著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
「論理ベース」の視点を取り入れて、国語科の授業改善をしよう!
梅光学院大学准教授香月 正登
2017/9/5 掲載

香月 正登かつき まさと

1967年(昭和42年)福岡県生まれ。山口大学大学院修士課程修了。山口県公立小学校教員を経て、現在、梅光学院大学子ども学部准教授。全国大学国語教育学会員、中国・国語教育探究の会事務局長、「ことばの学び」をひらく会代表を務める。実践学の構築を目指し、精力的に現場での授業を続けている。

―本書では「論理ベース」の国語科授業が提案されています。まずは「論理ベース」とはどういうことなのか、簡単に教えてください。

 論理ベースというのは、対象とことば、ことばとことばの関係を学習の中心に置いて、子どもが考え(論理)を創りだしていく学びをベースにしているという意味です。教科の本質にどう子どもたちを向かわせていけば、ことばにかかわって、ぐんぐん考える力を身に付けてくれるか、そんな問題意識の表れでもあります。教材内容の確認作業や先生の思考を辿らせるような授業、そういうものを突破したいですね。

―第2章で紹介されている「学びの基礎体力をつくる指導」とは具体的にどのようなものでしょうか。また、この指導を行うことでどのような効果がありますか。

 本書では、声づくりや三文スピーチ、ノートづくりなどを挙げています。日常のちょっとした指導を積み重ねることで、その効果は絶大です。例えば、声づくり一つにしても、授業中の発言は明瞭になり、自信をもって発言する子が増えてきます。音読・群読も上手です。合唱にもつながります。声は個性の表れでもあります。声の文化が広がることで、学びが開かれていくのです。

―第3章以降では、「話すこと・聞くこと」「書くこと」「読むこと」の領域の指導の要点と授業展開例が示されています。こちらはどのように活用できるでしょうか。

 各領域の指導の要点は、領域固有の問題に対する現時点での考えです。その点を踏まえて、実践例を見ていただくと、意図をよりくみ取っていただけると思います。もちろん、逆も可能ですね。実践例は、できるだけ再現可能な形で記述していますので、ぜひ、試してみてください。第3章以降は、論理ベースの国語科授業の各論です。批判的思考(よいものはよい、改善すべきは改善する)で、役立てていただけると幸いです。

―新学習指導要領では、主体的・対話的で深い学び(アクティブ・ラーニング)の視点からの授業改善が必要とされていますが、「論理ベース」の国語科授業とはどのように関連しているでしょうか。

 論理ベースの国語科授業は、主体的・対話的で深い学び(アクティブ・ラーニング)を具体的に提示したものです。そもそも学ぶとはどういうことか、そういう根本的な問題にも立ち返りながら授業づくりを考えています。国語科が長年抱えている教科内容の曖昧さや、教材論優先で、授業論に向かわない国語科授業のさまざまな問題に向き合って、授業改善を図ろうとしています。

―最後に、全国の小学校で国語を教える先生方に一言お願い致します。

 この春から大学に勤めています。大学に入って分かったことは、小学校での国語科の授業がどれほど大事かということです。小学校での学びは、確実に大学での学びに引き継がれています。読む力、書く力、話す・聞く力、すべての土台は小学校の国語科の授業にあるのです。今は、飛び込みでしか小学校現場での授業ができませんが、これからも国語科の授業のあり方を探究して参ります。ともにがんばりましょう!

(構成:木山)
コメントの一覧
1件あります。
    • 1
    • 名無しさん
    • 2017/12/31 14:35:56
    論理ベースとは何かよくわからない。言及されていない。


コメントの受付は終了しました。