- はじめに
- 1章 授業成功のカギは子どもの「集中力」
- 子どもが集中してくれない!
- 視点を一点に注目させる
- 「動」と「静」の学習活動を組み合わせる
- 教材,発問を使って思考させる
- 集中技がすべてではない。それでも大事な集中技
- 2章 子どもがパッと集中する!授業のワザ74
- 授業全般
- 基本
- 1 子どもが思わず集中して聞く話し方3つのスキル
- 2 指示には必ず「数字」を入れる!
- 3 思考力を鍛える「間違い探し」方式
- 4 子どもの集中力をみるみる引き出す「対比」の指導技
- 5 子どものやる気と集中力を高める「挑発」の仕掛け
- 6 適度に入れると集中力アップの「ペアトーク」
- 7 授業が活性化する「意見交流タイム」と打ち切りスキル
- 8 表現技能を伸ばす「階段方式」と「崖サメ方式」
- 対処
- 9 叱らず一瞬で静かにさせる必勝技「指先に注目」
- 10 静かにする必須合言葉「お口はミッフィー!手はおひざ!」
- 11 手いたずら激減の「心の天使と悪魔」のお話
- 12 おしゃべりの多い子は「静かになった瞬間」がほめ時
- 予防
- 13 話を聞く姿勢を育てる「王道スキル」
- 14 「聞く姿勢」マスターのための体験レッスン
- 15 授業崩壊に効き目バツグンの予防薬「ほめる」言葉かけ
- 16 学習用具を出す際のザワザワをなくす「ほめるが勝ち」の先手必勝法
- 17 クラスの子どもを教師の味方に!鍵を握る「中間層の子」
- 18 騒がしい子もスッと落ち着く「黙想タイム」
- 19 うれしさ10倍効果10倍!握手でほめる
- 20 子どもの心をがっちりつかむ「ほめられ短作文」
- 21 1分で聞く力がグングン伸びるおすすめトレーニング
- 国語
- 導入
- 22 チャイム着席に効果抜群の「五色百人一首」
- 23 一気に授業に引き込む「いきなり活動」の仕掛け
- 話す聞く
- 24 夏休みの絵日記を3倍活用!スピーチ編
- 25 夏休みの絵日記を3倍活用!クイズ・ペアトーク・質疑応答編
- 26 「悪い聞き方」体験で「よい聞き方」が分かる?!
- 読む
- 27 飽き知らずで楽しく集中!おすすめ音読バリエーション
- 28 みんなの前で堂々と読めるようになる「音読ステップ」
- 29 よい例とダメな例の比較で音読ポイントが一目瞭然!
- 30 「評定方式」で表現がグングンよくなる!班対抗の音読大会
- 31 討論・話し合いが活発になる「○×発問」
- 32 話し合いが活性化する!意見交流の「作戦タイム」
- 書く
- 33 「動と静」の組み合わせで新出漢字も楽々習得
- 34 ドリルやプリントでやる気が一気にアップする「先生チェック」
- 35 どの子も漢字が読めるようになる「1分間速読」
- 36 集中して取り組める!漢字テストのシステム
- 37 入学直後の1年生も集中!だれでもできるひらがな指導@
- 38 入学直後の1年生も集中!だれでもできるひらがな指導A
- 39 書くことにはまる!スキマ時間の「視写プリント」
- 40 「視写プリント」楽々作成術&ユースウェア
- 41 準備いらずでどの子も熱中する「漢字ゲーム」
- 42 手間いらずで書く力が伸びる「100マス作文」
- 43 どの子も長く細かく書けるようになる「ビデオ作文」
- 44 どの子もみるみる書きたくなる「成長作文」システム
- 45 推敲力がグーンと高まる「一発評定」マル秘テクニック
- 46 改善個所を自分で発見!楽しい毛筆書写
- 算数
- 導入
- 47 一瞬で授業に引き込む「フラッシュカード」
- 48 低学年の導入はやっぱりすごい「百玉そろばん」
- 49 毎朝5分の「百マス計算」で学習モードにスパッと切り替え
- 50 卒業後も感謝される!毎日の「公式暗唱」
- 51 算数の宿題は「子どもマル付け」で効率アップ
- 原則
- 52 どんな子どもも混乱しない「一時一事の原則」と「確認の原則」
- 53 算数100点の近道は「年間ノート5冊」
- 場面別
- 54 1年生もスラスラ解ける「音読式文章題攻略法」
- 55 計算問題で欠かせない1時間1回の「先生チェック」
- 56 時間調整にも便利!大人気の「子ども板書」
- 57 つまらない計算練習が180度変わる「計算道場」
- 58 分度器や数直線に視線が集中!魔法の言葉「ストップ!」
- 59 ふか〜く集中できる「間違い探し式答え合わせ」
- 授業外
- 日常
- 60 朝会でビシっと整列できる!よい子に着目の「その場評価」
- 61 全校朝会,学年集会で「聞くモード」をつくる話し方スキル
- 62 朝自習を静かにさせるための四原則
- 63 朝の会はねらいに応じてテンポよくカスタマイズ!
