「単元を貫く言語活動」ここが知りたいQ&A
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「単元を貫く言語活動」Q&A(23)
読書へ誘う言語活動の工夫―並行読書のすすめ
大阪市立丸山小学校教頭山下 敦子
2016/2/19 掲載

教科書教材を読み終えて、「さあ、図書室で本を探して読みましょう」と言っても、子どもたちの反応が今一つ乗り気ではありません。「ごんぎつね」などせっかく素晴らしい物語を読み終えたのですから、この機会にどんどん読書してほしいのです。どのように取り組めば、子どもが意欲的に読書をするようになるでしょうか。

単元の最終に「さあ、教科書以外に本を読みましょう」と言っても、子どもは「まだ読むの!」とうんざりするだけです。単元の最初にこそ、読書活動を意識づけしておく必要があります。また、「調べるために本を読む」「紹介するために本を読む」「比べるために本を読む」など、目的を持った読書を単元の中に設定することも効果的です。

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単元の最初にどのようなことをしておけばよいですか?

たとえば、新美南吉の作品を読み広げる活動をしたいのであれば、単元の最初に新美南吉の本をブックトークして、「こんな本があるよ」と興味づけしておくのも効果的です。ブックトークをする際には、「○○つながり」で数冊の本を紹介すると、興味を引きます。「新美南吉の作品を読む」というように、同じ作者の本でつなげる方法もありますし、「きつねの出てくる本を読もう」というように「きつねつながり」でも楽しくなります。「○○つながり」の本を探して読み、「紹介カードに書く」「読書新聞に載せる」などの言語活動を設定するとよいでしょう。
 ただし、教科書教材で付けたい力は何なのかをしっかり分析しておくことが重要です。「ごんぎつね」で、人物の関わりと心情の変化を読む力を付けたいのであれば、「紹介カード」にも、人物の関わりと心情の変化を記述することが求められます。

単元の最初に読書活動を意識づけしたら、教科書教材の読み取りを行い、単元の最後に読書をするという単元構成でよいですか?

できれば、教科書教材を扱って読みを深めているときでも、「並行読書」として、他の本を読む機会を設定しておくのがよいですね。休み時間など時間のあるときに「○○つながりの本を探して読んでおくといいね」と声掛けをしたり、教室に「○○つながりの本」「○○を調べるときに便利な本」とタイトルをつけて、読書コーナーを設置したりするのも効果的です。

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 また、教科書教材を中心に学習している時間でも、「並行読書」を意識する言葉かけが大切です。「自分が今、読んでいる物語と『ごんぎつね』と似ているところはありますか?」とか、「今日『船のやくめ』と『つくり』を学習したね。自分の調べたい乗り物の役目やつくりがわかるかな?」など、子どもが「じゃあ、本で調べてみよう」と思うような工夫をしてみましょう。

ここをチェック!授業改善のためのポイント

学習したことを効果的に生かすために、次のポイントに留意しましょう。

  1. 読書活動を意識化するように単元の最初に工夫していますか?
  2. 教科書教材を中心に学習している時でも、並行読書を意識させていますか?
  3. 本を手に取りたくなるような教室環境をつくっていますか?
山下敦子やました あつこAtsuko Yamashita

 大阪府大阪市立丸山小学校教頭。『国語教育』2016年1月号「特集 主体的・協働的に学ぶ力を育てるグループ学習」などへの記事投稿がある。

(構成:木山)
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