著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
困ったときの相談相手であり学級経営のサポーター
上越教育大学教職大学院教授赤坂真二
2020/2/27 掲載
 今回は赤坂真二先生に、新刊『クラスを最高の笑顔にする!学級経営365日 困った時の突破術』シリーズについて伺いました。

赤坂 真二あかさか しんじ

1965年新潟県生まれ。上越教育大学教職大学院教授。学校心理士。19年間の小学校勤務では、アドラー心理学的アプローチの学級経営に取り組み、子どものやる気と自信を高める学級づくりについて実証的な研究を進めてきた。2008年4月から、即戦力となる若手教師の育成、主に小中学校現職教師の再教育にかかわりながら、講演や執筆を行う。
『学級経営大全』(2020)、『アドラー心理学で変わる学級経営 勇気づけのクラスづくり』(2019)、『最高の学級づくりパーフェクトガイド』(2018)、『資質・能力を育てる問題解決型学級経営』(2018、以上明治図書)ほか、著書・編著書多数。

― まず、今回の「学級経営365日 困った時の突破術」シリーズの趣旨とねらいについて教えて下さい。

 学級経営は、予測不能な出来事の連続です。理想を掲げ、周到に計画を立てても想定外のことが起こります。学級経営の腕を上げるには、想定外のこと、つまりハプニングやトラブルに強くなることです。本書には、学級経営における「困った」を解決する対処法が示してあります。ハプニング・トラブル解決を通して、クラスが育ち、自分の力量も向上する一石二鳥を狙えます。

― 本書の第1章では、赤坂先生より「学級経営の鉄則」をご紹介いただいています。本書内で詳しく解説されていますが、この鉄則について教えて下さい。

 教育活動は、マネジメントなのです。マネジメントの本質は、「他者を通して目的を達成すること」です。つまり、マネジメントする相手との良好な関係性なくして教育活動の成功はないのです。学級経営も当然、同じ原理です。学級経営の鉄則は、子どもとの良好な関係性の構築が最大のポイントです。

― 今回のシリーズは低学年・中学年・高学年の3冊シリーズで、それぞれの学年・発達段階に対応した実践を、豊富にご紹介いただいています。低学年・中学年・高学年それぞれの特徴と、それに応じた取り組みのポイントについて教えて下さい。

 低学年・中学年・高学年の発達段階は、言うまでもなく異なりますが、学級経営で取り組むことは、主に次の3つです。

@教室にあたたかな関係をつくること
A仲間とかかわりあうために必要なことを教えること
B自分たちの問題は自分たちで解決できるよう支援すること

 各発達段階で異なるのは、この配分です。低学年ではAが高くなり、高学年はBが高くなります。しかし、どの発達段階においても欠くべからざることは@です。教室をあたたかなかかわりのある環境にすることが学級経営における最たる基本と言えます。

― 本書では1年間365日の月ごとに、「困った場面」の具体的なエピソードをQとして挙げて、それに対してのAとして、具体的な対応と成功のポイントがまとめられています。困っている時の「治療法」としてだけでなく、「予防」やクラスの「育成」にも使える構成となっていますが、「ピンチ」を打破して「チャンス」に変えていくには、何が大切でしょうか。

 大切なことはただ一つ、教師の「考え方」です。ピンチを、「厄介事」と捉えるか「成長の機会」と捉えるか、「忌避」するか「歓迎」するか、その時に「悩む」か「考える」か。こうした、教師の考え方一つで、子どもたちの姿が180度違うと言っていいでしょう。学級経営がうまくいくかいかないか、子どもが育つか育たないかは、子どもに出会う前に既にある程度決まっていると言っていいのかもしれません。

― 最後に、読者の先生方へ、メッセージをお願い致します。

 本書は、教師の考え方や発想を変えてくれます。教師の見方が変わったら、ゴミの山が宝の山に見えることでしょう。子どもたちのクレームが、学級改善の助言に聞こえることでしょう。百戦錬磨の実践家からのメッセージが、あなたの「困った」に力強く寄り添ってくれます。

(構成:及川)

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