著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
次世代を担う教師の育成に必要なこととは
岐阜市立木之本小学校教頭須田 敏男
2014/7/17 掲載
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  • 教職課程・教員研修
 今回は須田敏男先生に、新刊『若手教員指導 成功の秘訣 −現場教師の悩みを解決!−』について伺いました。

須田 敏男すだ としお

1954年岐阜県生まれ。岐阜大学教育学部卒業後、公立小学校の教師となる。教師歴37年。現在、岐阜市立小学校教頭、全国公立学校教頭会副会長(平成25年度)を務める。
2011年、米国NLP協会認定トレーナーアソシエイトの資格を取得。
脳科学に基づいたストレス解消やコミュニケーション能力向上のプログラムを開発し、子ども会、家庭教育学級、企業内研修などで保護者対象の講演や教職員対象の自己啓発セミナーを実施している。
また、地域の教育力向上に役立つ、「アクション120」を提唱し、十余年自治会長を務め、地域活性化に積極的に取り組み、住民対象に自己啓発講座を行っている。
著書等『誰でも必ずうまくなる! 新任教師の授業づくり』(学陽書房)、連載「NLP心理学に学ぶ学級経営」(教育新聞)

―学校現場から見て、若手教員を「指導する側」の現在の状況について、どうお考えですか?

 若手教員を育てるベテラン教師の大量退職が続く今日、若手を早く一人前に育てなければなりません。現状では、私たちが育った頃のようなゆとりがなく、即戦力となる人材が求められ、若手教員が育ちにくい環境にあります。いかに早く一人前の教師に育てるかが、鍵になります。これには、指導する側の力量が問われることになります。若手教員にも厳しい時代ですが、育てるベテラン教師にも厳しい時代だと思います。

―若手教員指導において、一番大切になってくると思われることは何でしょうか?

 若手教員が「やる気をもって、自分の願いの実現に向かう努力ができる」環境を作ることだと思います。そのためには、若手の願いをわかってくれるベテラン教師がそばにいることが重要です。未熟である若手教員でも、自信をもって、安心して実践することが力量を伸ばすことになります。

―本書では、指導に役立つ考え方としてNLP心理学についても取り上げられていますが、具体的に教員指導にどのように応用することができますか?

 いろいろありますが、言葉の影響の大きさを脳科学のレベルで考えた「ニューロロジカルレベル」の活用が一番わかりやすく、有効だと思います。言葉の意識レベルへの影響を扱うことは、日頃の言葉の使い方に気を付けることになります。心の深い部分を傷つけないように、「アイデンティティレベル」ではなく、「行動レベル」や「環境レベル」の問題を指摘することで、適切なやり方を教えたり、環境を一緒に整えたりすることができます。また、逆に「アイデンティティレベル」をほめるような、自信と誇りをもたせるための言葉かけをニューロロジカルレベルから考えることもできます。

―教員指導において、最終的にめざすべき目標は、どこにおいたらよいのでしょうか?

 次代を担う若手教員たちです。私たちベテランがいなくなっても安心して任せられる自立した若手教員を育てることが必要になります。つまり、自らの教育実践に自信をもち、歩み続ける姿が最終目標です。
 そのためにも若手教員が自立するまでは「何が必要なのか」を探り続け、若手教員に寄り添いながら、若手教員と共に歩み続け、時間の許す限りベテラン教師としてのもてる力を発揮してほしいと思います。

―最後に、読者の先生方にメッセージをお願いします。

 ベテラン教師としての自信は、そのまま若手教員に伝わります。そして、若手教師を思いやる優しいまなざしと、質を求め続ける厳しい姿勢を貫き通すことが、若手教師を育てることになります。
 あなたのベテラン教師としての生き方そのものが、若手教員の将来の姿となって反映されます。やり甲斐をもって若手教員と関わっていただきたいと思います。

(構成:松川)
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