でかつ弾力的な運用の技に感心しました。今後関係の強い単元が並んでいる場合、各言語活動の関連性と系統性を図ることを心がけます。
複合単元は各単元が関係性を持っているため、上手に活用すれば、他の単元に比べ子どもたちが身につける力をよりはっきり自覚しやすいと考えられます。では上手に活用するとはどういうことでしょうか。私は、この記事にワザとして示されている「学習の見通しを持つ段階から、複数の単元のつながりを子どもと共有する」ことが大切であると思います。そして共有させるべきそのつながりの軸こそが「身につける力」なのではないでしょうか。この軸をいかに子どもたちが意識できるかが、複合単元の活用にとって重要なのだと私は考えます。
紹介されている板書では、リーフレットという実物を示すことで「身につける力」への強い意識づけができています。私も自分のなりに工夫して、複合単元を有意義な学習活動に活用していきたいです。