- 64 トイレ移動も騒がしくならない!5分休みの廊下歩行
- 65 静かに教室移動ができるようになる先生との「勝ち負けゲーム」
- 66 給食を7分以内で準備する「居酒屋方式」
- 67 掃除モチベーションUPの「汚いところ探し」と「気持ち悪い体験」
- 68 プリント配布は「丁寧さ」と「礼儀」の指導チャンス
- 69 帰りのしたくが2分で終わる!「ベロン作戦」
- 行事
- 70 校外学習や移動教室も静かに見学!「事前指導」と「怒りのサイン」
- 71 運動会の表現指導は「動きと言葉をセット」で決まり
- 72 校庭練習の砂いじりが激減する「勝ち負けゲーム」
- 73 子どもの心を一瞬でつかむ!着任式のテッパンあいさつ
- 74 保護者会が温かく楽しくなる3つのポイント
はじめに
「授業ベタ」から「授業力向上」への6年間の軌跡
教師になりたての4月の1週目。
「西野先生〜,遊ぼう!」「先生サッカーしよう!」「先生,先生,あのね!」
それはそれは人気者でした。子どもたちから好かれていました。
一緒に遊んでいるときの子どもたちの顔は輝いていました。子どもたちがどんどん近寄ってきました。みんな素直で,キラキラしていました。子どもと遊ぶ時間は私にとって生き甲斐でした
「子どもはかわいい! 教師になってよかった!」と思っていました。
数日たちました。
「えぇ……。なんだこれ……。こんなはずじゃなかったのに……」
非常に強いショックを受けました。それが毎時間の授業です。
あれだけ休み時間は楽しそうにしていた子どもたちが,授業になると心底つまらなそうにしているのです。開始の1,2分ほどはよいです。「西野先生はどんな楽しい授業をするのかな?」とワクワクを絵に描いたような瞳で私に注目していますから。
しかし2分経ったら,がっくりとうなだれ,ねむそうに机に伏せ,退屈そうにしているのです。子どもたちの目から輝きがみるみる消え失せていくのを目の当たりにしました。子どもは私に失望しているようでした。
これは屈辱でした。悔しくて歯がゆくて,とても耐えられませんでした。授業中,完全に一人ぼっちでした。
一言でいうと,授業力がまるでなかったのです。
そんな私がどうやって教師を6年間続けられてきたのか。私を支えてくれた教育実践をまとめたのが本書です。
当時の私は,知的好奇心をまったく刺激できず,「伸びたい」「できるようになりたい」という意思を汲めず,子どもの成長を止めていたのです。「人気者」だったのは,ただ私が若かっただけで「一緒に遊んでくれる」という理由からでした。
「こんなはずはない!」と思いました。しかしこれが現実でした。
そこからです。私が勉強を始めたのは。
情けない話ですが,初めは「どうやって,45分間をもたせようかな」「国語のこの物語文で,何をすればよいの?」「漢字ドリルってどうやって使うの?」「単元? どうやって組み立てるの? それよりも明日の学活をどうしようか」ということを悩み続ける有り様でした。
しかし,1年,2年……と経つうちに,本棚の書籍がどんどん増えていき,入りきらなくなっていました。
世にはたくさんの研究団体やサークルがあり,その数だけ指導方法や理論があることも分かってきました。
教育技術や教育哲学を知るためには,セミナーへ参加することが有効だということを知りました。
実践力を高めるためにサークルがあり,参加することで学びが何倍にも広がり,深まることを体験的に理解できるようになりました。
何よりも,自校の先生方から学び,議論をすることで,書籍には書かれていない,セミナーでは発表されていない新たな実践を発見できました。
毎年,校内研や市の研究会で研究授業をするたびに自分の未熟さを味わうと同時に,自分の成長も感じることができ,それが刺激となりモチベーションを高めてきました。
このような学びを続けて,6年の歳月が経ちました。
本書は,この6年間の教育実践の集大成です。
先輩の先生方から教えていただいた素晴らしい実践。書籍に載っていた有名な実践。セミナーやサークルで知った力のある実践。目の前の子どもの実態から私自身が開発した実践。これらの実践群を修正し,改良し,まとめたのが本書です。
見開き2ページを読むだけで,毎日の教室で必ず活かせる実践を載せています。読み返してみて「この本が,6年前にあったらな」と思います。それだけ,本書の実践群が私を支えてくれました。
かつての私と同じように,授業で悩む初任者の先生や若手の先生にとって本書がお役に立てれば幸甚です。
末筆ながら,本書を執筆する機会を与えていただき,貴重な御指導をくださいました明治図書の木村悠さんには心より感謝を申しあげます。ありがとうございました。
2015年2月 /西野 宏明
コメント一覧へ