「単元を貫く言語活動」ここが知りたいQ&A
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「単元を貫く言語活動」Q&A(24)
単元を貫く言語活動を位置づけた授業の新学期準備
大阪市立丸山小学校教頭山下 敦子
2016/3/18 掲載

来年度こそ、年間を通して単元を貫く言語活動を位置づけた実践を行いたいと思っています。新学期に向けてどのような準備を行っていけばよいでしょうか。

まず、先生が1年間を見通しましょう。「1年間でどのような国語の力を付けるのか」を把握する必要があります。『小学校学習指導要領解説国語編』などを活用して、担当する学年の各領域の目標を見ておきましょう。たとえば中学年の「読むこと」の領域なら「目的に応じ、内容の中心をとらえたり段落相互の関係を考えたりしながら読む能力を身に付けさせるとともに、幅広く読書しようとする態度をとらえようとする。」とあります。このような学年(国語科の場合は2年間で扱います)の大きな目標をまず把握し、その1年間で指導する指導事項について考えます。

学習指導要領から指導事項を考えてはみるのですが、具体的にどのように指導するのかいつも悩んでしまいます…。

そのようなときには、教科書の目次や年間指導計画を見てみましょう。どの単元でどのような「付けたい力」を身に付けるのか、そのための言語活動はどのようなものなのかが掲載されています。1年間の付けたい力を把握することが何より大切です。

国語の単元を計画する際に、付けたい力を「あれも」「これも」と設定してしまい、単元計画の時数が増えてしまって、言語活動にうまく結びつかないことがあるのですが…。

そういうことを防止するためにも、年間を見通して「付けたい力」を見極めることが大事です。学習指導要領の「指導事項」と教科書の単元を結びつけ、重点的に指導する事柄を整理しておきます。

 中学年の指導事項「エ 目的や必要に応じて、文章の要点や細かい点に注意しながら読み、文章などを引用したり要約したりすること」を重点的に扱う単元はどれでしょうか? 教科書から探してみてください。年間にいくつかあるはずです。5月の扱う単元と10月に扱う単元で、指導事項エを取り上げているのであれば、5月の単元では、目的に応じた要約の仕方やそのよさについて学び、10月に扱う単元では5月で身に付けた「要約する」という力を活用する言語活動を設定することが可能です。
 
 このように、年間を見通して指導事項と単元を整理しておくと、「あれも」「これも」にならず、効果的な単元指導計画が立案できます。

 また、教科書には「新聞づくり」「ポスターセッション」など言語活動例が載っていますね。それも大きな手がかりです。その言語活動はどのような力を付けるために設定されているのかを分析しておくと、実際に単元の準備にかかる時に有効になります。

 国語は螺旋型の教科とよく言われます。一学年やまたは他の学年でも同じような指導事項を扱うことがありますが、「付けたい力」は全く同じではありません。螺旋階段を登るように「付けたい力」も向上していかなければなりません。そのためにも、どの単元で、どのような力を付けたのかを整理し把握することが求められます。「メビウスの輪」のように同じ指導事項をぐるぐると扱うことのないようにしなければいけません。

 新学期に向けて、どうか教科書の目次、内容、指導事項、言語活動例について年間を通してみてください。「こんな風に指導してみたいな」「この付けたい力には、この言語活動がふさわしいかも」など、アイデアをどんどんもってください。単元を貫く言語活動を実践するには、なにより、先生たちが「国語の指導がおもしろい」「言語活動が楽しい」と感じることが必須です。国語好きな子どもを育てるためにも、興味・関心をもって年間計画を作ってみてください。

ここをチェック!授業改善のためのポイント

学習したことを効果的に生かすために、次のポイントに留意しましょう。

  1. 『小学校学習指導要領解説国語編』などで当該学年の目標や指導事項を把握していますか。
  2. 指導事項と教科書の単元を結びつけ、年間を見通していますか。
  3. 先生自身が「国語の指導がおもしろい」と思えるように工夫していますか。
山下敦子やました あつこAtsuko Yamashita

 大阪府大阪市立丸山小学校教頭。『国語教育』2016年1月号「特集 主体的・協働的に学ぶ力を育てるグループ学習」などへの記事投稿がある。

(構成:木山)

コメントの一覧
1件あります。
    • 1
    • Melly
    • 2016/5/4 20:07:40
    This is a neat suarmmy. Thanks for sharing!
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