- 著者インタビュー
- 学級経営
教室環境づくりは注目されづらいジャンルですが(特に中学校では)、それを逆手にとって学級経営の武器にすることがねらいです。主体性やメタ認知をする力、自己有用感や学級への所属感などを生徒に養うためには成長の可視化が重要だと考え、教室環境に焦点を当てました。
本書の特徴は、読者の先生が明日からさっそく使える内容であることです。それぞれの実例の活用法をかなり具体的に取り上げた他、活動する上でのヒントとステップも紹介しています。
中学校では、学習に集中させるといった学習規律の面から、あえて教室掲示を控える場合もあります。しかし、多感な時期を迎える中学生こそ、教室で安心して過ごせるようにすることが大切です。教室環境を整えると、教室がただの場所から特別な居場所に変化します。また、掲示物が充実すると、教室をきれいに保つ意識や皆で学習に集中する雰囲気が自然と高まります。
学活の時間は、生徒が活発に作業などをしていても、ともすれば意図やねらいが不明瞭になりがちです。本書の活動例では、学級活動の中に教室環境づくりを位置付け、ねらいも明確にしています。生徒が楽しみながらも個人の力や集団としての力を高めることができるように、活動を具体的に紹介しました。また、発言例は私が担任をした生徒の実際の発言を基にしたので、参考になると思います。
すべてがおススメと言いたいところですが、生徒に人気なのは「誘惑撃退&悪魔のささやき」や「心の中の鬼退治」など、人としての弱さを出し合う活動です。本音を出して語り合うことが、クラスメートを共感的に受け入れたり、前向きにがんばろうとしたりするきっかけになるようです。
私のおススメは、学級目標の掲示物です。学級目標は、学級経営の柱です。本書で紹介するような作品に仕上げると、生徒は目標を強く意識しながら学校生活を送るようになります。
世の中には、学級経営の達人といえる先生方がたくさんいますが、私は違います。咄嗟に生徒の心に響くようなことを言う自信も力量もありません。だからこそ、教室という空間を武器にして生徒と向き合います。進級や卒業の時に、生徒に「このクラスでよかった。こんなに素敵な場所だったから。」と思ってもらいたいと考えながら、日々工夫をしています。
学校現場でもICTの活用が広がり、皆が一緒に教室で学ぶ意義が問われています。そんな今こそ、教室環境づくりを工夫してみませんか?