- まえがき
- 本書の使い方
- 第1章 単元を貫く学習課題でつくる地理的分野の授業
- 1 単元を貫く学習課題の設定12
- 2 地理的分野で働かせたい「社会的な見方・考え方」
- Column 1》地理的分野におけるワークシート作成のポイント
- 第2章 「世界と日本の地域構成」の授業展開&ワークシート
- 1 世界の地域構成
- 地球が水の惑星と呼ばれる理由を考えよう(1/6時間)
- 2 日本の地域構成
- 47都道府県と都道府県庁所在地をグループに分けよう(4/5時間)
- Column 2》世界地理におけるアクティブ・ラーニングのポイント
- 第3章 「世界の様々な地域」の授業展開&ワークシート
- 3 世界各地の人々の生活と環境
- 地域による生活のちがいについて関心を高めよう(1/8時間)
- 乾燥帯の自然環境と生活の変化について資料から読み取ろう(3/8時間)
- 4 アジア州
- アジアへの関心が変化した理由を予測しよう(1/8時間)
- インドでICT産業が発展する理由を他国と比べながら考えよう(6/8時間)
- 5 ヨーロッパ州
- EUの拡大による利点と問題点について考えよう(2/7時間)
- ヨーロッパの工業が拡大した理由について理解しよう(4/7時間)
- 6 アフリカ州
- アフリカの産業について資料から読み取ろう(3/5時間)
- 7 北アメリカ州
- 北アメリカの自然や暮らす人々の特色を理解しよう(1/5時間)
- アメリカの文化の背景について理解しよう(4/5時間)
- 8 南アメリカ州
- 南アメリカの経済成長と環境問題を関連付けて理解しよう(2/4時間)
- 9 オセアニア州
- オセアニア州と他地域の結び付きについて考えよう(3/4時間)
- Column 3》日本地理におけるアクティブ・ラーニングのポイント
- 第4章 「日本の様々な地域」の授業展開&ワークシート
- 10 地域調査の手法
- 等高線や縮尺,地図記号を理解して地形図を読み取ろう(2/5時間)
- 11 日本の地域的特色と地域区分
- 日本の地域区分を理解して地図に表現しよう(2/10時間)
- 日本列島の地形の特色について理解しよう(3/10時間)
- 防災と減災に必要なことについて考えよう(6/10時間)
- 産業が地域や年代によってどのように変化しているか考えよう(9/10時間)
- 12 九州地方
- 九州の農業における環境保全の工夫について考えよう(4/6時間)
- 環境保全のためにどのような工夫が必要か考えよう(5/6時間)
- 13 中国・四国地方
- 都市の発展と過密の問題の関連を理解しよう(2/6時間)
- 馬路村で地域おこしが成功した秘密を探ろう(4/6時間)
- 14 近畿地方
- 歴史を通して近畿への関心を高めよう(1/6時間)
- 伝統的な街並みを守ることの良さについて考えよう(2/6時間)
- 15 中部地方
- 東海地方の工業が日本有数である理由を考えよう(2/6時間)
- 東海地方の農業や漁業を他の地域と比べよう(3/6時間)
- 16 関東地方
- 東京が政治・経済・文化の中心である理由について考えよう(2/6時間)
- 東京の過密の問題を他の都市と比べよう(3/6時間)
- 17 東北地方
- 東北地方の魚の流通量が減少した理由について考えよう(3/6時間)
- 復興と東北の祭りの関連性について関心を高めよう(5/6時間)
- 18 北海道地方
- 北海道の寒さと広さの価値について考えよう(2/6時間)
- 北海道の農業がどのような役割を果たしているか理解しよう(3/6時間)
- 19 地域の在り方
- 地域の課題について理解しよう(1/5時間)
- 課題の解決に向けての見通しをもとう(4/5時間)
- 付録 「単元を貫く学習課題」に対するまとめの例
- あとがき
まえがき
新学習指導要領の実施に伴い,社会科の授業はどのように変化するのでしょうか。「主体的・対話的で深い学び」「見方・考え方」「カリキュラム・マネジメント」などの新しい概念については,文部科学省の資料でも様々な説明がされ,関連書籍も発行されるなど,理論面での理解は広がっているように思います。
しかし,教室で毎時間,生徒と向き合いながら授業を行う際に,それらの新しい概念をどのように生かせば良いのでしょうか。経験の少ない先生方や,多忙な中で教材研究の時間を確保できない先生方にとって,一から授業の形や内容を考えるのは現実的ではありません。
また,「これまでと大きく変わるわけではない」と楽観視する意見もありますが,必ずしもそうは言いきれません。学習する知識や技能に同じ部分があったとしても,生徒が「見方・考え方」を働かせる機会を確保して「主体的・対話的で深い学び」を実現できるように,単元の計画や授業の展開を新たにデザインしなければならないからです。これまでの授業実践の経験や研究の蓄積を生かしながら,新学習指導要領に合わせて授業改善を図る必要があります。
そこで,本書は新学習指導要領に沿って,地理的分野におけるすべての単元を取り上げ,各単元の目標と各時間の目標と概要,主な授業の展開例とワークシートを掲載しています。授業展開例には,地理的な「見方・考え方」を働かせるポイントを具体的に示しています。
また,すべての単元において「単元を貫く学習課題」を設定しました。「主体的・対話的で深い学び」の内,特に「深い学び」を実現するためには,単元のまとまりの中で課題を追究していくことが大切です。そこで,新学習指導要領の内容に基づき,地理的分野のすべての単元に関して,単元を貫く学習課題を設定しました。巻末には,その解答例を掲載しています。このように新学習指導要領に基づいて,網羅的に地理的分野の学習指導について取り上げたのは,おそらく初めての試みかと思います。研究授業などの特別な機会に活用するというよりは,日常の授業改善に資するものを目指しました。
以上のように,汎用性の高い内容にすると同時に,単なるマニュアル本やノウハウ本にならないように配慮しました。本書の実践例や単元計画には,新学習指導要領のねらいや内容を反映させています。授業実践例や単元計画を通して,新学習指導要領の趣旨が理解できるように心がけました。
本書で示した単元を貫く学習課題の有用性や,生徒が「見方・考え方」を授業の中で働かせるための方法については,今後の研究を通して,一層精査する必要があると考えます。本書を足がかりにして,これからの社会科の授業の在り方について議論が深まり,実践が広がっていけば幸いです。
2019年1月 /川端 裕介
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