著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
「子どもの問い」が重視される今こそ、「教師の発問」を磨こう!
北海道函館市立亀田中学校川端 裕介
2021/2/5 掲載
今回は川端裕介先生に、新刊『川端裕介の中学校社会科授業 見方・考え方を働かせる発問スキル50』について伺いました。

川端 裕介かわばた ゆうすけ

現在,北海道函館市立亀田中学校に勤務。
1981年札幌市生まれ。北海道教育大学札幌校大学院教育学研究科修了(教育学修士)。函館市中学校社会科教育研究会研究部長。NIEアドバイザー。マイクロソフト認定教育イノベーター(MIEE)。

―本書のキャッチコピーは、「発問の工夫で『フィールドワーク型の学び』を実現しよう!」ですが、「フィールドワーク型の学び」とはどういうことでしょうか?

 フィールドワーク型の学びとは、学習者中心の学びの姿を私なりに表現したものです。共通の学習目標に向かって、子どもたちが目標を達成するための見通しや方法を自分で選択・判断し、学習を調整します。教師の先導に子どもが従う「遠足型」とは、対称的な形です。教師の役割は、意欲の喚起やつまずきに対する支援が中心になります。子どもの自由度が高いからこそ、効果的な発問によって学びのフィールドに乗せることが大切です。

―書名にあるとおり、本書では50の「発問スキル」が示されています。読者が、これらのスキルを習得・活用するうえで心掛けてほしいポイントはありますか?

 発問スキルを活用するポイントは、子どもが「見方・考え方」を働かせるように意識することです。「見方・考え方」の習得自体は学習の目標ではないため、子どもたちは「見方・考え方」を働かせることに無自覚になりがちです。発問を通して「見方・考え方」を働かせるように意図的に刺激することで、子どもたちが深く思考できるようになります。

―先生ご自身は、どのようにして発問のスキルアップをされたのですか??

 発問の理論を学び、学習指導要領における「見方・考え方」の理念を学んだ上で、授業で試行錯誤してきました。その結果、発問の一字一句にまでこだわるようになりました。また、社会科固有の理論と、どの教科にも当てはまる理論を分けて考えることで、発問の精度が高まりました。それでもうまくいかないことがあるので、日々勉強です。

―本書の内容を見てみると、文章だけでなく、図解を用いた説明もたくさん登場します。このように、授業や学びの視覚的なイメージを持っておくこともやはり大切なのでしょうか?

 視覚的なイメージは、瞬間的かつ容易に理解できる良さがあるので大切です。ただし、図解は難解な概念を簡略化して表現するので、イメージが不適当だと思考の幅を狭めるおそれがあります。例えば、「多面的・多角的」の説明では、一般的には立方体の図を用います。しかし、私はもっと的確なイメージがあると考え、本書では別の形で図解しました。

―最後に、全国の社会科授業に関わられる先生方に向けてのメッセージをお願いいたします。

 子どもの問いが重視される時代だからこそ、教師の発問が大切です。子どもは、よい発問を受け続けることで、よりよい問いのもち方を学ぶからです。また、学習者中心の授業にシフトするためには、子どもが思考の技としての「見方・考え方」を磨く必要があります。未来に向けた社会科のあり方をデザインする上で、本書が少しでもお役に立てば幸いです。

(構成:大江)
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