- 著者インタビュー
- 特別支援教育
本書では特別支援学校(知的障害)の学習指導要領に沿って、国語・算数(数学)の各教科の段階(小学部1段階〜高等部2段階)ごとに学習課題を配列しています。担当する子どもの興味・関心に留意しながら、まずは各教科の段階ごとの内容を参考にして、個々の子どもの発達段階に合わせた課題を選択するとよいでしょう。また、各学習課題は、@指導のねらい、Aとっておきの指導のアイデア、B授業の発展・応用として、C子どものつまずきの見取り方という順番で構成しています。これらの内容も合わせて活用していただければと思います。
子どもの主体的な学びを支えるためには、子ども自身が各課題の内容を理解し、その課題をやり遂げることで、「できた」「やれた」「またやってみたい」という前向きな気持ちを促していくことが大切です。その意味では、子どもの発達段階に留意しながら、より簡易で理解しやすい課題(例えば小学部3段階に位置する子どもであれば、2段階の内容を取り上げるなど)から始めていくとよいでしょう。繰り返しの学習を進めながら、少しずつ課題内容をステップアップしていくことが望まれます。子どもの発達段階に合わせた学習課題を選択し、子ども自身が内容を理解しながら楽しく学び、自己肯定感を高められるような支援を心がけることが大切です。
特別支援教育の対象となる子どもたちは、自分の気持ちや考えなどをうまく言葉で伝えられないことが少なくありません。そのため子どもの何気ないしぐさや行動を的確に読み取ることが大切です。誤った回答を繰り返したり、内容が分からず課題になかなか取り組もうとしない場合など、手続きを変更したり少し簡易な内容に切り替えたりする対応が必要となるでしょう。また、初めての課題をいきなり一人で行わせるのは無理があるかもしれません。もし、課題に取り組めない状況が長く続くようであれば、先生がモデルを示したり一緒にやり方を体験させたりするなどして、課題を解決していく手だてを身につけさせていくことが望まれます。
子どものつまずきを的確に見取れるということは、子ども理解の第一歩でもあります。たとえ言葉での発信ができなくても、内言語(理解言語)が豊かな子どもも少なくありません。例えば、言葉での指示が理解できない子どもでも、「型はめ」のような目の前の型(枠)に同じ形の部品(〇△□など)をはめ込む課題であれば、比較的容易に取り組むことができます。まずは視覚的に理解し易い簡易な課題から始め、慣れてきた段階で複数のものから1つを選ばせたり、「△(さんかく)を取ってください」など、形と名前をマッチングさせたりする課題などにステップアップしていくとよいでしょう。子どものつまずきを補うために手続きや内容を適宜変更するなどして、日常生活の指導や教科指導に生かしていくことが望まれます。
特別支援学校や特別支援学級に在籍する子どもたちは発達段階が幅広く、個々の特性やニーズも多岐にわたっています。本書では特別支援教育の実践経験が豊富な先生方に執筆協力を得ながら、自立活動の指導にも活用できる内容を含め、国語・算数(数学)の学習課題を100集約しました。本書の学習課題を参考にしながら、子どもの実態に合わせて適宜改変したり、担当する子どもの特性に合わせたオリジナルの「学習課題」に発展させたりしてもらえればと思います。是非、日々の授業づくりに役立てていただければ幸いです。
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