著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
センスと才能よりちょっとしたコツが必要です
パラグアイ ニホンガッコウ大学学長補佐西野 宏明
2021/1/29 掲載
 今回は西野宏明先生に、新刊『子どもの心をグッとつかむ言葉のワザ55』について伺いました。

西野 宏明にしの ひろあき

東京都の公立小学校を10年間勤めたのち、2019年7月よりパラグアイの私立ニホンガッコウで学校顧問(教育コンサルタント、学長補佐)に就任。
初任時代の初めての授業で挫折し、教師修行を始める。
日本各地の教育イベント、セミナー、サークルに参加。自分自身でも若手教師向けのサークルやセミナーを主宰した。毎月5万円以上は読書やセミナー参加費に費やし、自己研鑽に励んだ。その集大成として3冊の単著『子どもがパッと集中する授業のワザ74』『子どもがサッと動く統率のワザ68』『熱中授業をつくる!打率10割の型とシカケ―そのまま追試できる「大造じいさんとガン」』を上梓。
2017年よりJICA青年海外協力隊員としてパラグアイへ派遣され、2年間、現地の教育力向上に努める。2019年3月に公立小学校を退職し、現職。

―うまく話を聴かせる先生と聴かせられない先生はいったいどこが違うのでしょうか。本書でもご紹介くださっていますが、ズバリ教えていただけますか。

 ズバリ一言で言うと、話し方の基本を押さえているかどうかの違いです。
 授業の上手な先生、学級経営がすばらしい先生は例外なく基本が身に付いています。
 話し方の基本とは、以下のスキルのことです。

・視線
・一人称の指示
・端的な指示
・数字を入れる
・抑揚
・静まるまで話し始めない
・聞く姿勢を整えさせる
・質問は最後
・最後に聞き方をきちっと評価する

 これらのスキルはセンスや才能ではありません。ちょっとしたコツさえわかればどんな先生でもマスターできます。そのやり方については、本書でくわしく解説しています。

―「言葉」や「話すこと」について考える上で、「話す内容」「伝え方」「タイミング」「聴く力」の4つが大事と本書で述べられております。それぞれについて簡単に教えてください。

 「話す内容」とは、先生のセリフのことです。
 子どもに伝える具体的メッセージであり、文字で表現できるものです。「教えたい!」「伝えたい!」「届けたい!」思いを言語化したものです。
 
 「伝え方」とは、よりよく伝えるためのテクニックのことです。
 「話す内容」さえ良ければいいのかというと、そうではありません。「話す内容」がいかによくても、それを効果的に伝える工夫が無ければ、子どもには届きません。「伝え方」のテクニックを習得することで、10伝えたいことが10以上の効果をもって伝えることができるようになるのです。

 「タイミング」とは、伝える時間と場所を選ぶということです。
 同じ言葉でも、受け止める側の構えや状態、時期により伝わり方は大きく異なります。
 いかに話す内容が良くても、いかに伝え方がうまくても、相手に響かないことがあります。反対に、話す内容が不十分であったり、伝え方がさほど上手でなかったりしても、タイミングが合えば強く心に響くことがあります。

 「聴く力」とは、相手のニーズを引き出すための力のことです。
 相手が気持ちよくコミュニケーションをとりたくなるような言葉かけや、相手の思考を活性化させる問いかけがあります。「聴く力」が向上すると、相手は自分に心をどんどん開き、信頼関係がを築くことができるようになります。

―先生は、いつも実体験を織り交ぜてワザをご紹介くださるのが印象的です。これまでで、言葉にまつわる忘れられないエピソードがありましたら、ぜひご紹介いただけますか。

 エピソードに関してはたくさんあるのですが、ここでは書ききれませんので、エピソードを思い出すうちに浮かんだことを記します。
 それは、言葉は関係ない。言葉は最後だということです。言葉について書いた本の紹介のなかで、一見矛盾するようですが、大事なので述べます。
 どういうことかというと、言葉は「その人」の口から出るということです。つまり、「その人」がどんな人であるかということが、実は言葉よりも大切なのです。よく言われる、「何を言ったのか」ではなく「誰が言ったのか」が大事になってきます。
 たくさんの先生にほめ言葉をもらうよりも「あの先生」にほめられた言葉が忘れられません。「あの先生」以外の人から言われるのは何とも思わないのに、「あの先生」から言われると胸に刺さる。「あの先生が言うんだからついていこう」。
 私を突き動かしたのは、言葉そのものではなく、常に私の尊敬する人から出た言葉でした。

―本書は、「基礎・基本」「授業に熱中する」「行動が変わる」「思考したくなる」など、8つのカテゴリーに分けてワザを紹介しております。本書の活用の仕方を教えてください。

 最も読みたいと思うところから読み始めてください。通して読んでも、飛ばして読んでも気づきが生まれるよう工夫して書きました。

―伝えたいことが子どもたちになかなか伝わらない!と悩んでいる先生方に向け、最後にアドバイスをお願いします。

 本書をはじめ、たくさんの本を読み、たくさんの授業を参観し、たくさん教材研究し、たくさん子どもとかかわり、たくさんの経験をとおして教師力を高めていってください。
 言葉磨きと、人間磨きを並行していく過程の中で、ふと気づくと子どもに伝わるのが当たり前な自分に成長しているはずです。

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