著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
50のアイデアを生かして読書活動を始めよう!
放送大学客員准教授塩谷 京子ほか
2018/8/31 掲載
今回は塩谷京子先生・小谷田照代先生・山本泰子先生に、新刊『小学校 明日からできる! 読書活動アイデア事典』について伺いました。

塩谷 京子しおや きょうこ

静岡県静岡市に生まれる。放送大学客員准教授,関西大学大学院総合情報学研究科博士課程修了,博士(情報学)。静岡市公立小学校教諭・司書教諭,関西大学初等部(中高等部兼務)専任教諭を経て現職。関西大学・昭和女子大学非常勤講師を併任。教育工学,学習環境デザインを専攻。主な著書に,『司書教諭の実務マニュアル シオヤ先生の仕事術』明治図書(2017),『すぐ実践できる情報スキル50―学校図書館を活用して育む基礎力』ミネルヴァ書房(2016)など。

小谷田 照代こやた てるよ

兵庫県豊岡市に生まれる。静岡県沼津市立静浦小中一貫学校教諭・司書教諭,都留文科大学卒業。兵庫県神戸市立小学校教諭を経て現職。平成8年司書教諭資格取得。

山本 泰子やまもと やすこ

静岡県沼津市に生まれる。静岡県沼津市立静浦小中一貫学校学校司書,上越教育大学卒業。沼津市立中学校講師,沼津市立小学校教諭,沼津市立小中学校学校司書を経て現職。

―本書には『小学校 明日からできる! 読書活動アイデア事典』というタイトル通り、様々な読書活動のアイデアが掲載されています。まずは、読書活動の魅力を教えてください。

 塩谷:新学習指導要領国語において、小学校では日常生活、中学校では社会生活という言葉が使われています。また、知識及び技能では、「学んだことを理解し、使うこと」という表現が繰り返し出てきます。
 子供の学びを教科書の教材文や本文から日常生活へ広げたい、日常生活で使わせたいと思ったとき、多くの活動が考えられます。それらの中で読書活動は、どの学校でもどの分野でも可能なことが一番の魅力です。つまり、隙間時間でも、そして誰でも、学校内で読書活動ができる環境がどの学校にも整っているということです。

―本書には、様々な読書活動のアイデアが掲載されていますが、特に子供たちに人気があった、評判がよかったという活動があれば教えてください。

 山本:「アイデア11 偉人の存在を知る」では、伝記を選ぶ手がかりとして、偉人たちの「名言」に注目しました。名言を生んだ偉人の体験に、興味をもつ子がたくさんいました。名言と体験がつながると、読みたい伝記を迷わずに選ぶことができました。
 「アイデア24 挿絵を比べる」では、絵本の挿絵を大きく丁寧に見せました。挿絵を目にすると、子供の想像力が全開となります。初めて見る挿絵に驚き、疑問や共感の声が飛び交いました。

―読書活動は、学級活動や国語だけではなく、様々な教科等で取り入れることができそうだと本書を読んで感じました。国語以外の教科の授業の中に、どのように読書活動を位置付ければよいのか、そのポイントを教えてください。

 小谷田:国語以外の教科等の教科書を丁寧に見ていくと、実は関係ある本が図書館にはたくさんあります。理科の昆虫(3年)、体のつくり(4年、5年)、社会の昔のくらし(3年)、農業(5年)、歴史(6年)などの単元は、本の数もたくさんあります。
 単元のねらいに到達するために、読書活動を取り入れた方がよいと判断した場合、単元計画を立てるときに、単元のどこで読書活動を設定するのかを考えます。授業で使った後は、学年、単元、使った本をリスト化しておくと、次年度以降の参考になります。

―ところで、本書は、静岡県沼津市立静浦小中一貫学校の実践がもとになっており、表紙にも学校図書館の写真を使わせていただいています。静岡県沼津市立静浦小中一貫学校は、読書活動に力を入れているということですが、どのような取り組みを行っているのでしょうか。

 小谷田:全校の子供に、「読書は楽しい」「本は役に立つ」と思って欲しいと考えました。そのために、まず図書館に足を運びやすい工夫をしています。そして、子供が本を読むだけではなく、アウトプットする場をセットで設けるように心がけています。読んだ後に、内容を友達に伝える活動を入れることで、自分の読みを整理でき、相手からも評価されることで、より本への興味をもち、読書への意欲が増すようになりました。

―最後に、本書のアイデアを生かして、たくさんの読書活動を取り入れていこう!という読者の方にメッセージをお願いします。

 塩谷:本書は、授業に読書活動を組み込みたいときに、単元のはじめ、単元の終わり、特別活動、モジュールの時間の4つの場面からアイデアを探し出せるようにしました。
例えば、単元はじめならば動機付けを、単元終わりならば発展を視野に入れ、読書活動を通してねらいへと到達するように、授業をつくることができます。
 活動はいくつもあり、教師は常にねらいに対して適切な活動を選んでいます。その一つに、読書活動があります。50のアイデアは、子供の読みたい、知りたいという気持ちを、隙間時間に取り入れられるものばかりです。ぜひ、取り組んでみてください。

(構成:茅野)
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