著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
「むずかしい学級」を、「自分から学ぼうとする学級」に
北海道公立小学校山田 洋一
2021/2/5 掲載
 今回は山田洋一先生に、新刊『子どもの笑顔を取り戻す!「むずかしい学級」ビルドアップガイド』について伺いました。

山田 洋一やまだ よういち

1969年北海道札幌市生まれ。北海道教育大学旭川校卒業。北海道教育大学教職大学院修了(教職修士)。2年間私立幼稚園に勤務した後、公立小学校の教員になる。自ら教育研修サークル北の教育文化フェスティバルを主宰し、柔軟な発想と多彩な企画力による活発な活動が注目を集めている。主な著書・共著書に、『子どもの笑顔を取り戻す!「むずかしい学級」リカバリーガイド』『小学校初任者研修プログラム 教師力を育てるトレーニング講座30』『教師力トレーニング・若手編 毎日の仕事を劇的に変える31の力』(以上、明治図書)などがある。

―本書は大好評をいただいております『子どもの笑顔を取り戻す!「むずかしい学級」リカバリーガイド』の続編として、むずかしい学級のビルドアップ・立て直し方をご紹介いただいています。本書の読み方・おすすめポイントを教えて下さい。

 「むずかしい学級」を担任することがわかったら、すぐに手に取っていただきたい本です。「むずかしい学級」を担任する際に留意すべき考え方から、学級経営、授業運営の具体的な進め方、そして「困った!」を解決するヒントまでが、たっぷりと書いてあります。1年をはじめるにあたって、まずはこの本を最初に手に取っていただけると、指導に見通しを持っていただけると思います。 

―第1章では、むずかしい学級に有効な手立てとして、UDLの考え方をもとにした「学級経営の公園モデル」をご紹介いただいています。本書内で詳しくご紹介いただいていますが、こちらについて教えて下さい。

 「学びのユニバーサルデザイン(UDL)」の特徴は、「オプション(選択肢)」が「足場的支援」としての性格をもって提供され、それが子どもの状況によって「調節可能」であるということです。こうした考え方を学級経営に転用して、モデル化したものが「学級経営の公園モデル」です。このモデルによって運営されている学級では、子どもたちは安心して活動に取り組み、多くのことに挑戦しようとします。

―第2章では、「学級づくり7日間23のポイント」として、具体的な取り組みについて、事例を挙げながらご紹介いただいています。むずかしい学級に有効な手立てとして、UDLの考え方をもとにした「学級経営の公園モデル」をご紹介いただいていますが、こちらについて教えて下さい。

 何のために学級で過ごし、担任は一体何のために教室にいるのかということを、子どもたちが説明されることは、これまでほとんどありませんでした。この点を子どもたちに明確に説明した上で、目的を持って学級で生活することを、子どもたちに奨励します。その上で、目的を達成するために、子どもたちが様々な活動や、活動の仕方を選べるように環境を整えるというのが、「学級経営の公園モデル」の大切な部分です。子どもたちが、自分たちでどんどん動き出します。

―第3章では、「学びのユニバーサルデザイン」として、学習指導のビルドアップの仕方を、具体的な指導例を入れながらご紹介いただいています。どの子も学びやすくなるには、どのような取り組みが大切でしょうか。

 まずは、子どもたちに対する教師の見方を変化させることです。「子どもたちは、すぐに学ぶことから逃走する」とは考えずに、学ぶ目的をはっきりと提示し、子どもたちが学習に取り組めるようなオプションを用意すれば、子どもたちは必ず学べるようになるのだと信じることです。その上で、子どもたち自身が、自分で学びやすい方法を選ぶことを支援していくことが大切です。自分が選んだ方法で、成功した子どもはどんどん自分で学ぼうとするようになります。

―2020年初頭から感染が拡大した新型コロナウイルスの影響による休校などによって、学校、子ども達を取り巻く環境も、変わってきています。これまでとは違った難しさも出てきていると思いますが、どのようなお考えをお持ちでしょうか。

一番、いま問題なのはコミュニケーションが少ないことによる「教師−子ども」「子ども−子ども」の関係不全です。信頼が十分でないから、指示が通らない、指導も通らない、ルールも徹底できない。逆に、指示が通らない、指導も通らない、ルールも徹底できないから信頼も生まれないということが、多くの教室で起きています。それを、改善するフレームの一つが「学級経営の公園モデル」です。公園では、誰かの一方的な指示によって遊ぶことはありません。「何のために」「何を選んで」「どんなふうに」遊ぶのかを、他者とコミュニケーションしながら決めていきます。コミュニケーションが少ない今だからこそ、教師の一方的な指示によって決めてきたことを、コミュニケーションをとりつつ、子どもたちが自分で選ぶようにしていきましょう。確かに、それはコストのかかることですが、そこにコストをかけることでしか、教室での関係不全は解消できないでしょう。

―最後に読者の先生方へ、メッセージをお願い致します。

 本書は、書名の通り「ビルドアップ」を意識して書きました。そのため、学級経営初期の指導について、特に詳しくまとめました。新年度スタート前に、ぜひお読みください。前著の「リカバリー」と合わせてお読みいただくことで、「学級経営をブラッシュアップしたい!」と考えている先生方の1年間の羅針盤となると信じています。

【参考】川俣智路(2020)「学習支援から学習者の発達支援へ」『指導と評価』vol.66-2 782,pp.9-11

(構成:及川)
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