著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
デキる教師は思いやりでココロをつかむ!
大阪府寝屋川市立木屋小学校教諭松森 靖行
2016/1/29 掲載
 今回は松森靖行先生に、新刊『子どもと保護者の心をわしづかむ!デキる教師の目配り・気配り・思いやり』について伺いました。

松森 靖行まつもり やすゆき

1976年岡山県生まれ。現在,大阪府寝屋川市立木屋小学校勤務。
教員16年目。岡山県で14年間小学校教員を経験した後,大阪府へ。岡山県時代は市教育委員会と協力して初任者研修や若手研修を担当。寝屋川市でも初任者研修や若手研修を担当している。「楽しみながら鍛える」ことができる教材開発,「思いやり」を中心とする学級経営を研究。関西,中国地方を中心に学級経営や授業づくりの講座を担当している。学力を伸ばす授業方法,教師と子ども,教師と保護者,子どもたち同士をつなぐ実践には定評がある。教育雑書・雑誌に共著,執筆多数。

―先生は、本書で教師のちょっとした気配りや思いやりが何より円滑なクラス運営に必要、と仰っていますが、それはどうしてでしょうか?

 先生方は、子どもたちに「友達には優しくしなさい」「思いやりをもちなさい」と指導をされているのではないでしょうか。そうでしたら、教師自身がまず、保護者や子どもに「思いやり」を示せたら、と思うのです。
 「大切なお子様もお預かりしている」という意識を、今一度再認識し、子どもたちや保護者の気持ちを考え、「思いやり」をもって教育活動を行っていきたいと思います。

―先生が若いころなど「あー、配慮がたりず、失敗した!」と思われる失敗談がありましたら、どうぞ教えてください。

 3年目で、5年を担任したときのことです。学校で清掃活動があり、軍手を持参することになっていました。「軍手などどの家にもあるだろう」と思っていた私は、必要となる1日前に連絡帳でお知らせをしました。
 当日、朝、ある保護者の方から電話が。「1日前に言われても、軍手はすぐに用意できない。簡単なものでも、ある家とない家がある」と、かなりお怒りの口調でした。そのときは、ピンときませんでした。正直、「子どもが自分で用意をすればよいのに…」とまで思っていました。
 後日、懇談でそのご家庭の大変さを伺い、自分の教師としてのおごりを実感しました。準備物は、少なくとも半月前には連絡することを肝に銘じました。

―先生は今、教師生活何年目を迎えられたのでしょうか? 岡山や大阪などいろいろな地域でのご経験もおもちの先生。ご自身の失敗なども踏まえつつ、教師に大切な気配り・目配りの極意を1つどうぞ教えてください。

 岡山で14年教師をしていました。そして、今、大阪で2年目を迎えます。合計16年目です。
 いろいろ実践をしたり、学んだりしてきて、現在実感するのは「教育はすべて、思いやり」ということです。教師は、今の自分に満足してしまうと、教師力だけでなく、「優しさ」や「思いやり」の気持ちまでも失っていきます。「自分はまだまだ修行中の身」そう思うことが極意と言うか、当たり前のことであると思っています。
 私は、毎日、放課後、自分の授業の反省を1時間ずつ一言で、そして、子どもたち一人ひとりの記録も一言で、教務必携と名簿に残しています。「1日をきちんと振り返る」ことも極意かなと思います。

―本書ではクラスづくりについて、授業のアイデアについていろいろとご執筆くださっていますが、特にこの項目がおススメ、ここを読んでほしい、などおススメがありましたら、どうぞ教えてください。

 すべての項目がおススメなのですが、あえて選ぶとすれば、第1章のラスト3つの項目がおススメです。各学期ごとのポイントを書いています。各学期には、教師が意識しないといけないポイントが必ずあるからです。
 それらをもとにして、先生方が工夫をされて、オリジナルの実践をしてくだされば幸いです。

―最後に、全国の若い先生方へメッセージをお願いします。

 若いうちは、いろいろな実践をして、失敗して、がむしゃらに進むべきです。そして、週に1回でも立ち止まり、自分のしてきたことが、子どもたちや保護者、先生方にどう映っていたかを考える時間が必要です。「時間がない」と仰る先生もいらっしゃいますが、そのような時間はがんばってつくりましょう!
 また、子どもたちが教室に居場所を求めるように、教師も職員室に居場所を求める必要があります(これは、我々ミドルリーダーの役割でもあります)。積極的に、職員室でお話しましょう。基本は、絶対に勤務校の職員室です。
 職員室で、この本を話題にしてくだされば幸いです(笑)

(構成:佐藤)
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