- 著者インタビュー
- 音楽
相性は抜群に良いと言えます。もちろん生の楽器や声による演奏経験はとても大切です。その演奏を振り返って、より良いものにするためには、演奏を記録して確認したり、みんなと共有できたりしたほうが良いことは誰もが認めるところです。ICT端末ならそれが容易にできます。またICT端末は、音楽を表現したい子供の気持ちを手助けしてくれます。さらに音楽世界の今と「つながる」ことができます。本書にはそのヒントが本当に多く掲載されています。
1人1台端末によって、子供一人一人の興味関心や学びのペースに合わせて、音楽的な学びを深めることが可能になりました。タブレットでの鑑賞は、自分の聴きたい箇所を何度も聴いて味わうことができます。また音楽づくりの授業では、つくった音楽をボタンひとつで確認することができます。さらに各自つくったり調べたりしたことは、クラウド等を通して、クラスメートと容易に共有できる点も学びを深める上でとても良い変化だと思います。
本書は、先生方の手引き(ハンドブック)となる内容を目指しました。50のアイデアは、もちろんすぐに授業に使うことができます。アプリ一覧は、各アプリの対応OSや、ひとつのアプリが様々な活動に活用できることをパッと見渡せます。収録したリンク集にはQRコードが付いていて、それを読み込めば、すぐに様々な音楽世界と「つながる」ことができます。このように本書で完結するのではなく、本書が起点となって、先生方一人一人の「音楽授業とICTとの関わり方」を創ることができます。
ICT端末を活用することで、これまでの音楽授業が変わるとすぐに実感できるのは「記録性」と「再現性」です。タブレットのカメラやレコーダー・アプリで、子供たちの演奏を録音したり、板書を撮影してみましょう。タブレットならそれらを保存し、容易に再生したり、整理したりできます。保存されたものは「学びや教えの軌跡(ポートフォリオ)」になります。このように先生方が授業以外で普段使われている機能を授業に取り入れてみることから始めてみてはいかがでしょうか。
私はこれまで、ICTの得意な先生はどんどん先へ進む、しかし苦手な先生は抵抗感をもったままという状況を多く見てきました。そこで本書は「苦手な人も、できることから」を心がけました。ICTの活用は手段です。先生方の音楽授業の経験が根底にあるからこそ生きて働きます。また「こう使わなければいけない」という絶対もありません。本書を参考に先生自らICT端末に触れていただき、ゆくゆくは「こんな風にも使える」という先生なりのアイデアを見つけていただけたらうれしく思います。