著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
中学校だからこそ、安心して過ごせる「教室環境」づくりを!
北海道函館市立亀田中学校川端 裕介
2020/3/11 掲載

川端 裕介かわばた ゆうすけ

現在、北海道函館市立亀田中学校に勤務。
1981年札幌市生まれ。北海道教育大学札幌校大学院教育学研究科修了(教育学修士)。函館市中学校社会科教育研究会研究部長。NIEアドバイザー。マイクロソフト認定教育イノベーター(MIEE)。函館市南北海道教育センター研究員。
社会科教育では、平成24年度法教育懸賞論文にて公益社団法人商事法務研究会賞、第64回読売教育賞にて社会科教育部門最優秀賞、第29回東書教育賞にて奨励賞などの受賞歴がある。また、学級通信を学級経営に活用し、第13回「プリントコミュニケーションひろば」にて最優秀賞・理想教育財団賞、第49回「わたしの教育記録」にて入選などの受賞歴がある。
[著書]
『豊富な実例ですべてがわかる!中学校クラスが輝く365日の学級通信』(2018)
『単元を貫く学習課題でつくる!中学校地理の授業展開&ワークシート』(2019)
『単元を貫く学習課題でつくる!中学校歴史の授業展開&ワークシート』(2019)
『単元を貫く学習課題でつくる!中学校公民の授業展開&ワークシート』(2020、いずれも明治図書出版)

―本書は、『豊富な実例ですべてがわかる!中学校クラスが輝く365日の学級通信』に続き、「豊富な実例」を通して川端先生の学級経営アイデアが学べる1冊となっています。まずは、本書のねらいと特徴について教えてください。

 教室環境づくりは注目されづらいジャンルですが(特に中学校では)、それを逆手にとって学級経営の武器にすることがねらいです。主体性やメタ認知をする力、自己有用感や学級への所属感などを生徒に養うためには成長の可視化が重要だと考え、教室環境に焦点を当てました。
 本書の特徴は、読者の先生が明日からさっそく使える内容であることです。それぞれの実例の活用法をかなり具体的に取り上げた他、活動する上でのヒントとステップも紹介しています。

―小学校の教室は、装飾や掲示物がたくさんあって華やかなイメージがありますが、中学校でも、先生が「教室環境」を大切にされる理由は何でしょうか。

 中学校では、学習に集中させるといった学習規律の面から、あえて教室掲示を控える場合もあります。しかし、多感な時期を迎える中学生こそ、教室で安心して過ごせるようにすることが大切です。教室環境を整えると、教室がただの場所から特別な居場所に変化します。また、掲示物が充実すると、教室をきれいに保つ意識や皆で学習に集中する雰囲気が自然と高まります。

―本書で紹介する教室環境づくりのアイデアは、1つ1つが学級活動と連動して「生徒とつくる」スタイルになっているのも特徴ですよね。実例ページでは、それぞれの活動のねらいや指導の流れ、時間配分、教師・生徒の発言例なども紹介されていますが、これらは学級の中でどのように活用・応用できるでしょうか。

 学活の時間は、生徒が活発に作業などをしていても、ともすれば意図やねらいが不明瞭になりがちです。本書の活動例では、学級活動の中に教室環境づくりを位置付け、ねらいも明確にしています。生徒が楽しみながらも個人の力や集団としての力を高めることができるように、活動を具体的に紹介しました。また、発言例は私が担任をした生徒の実際の発言を基にしたので、参考になると思います。

―本書で紹介されている実践の中で、特におススメの(生徒に人気の)取り組みは何でしょうか。

 すべてがおススメと言いたいところですが、生徒に人気なのは「誘惑撃退&悪魔のささやき」「心の中の鬼退治」など、人としての弱さを出し合う活動です。本音を出して語り合うことが、クラスメートを共感的に受け入れたり、前向きにがんばろうとしたりするきっかけになるようです。
 私のおススメは、学級目標の掲示物です。学級目標は、学級経営の柱です。本書で紹介するような作品に仕上げると、生徒は目標を強く意識しながら学校生活を送るようになります。

―最後に、読者の先生方へメッセージをお願いいたします。

 世の中には、学級経営の達人といえる先生方がたくさんいますが、私は違います。咄嗟に生徒の心に響くようなことを言う自信も力量もありません。だからこそ、教室という空間を武器にして生徒と向き合います。進級や卒業の時に、生徒に「このクラスでよかった。こんなに素敵な場所だったから。」と思ってもらいたいと考えながら、日々工夫をしています。
 学校現場でもICTの活用が広がり、皆が一緒に教室で学ぶ意義が問われています。そんな今こそ、教室環境づくりを工夫してみませんか?

(構成:大江)
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