著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
自主学習にも授業にも使える!面白英語パズル
岐阜大学教育学部准教授瀧沢 広人
2020/5/29 掲載

瀧沢 広人たきざわ ひろと

1966年東京都東大和市に生まれる。埼玉大学教育学部小学校教員養成課程卒業後、埼玉県公立中学校、ベトナム日本人学校、公立小学校、教育委員会、中学校の教頭職を経て、現在、岐阜大学教育学部准教授として小学校英語教育の研究を行う。

―本書は好評発売中の『授業をグーンと楽しくする英語教材シリーズ37 授業を100倍面白くする!中学校英文法パズル&クイズ』の小学校バージョンです。文法学習を目的としている中学校版と異なり、小学校版はどのようなねらいのパズルになっているのでしょうか。

 小学校で行う「読み書き」は、慣れ親しむことがねらいとなっています。しかし、アルファベットの読み書きは定着です。つまり、読めるようにさせ、書けるようにさせることは必須事項です。このことは、おそらく児童にとって大きな障壁になるかと思います。そこで、遊びを通してアルファベットに慣れ親しませ、いつの間にか書けるようになっていたと思わせるのが本書のアルファベットパズルのねらいです。また、単語を認識したり(「ワードサーチ」)、単語を書き写したり(「クロスワードパズル」)、また音と文字との関連(「文字をひろって単語を作ろう」)や、音韻認識能力に結び付くパズル(「はじめの音な〜んだ」)など、アルファベットを越えた「単語や語句」に慣れ親しむためのパズルも掲載しています。

―本書には「自学自習用に使う」方法と「授業内で使う」方法の2つの使い方があるそうですが、新型コロナウイルスの影響による休校などもありましたが、学校再開後に本書はどのような場面で活用できるでしょうか。

 元々パズルは1人でもできるところに特徴があります。ゲームは対戦相手が必要ですが、パズルは1人でもできます。だからこそ、家に持ち帰ってやることができます。また楽しいパズルは家庭内の話題にもなります。特に「アルファベットナンクロ」は、大人でも楽しめるのではないでしょうか。
 本書のコンセプトは、楽しくてちょっぴりためになるです。楽しいが先にあり、その次に勉強になるという順番です。先日、ある方からメールで相談があり、学校が再開しても、授業では話す活動に制限があり、どのような授業をすればよいか質問がありました。私はいつも与えられた環境内で最善のことをするだけと思っていますので、「聞くこと」と「書くこと」の活動アイデアを紹介しました。本書は、アルファベットの文字指導、語句の読み書き等、授業内での学習や家庭学習での課題でお使いいただける内容かと思っています。

―本書には小学3年生から使えるアルファベットを使ったパズルと小学5年生から使える英単語を使ったパズルが合計80問収録されています。中学校での英語授業を見据えて、6年生にはどのように導入すれば効果的に力が身につくでしょうか。

 アルファベットは定着事項であり、5・6年の2年間をかけて、読める・書けるようにするものです。遊ばせながら、「そうそう。みんな大文字は26文字書ける?」と何気なく調査していくとよいでしょう。順番は、遊ばせてからチェックです。これが最初にチェックだと児童は重たく感じます。最初に十分に遊ばせて「ところでどのくらい書ける?」とオプション的に提示するのです。そしてとても大事なことはほめるということです。「へえ〜、そんなに書けるようになったんだ」「すごいね」とほめてあげることです。そして何より大切なことは、「他人と比較するのではなく、昨日の自分と比較しなさい」と言ってあげることです。

―今年度は教科としての外国語の授業がスタートしています。子供たちを英語嫌いにしないために、教師はどのようなことを心がける必要があると先生はお考えになりますか。

 まず教師が構えないことです。教師が楽しく授業をすることです。ただポイントは外さないことです。ポイントとは学習指導要領の目標や内容です。例えば、「読み書き」では、小学校でやることは次の5つだけです。@アルファベットが読める。Aアルファベットが書ける。B語句や表現の意味が分かる。C語句や表現を書き写す。D例文を参考に自分のことについて書く。この5つをやればいいのです。そういったポイントを外さず、授業を楽しいものにし、児童のプラス面をほめていけばよいのではないかと考えます。

―最後に外国語や外国語活動の授業に取り組む読者の先生方へのメッセージをお願いします。

 英語の授業は楽しいです。そしてその楽しさを、ぜひ児童にも味わわせてあげて下さい。楽しさには、「がはは…」という楽しさと、「へえ〜、そんなんだ」という知的な面白さがあります。わかる授業や力のつく授業は、児童にも頑張ってもらわなくてはいけませんが、楽しい授業は、教師の努力でいくらでも作ることが可能です。あと、どうか自己投資を惜しまないでください。自分の教師としての力量を高めるためには、どうかお金をかけて学んでください。それがきっと皆さんの力となるはずです。どこかでお会いできます日を楽しみにしています。共に精進してまいりましょう!

(構成:木山)
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