著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
教師の授業力を上げ、子どもの学力を高めるための本当のツボと道筋
上越教育大学教職大学院スタッフ
2014/7/16 掲載
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  • 教師力・仕事術

―本書は『学び続ける教師になるためのガイドブック』シリーズの1冊で、テーマは「学力向上・授業力向上編」です。本書は、どのようなねらいでまとめられたものでしょうか?提案された背景にある先生の想いも含め、教えて下さい。

 先生方が学び続けるためには、学び続けるための根拠となる理論とそれを実践にいかすためのヒントが必要です。それもいたずらに労力をかけるのでなく、忙しい毎日の中でも楽しく効率的にやれることが大切です。したがって、本書では、忙しい毎日を過ごす先生方が、楽しく理論と実践を往還できるようにまとめられています。(第2章担当 水落芳明)

―本書はテーマが、「学力向上、授業力向上」ですが、今、話題となっている 学力を高めていくポイントは何でしょうか?教えて下さい。

 一番大切なのは、本気で考える子どもの姿を引き出すことではないでしょうか。そのために、探究心を持続させる単元づくり、本気で考えたくなる発問、学び合う仲間とのコミュニケイティブなかかわりの組織が、授業づくりのポイントであると考えます。仲間と一緒に学ぶ喜びを実感しながら学力を身に付けてほしいですね。(第3章担当 佐藤多佳子)

―「知識・技能」「思考力・判断力・表現力等」とともにあげられる学力の3要素として、その重要性が指摘されるのが「学習意欲」です。もっとも状況が深刻とも言われるこの学習意欲を高めていくには、どのような取り組みが必要でしょうか?

 授業の多くは、教科書教材をそのまま用いて授業を展開しています。しかしながら、結果として「学習意欲」がもっとも深刻な状況であることを考えると、教材に手を加えて、子どもたちを引きつけるようにアレンジすることも一つの方法です。ちょっとしたアレンジでも授業が劇的に変わることがあります。(第4章担当 松沢要一)

―学力を高めるには、「評価」とそのフィードバックについても、大きなポイントと言われます。評価を考えるにあたってのポイントについて教えて下さい。

 子どもは今どのような状態にあるのか、次にどのような状態を目指すべきなのか。このことが明確に子どもにフィードバックされてこそ学力は高まります。その意味で、評価の本質はフィードバックといえます。優れた授業実践を特徴づける教師の手立ての多くは、正にこのフィードバックの具体的手法であるとさえ言えるでしょう。(第5章担当 岩ア 浩)

―タイトルに「学び続ける教師」とありますが、「学力向上・授業力向上」ができる教師になるためには、どんなことに留意して学べばいいのでしょうか。

 教師を取り巻く問題は、多岐にわたります。自分にとって一番必要な学びとは何かを知るために、自らの授業の振る舞いを冷静に自己分析する必要があります。そこで自らの授業風景をビデオ録画することをお勧めします。録画直後は冷静に見られませんので、数日たってから第三者的な目で見ると、課題が見えてきます。ここからが教師としての学びのスタートです。(第6章担当 桐生 徹)

―最後に、読者の先生方へメッセージをお願い致します。

 「学力向上・授業力向上」の目的はどういうことなのでしょうか?学び続けることで教師の力量を高めることです。しかし、それは、教師自身のためだけでしょうか? 違いますね。それは、教師の力量に基づき、幼児・児童・生徒の様々な資質・能力をはぐくみ、子ども一人一人の「人生を生き抜く力」を高めるためです。学び続ける教師の力量形成とは、「すべては子どもたちのために」あるのです。 (第8章担当 木村吉彦)

編者:赤坂 真二へんじゃ:あかさか しんじ

1965年、新潟県生まれ。上越教育大学教職大学院准教授。19年間の公立小学校勤務の後、現職。学校心理士。アドラー心理学に基づくクラス会議、勇気づけを研究。主な著書に『スペシャリスト直伝! 学級を最高のチームにする極意』『赤坂真二―エピソードで語る教師力の極意』『スペシャリスト直伝!学級づくり成功の極意』『担任がしなければならない学級づくりの仕事12か月 小学校高学年』 (以上、明治図書)などがある。

編者:西川 純へんじゃ:にしかわ じゅん

1959年、東京都生まれ。上越教育大学教職大学院教授。博士(学校教育学)。臨床教科教育学会会長。『学び合い』(二重括弧の学び合い)を提唱。主な著書に『クラスが元気になる!「学び合い」スタートブック』『クラスがうまくいく! 『学び合い』ステップアップ』(以上、学陽書房)などがある。

執筆者:上越教育大学教職大学院スタッフしっぴつしゃ:じょうえつきょういくだいがくきょうしょくだいがくいんスタッフ

平成20年4月に教員養成に特化した専門職大学院としてスタート。地域と連携しながら学校課題の解決を実現する「学校支援プロジェクト」並びに、他に類を見ない協働力を育成することをねらった特徴的カリキュラムで注目を集める。

赤坂 真二 上越教育大学教職大学院准教授
西川  純 上越教育大学教職大学院教授
水落 芳明 上越教育大学教職大学院教授
佐藤多佳子 上越教育大学教職大学院准教授
松沢 要一 上越教育大学教職大学院教授
岩ア  浩 上越教育大学教職大学院教授
桐生  徹 上越教育大学教職大学院准教授
松井千鶴子 上越教育大学教職大学院准教授
木村 吉彦 上越教育大学教職大学院教授
加藤 哲則 上越教育大学教職大学院准教授

(構成:及川)

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