著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
特別支援教育は、まず、できるところから始める
帝京大学文学部教授大南 英明
2006/1/13 掲載
 今回は、特別支援教育の中教審答申を受け、その詳しい解説と具体化をまとめた新刊『中教審答申・特別支援教育の解説』について、編者の大南英明先生に伺いました。

大南 英明おおみなみ ひであき

帝京大学文学部教授・帝京大学附属小学校校長
中央教育審議会特別支援教育特別委員会委員
【編著書】 『盲,聾,養護学校教育の基本用語辞典』(2000年)/『改訂盲学校・聾学校及び養護学校学習指導要領の展開』(2000年)/『盲・聾・養護学校改訂指導要録の解説と記入例』(2001年)

―これまで文科省からは、いろいろな特別支援関係の報告が出されましたが、今回の答申に至るまでの簡単な経緯をご説明ください。

 平成13年1月に「21世紀の特殊教育の在り方について(最終報告)」が出され、特殊教育の課題及び展望が示されました。これを受けて平成13年10月に「特別支援教育の在り方に関する調査研究協力者会議」が設置され、平成15年3月に「今後の特別支援教育の在り方について(最終報告)」をとりまとめました。この中で、障害の種類や程度に応じ特別の場で指導を行う「特殊教育」から、通常の学級に在籍するLD、ADHD、高機能自閉症等の児童生徒も含め、障害のある児童生徒に対してその一人一人の教育的ニーズを把握し適切な教育的支援を行う「特別支援教育」への転換を図るとともに、その推進体制を整備することが提言されました。
 中教審は、平成16年2月に初等中等教育分科会に特別支援教育特別委員会を設置し、特別支援教育を一層推進するとの認識の下、学校制度の在り方についての検討を重ね、同年12月に中間報告を取りまとめました。

―今回の中教審答申では、具体的にはどのようなことが示されたのでしょうか? 簡単にご紹介ください。

1 盲・聾・養護学校制度の見直しについて
 (1)現在の盲・聾・養護学校を障害種別を超えた学校制度「特別支援学校(仮称)」とする。
 (2)特別支援教育のセンター的機能を果たすようにする。
2 小・中学校における制度的見直しについて
 (1)「特別支援教室(仮称)」の構想が目指しているシステムを実現する方向で、制度的見直しを行うことが適当である。
 (2)「特別支援教室(仮称)」に向けた当面の方策
  ・特殊学級における交流及び共同学習の促進と担当教員の活用
  ・通級による指導の見直し
  ・いわゆる「巡回による指導」について
3 教員免許制度の見直しについて
 (1)特別支援学校教諭免許状(仮称)とする。
 (2)付則については時限を設けて廃止することが適当である。

―本書は2章に別かれており、「解説」と「具体化」からなっています。具体化の部分はどのような内容になっていますか?

 「具体化」の部分は、小学校・中学校等で今後、特別支援教育を具体的に推進して行くための考え方、手立て等について事例をもとに説明してあります。
 例えば、校内委員会の運営のしかた、個別の教育支援計画、個別の指導計画の作成のしかた、LD、ADHD、高機能自閉症等の児童生徒等への指導の在り方、「ガイドライン(試案)」の活用の方法などです。

―今後、特別支援教育はどのように展開されて行くと思われますか? 先生のお考えをお聞かせください。

 まず、現在の盲学校、聾学校、養護学校を特別支援学校へ転換することから始めると思います。特別支援学校が小・中学校等への支援を進めることができるようになれば、「特別支援教室」の設置、運営が容易になると考えます。
 一方、小・中学校等では、校内委員会の設置、特別支援教育コーディネーターの指名等校内支援体制を構築し、できるところからLD、ADHD等の児童生徒への指導、支援を進めて行くことになります。文部科学省、都道府県等の推進事業、モデル事業の成果が各学校の特別支援教育の推進に役立てられることを期待しています。

―最後に今後特別支援教育に取り組まれる、全国の先生方へワンポイントアドバイスをお願いします。

 まず、「できることから始める」ことです。児童生徒への教員の共通理解を図ることが最も大切です。そして、小学校、中学校、高等学校の学習指導要領解説総則編に述べられている交流の理念をすべての教員が共通に持つことです。
 「同じ社会に生きる人間として、お互いを正しく理解し、共に助け合い、支え合って生きて行くことの大切さを」

(構成:木山)

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