教育オピニオン
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「学級開き」は、なぜやるの?
新年度までに考えておきたい2つの意味
ヒミツキチ森学園スクールリーダー青山 雄太
2026/3/1 掲載

 ヒミツキチ森学園でスクールリーダー(校長)をしているあおです。
 4月に行う学級開きについて、教員の経験、今のオルタナティブスクールの経験から、お話できればと思います。

 学級開きについて考えるとき、「どのように行うか?」というDo (やり方)の方に意識がいきがちです。その方が、実務的で行動に直結し、「学級開きどうする?」の問題を、手っ取り早く解決できるからです。

 でも、本当に大事なのは、「なぜ行うか?」というBe(在り方)です。「なぜ行うか」を深く考え、理解していることは、学級に立つ自分として、その後の行動に影響を与えます。なぜ行うかがはっきりしていれば、やることが明確になり、長い目で見た時に、効果があることになるはずです。

 なぜ学級開きを行うか(Be)を考えることで、どのように行うか(Do)のヒントになれば嬉しいです。

学級開きの意味@ アイデンティティ確立への一歩


 学年が一つ上がったときに、子どもたちは何が変わるでしょうか。3月31日が4月1日になったところで、1日が経っただけです。そこで何が変わるのでしょうか。
 「俺ら、春休み挟んだだけで、なんも変わってないよ」
 という小学校6年生に、ボクらはどう応じますか?

 学級開きの意味の1つは、アイデンティティの確立への一歩目だということです。
 「小学校6年生になる」には、学年が上がる以上の意味があることを、子どもたちが実感する機会なんです。5年生だったら、「なぜ委員会をするようになるのか、それが学校全体の中でどういう意味があるのか」を考える機会となります。
 「6年生っていうのは学校の中心なんだ」と伝えるだけではダメです。
 先輩に散々、
 「この3日間は、先生の言葉が子どもたちに届く」と教わりました。確かにこの時期の言葉は、届きやすく感じます。でもそれは、本当に子どもたちに届いているのでしょうか。
 子どもたちは、新しいクラスで、どういう関係性かが掴めないままその場にいるため、反応しきれていないという印象も受けるのです。

 大切なのは、実感につながる振り返りの言葉が、子どもたちから出ることです。「新1年生の準備をしてみて、どうだったか、どんなことを感じたか」当日は忙しいので、翌日にじっくりクラスで振り返ってみてください。友達が話す言葉の奥にある想いを聞き合えることが、クラスというものを少しずつ形作ってきます。

 先生は出てきた言葉をまとめ、「6年生になるっていうのを、みんなで見ていこう。」としたり、自分自身の想いを話してもいいでしょう。ボクは語りという言葉があまり好きではありません。でも、子どもたちと同じように一人の人間として、「私」の想いをその場に置くことは、大事だと思っています。
 
 今いるヒミツキチ森学園でも、学級開きは行われています。1・2・3年生の森クラスと、4・5・6年生の海クラスという3学年のクラス編成です。新しい年度になると、一番上の学年が抜けて、一番下の学年に新しいメンバーが加わります。この瞬間が学級開きです。
 3年生や6年生になっても、「最高学年だから〇〇しよう」とかは伝えません。1年の自分自身の目標を決めて、みんなに話して、みんなで聞き合います。こちらが話していなくても、そのサークルを3年生が仕切ったり、「森クラスをまとめていきたい」という言葉が、自然と子どもたちの口から出てきます。「今の3年生の言葉を聴いていたら、本当に嬉しくなっちゃってさ、これまでの2年間森クラスで見ていて、いろんなことを受け取ってきたんだよね。それを次は自分たちが立っていく場にしようとしているの、嬉しいことだよ」とボクも想いを口にします。
 そういう、自分の中のことを場に出し、それが認められていく、こういった雰囲気を作っていくのが先生の役目だと思っています。

 1日で6年生にはなりません。何度も何度も振り返り、その意味を全体で考えていく、そうしていこうという方向性を示すのが、学級開きです。

学級開きの意味A オープンマインド


 もう1つの意味として、オープンマインドがあります。
 学年が上がると、子どもたち同士の関係性が変わることが多いでしょう。仲の良い友達とくっついたり、離れたり、子どもたちも期待と不安が入り混じった状態です。
 そんななか、子どもたちは新しいことに割とオープンでいられる状態が、この期間は続きます。「この子はどんな子なんだろう」探るというよりかは、知りたいが続く状態。一人ひとりの気持ちが開いている状態です。本来はこの状態をずっと続けていきたいんですよね。でも、人間そうはいられないです。我々大人も、職員室では「あの人はああいう人だ」と認識のもと、いろんな人との関係性を見極めていますよね?一度、関係性ができてくると、常にオープンではいられません。

 でもこの学級びらきの時期だけは、違うんですよね。子どもたちの心がオープンな状態です。これをちゃんと活用して、新たなつながりを築いていくことをしていきたいのです。

 私たちは関係性の中に生きています。自分との関係性がある人やつながっている人が増えれば、自分らしくいられる時間が増えていきます。子どもたちのオープンマインドな状態をいかし、この時期には相手との関係性を築く機会を多く作っていきましょう。レクをする中でも、ただ楽しいだけで終わるのではなくて、相手のことを知ることのできるレクを入れること。より多くのグルーピングで、関係ができる機会を作ること。このやり方(Do)はぜひご自身で考え、探してみてください。
 そして、なるべくBe Open(心が開き、違いから学ぶ)の期間を伸ばすことができるのも、この時期の関わり方にかかっています。
 
 ヒミツキチ森学園では、このオープンマインドを保つためにも、身体や心を使った学びを多く取り入れています。呼吸をしながら自分自身に気づくこと、ヨガをして身体や心を繋ぐこと。森クラス(1-3年生)だったら、週に2回、たっぷりと森に行き、身体も心もめいいっぱい動かす時間があることなどです。めいいっぱい動かす中で、子どもたちは新たな関係を築いていくことができます。

 オープンマインドを生かし、この状態を長く続けるために、関わり合いを増やしていく。学級開きではそんな方向性を示せるといいのではないでしょうか。

Beを探る37個の問い


 先日出版された「学校はこうあるべきって誰が決めた?」という書籍の中には、今回のような在り方(Be)に紐づいたやり方(Do)を考えられる問いが37個書かれています。ヒミツキチ森学園での具体的な子どもたちの声や実践も書かれていますので、ぜひ新しい年度の前に、その問いに触れてみるのはいかがでしょうか。
 

青山 雄太あおやま ゆうた

ヒミツキチ森学園スクールリーダー 一般社団法人PLAYFUL
15年間、公立小学校教諭を務めたのち、2020年にオルタナティブスクール「ヒミツキチ森学園」を仲間と共に立ち上げる。
「子どもたちと未来を創る仕事で社会に変化を育む」「遊びと学びの力で軽やかに先生する仲間を全国に増やす」「自分のどまんなかで生きて、家族・仲間と最高の人生を創る」をビジョンに日々活動中。
月10万回以上読まれている「あお先生の教育らぼ」を運営しながら、現職の先生のリフレクションに伴走するなど、教育関係者の手助けをしている。

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