担任がしなければならない学級づくりの仕事12か月 小学校高学年

担任がしなければならない学級づくりの仕事12か月 小学校高学年

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学級づくりは学校教育の基盤づくりです。学級づくりが成功してこそ教育活動がスムーズに運びます。そうした学級づくりには押さえなければならないアイテムがあります。その高学年のアイテムの効果的達成法を全部収録し、ストレートに解明しました。


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ISBN:
978-4-18-287212-9
ジャンル:
学級経営
刊行:
2刷
対象:
小学校
仕様:
B5判 100頁
状態:
絶版
出荷:
復刊次第

目次

もくじの詳細表示

はじめに
T 学級担任・学級づくりの仕事への構えと重点
1 なぜ,学級づくりをするのか
2 高学年の学級づくりのはずしてはならないポイント
U 高学年の学級担任がやるべきこと
T 一学期の仕事
■1 子どもとの出会い
■2 学級目標づくり
■3 座席決め
■4 日直・当番活動
■5 給食指導
■6 清掃指導
■7 学級経営案の構想
■8 係活動の組織づくり
■9 学級通信・一学期に伝えること
■10 朝の会・帰りの会
■11 生活と学習のルールづくり・安全指導
■12 学級会・一学期に力を入れること
■13 はじめての授業参観・学級懇談会(保護者に伝えたいこと)
■14 集団宿泊活動の指導
■15 学級イベント・一学期に指導すること
■16 人間関係づくり・一学期の重点
■17 一学期の振り返り
■18 子どもの問題行動への対応@ 学習の問題
■18 子どもの問題行動への対応A 生活の問題
■19 学級づくりの評価と指導改善
■20 夏休み前に指導しておきたいこと
U 二学期の仕事
■1 夏休み中の仕事
■2 二学期の出発
■3 日直・当番活動 やる気が低下したら
■4 学級通信・二学期に伝えること
■5 人間関係づくり・二学期の重点
■6 保護者苦情の対応
■7 家庭との連携
■8 学級イベント・二学期に指導すること
■9 学級会・二学期に力を入れること
■10 学校行事で育てること 事前事後指導
■11 二学期の振り返り
■12 冬休み前に伝えたいこと
V 三学期の仕事
■1 冬休み中にすること
■2 三学期の出発
■3 学級会・三学期に力を入れること
■4 学級通信・三学期に伝えること
■5 人間関係づくり・三学期の重点
■6 最後の授業参観・懇談会
■7 学級イベント・三学期に指導すること
■8 通信表・指導要録
■9 学級じまい・別れの演出

はじめに

 「学級担任としていろいろ頑張っているつもりだが学級がどうもうまくいかない」,「忙しい中で学級担任として効率よい学級づくりがしたい」,「学級担任として優先すべき仕事が何かを知っておきたい」という先生方に,ぜひ本書を活用いただきたいと思います。

 学級担任であれば,誰もが共通に願うのは,楽しく豊かな学級生活を築き,質の高い学習を展開し,どの子も健やかに成長できるようにすることです。そのために学級担任は,子どもたちや保護者との好ましい関係をつくり,子どもたち同士のよりよい関係を築くために努力するでしょう。また,子どもたち一人一人が希望をもって生き生きと学習や生活に取り組めるようにしたいと積極的に働きかけるに違いありません。「教育は,人間と人間との関係の上に成り立つ」のであり,「明日への希望が人を育てる」からです。

 「学級の中で子どもを育てる」ことについて,私はよく,学級を水槽,子どもを魚,水を学級の風土や雰囲気に見立てて説明しています。例えば,学級担任が,よどんだ水槽を放置したままにしていたらどうなるでしょうか。当然,魚たちは息苦しくなります。不機嫌になった魚たちは,互いにつつき合いをするかもしれません。あまりの息苦しさから,水槽から飛び出してしまう魚もいるでしょう。水槽の隅に隠れるようにして震えている魚もいるかもしれません。そして,このような水槽の中では,開けようとしない魚の口を力づくで開けてえさを注入するような効率の悪い指導が行われていることも少なくありません。学級担任として優先してしなければならない仕事は,学習や生活への細かな配慮によるあたたかく厳しい指導とともに,子どもたち自身による「よりよい学習や生活づくり」を促すような両面の指導によって,水槽の水を浄化していくことです。

 そう考えたとき,アブラハム・マズロー(A. H. Maslow)の唱えた「欲求段階説」が参考になります。人間は,第一段階の根源的な欲求である「生理的欲求」が満たされてはじめて,一段階上の欲求である「安全の欲求」を志し,さらに次の段階である「所属(帰属)欲求」や「承認(尊敬)欲求」が満たされることによって「自己実現の欲求」を志すという考え方です。つまり,えさを食べよう(成長しよう)と自ら口を開ける魚にするために,心の安定する学級を築き,一人一人の子どもが生かされるような居場所をつくり,そこで互いの頑張りを認め合えるようにするのです。そのためには,学級担任がしなければならない仕事をしっかりとしていく必要があるのです。

 年度当初の学級は,一般的にどこも似たような状況です。単なる個の集まりにすぎず,会話も交流もほとんど行われない状態です。この段階では教育効果が高まるような学級にはなっていません。しかし,これが一ヶ月も過ぎた頃になると少しずつ差が出てきます。そしてそれが年度末には大きな差になっているのです。学習や生活が楽しく進められ,「みんなと別れたくない」と涙ながらに別れを惜しむ学級があれば,学習も生活もうまくいかず,「こんな学級にはもういたくない」と言い合う学級もあります。

 勿論,年度当初のスタート時の学級の状況が異なっていることも考えられます。例えば,持ち上がりの学級と学級編制がえをした学級とではおのずと異なります。また,課題を抱えた子どもたちが多くいる学級,おだやかで真面目な子どもたちが多くいる学級などの状況の違いがある場合もあるでしょう。しかし,その状況がそのままゴールの学級の姿になるわけではありません。「名選手必ずしも名監督ならず」と言われますが,教師の世界でも似たようなことがあります。子どもたちに力を発揮させようとする場合,1+1を2にしかできない教師,ときには1+1を1にしてしまう教師と,逆に,1+1を5,あるいは10にもできる教師がいるのです。学級担任次第で,大きくプラスにもマイナスにも変化するのです。つまり,年度末の学級の状況の差は,学級担任の差なのだと心すべきです。

 楽しく豊かな学級生活を築き,質の高い学習を展開し,どの子も健やかに成長できるようにするためには,どんな学級担任が求められるでしょうか。まずは,子ども一人一人をかけがえのない存在として温かく見つめ,大切にし,教師が期待するがゆえに背伸びしてでも頑張る子どもを育てる必要があるでしょう。また,理想とする学級像をしっかりともちながらも,子どもたちの声に耳を傾けながら学級づくりに取り組んでいく学級担任の姿勢も欠かせません。このことを前提にした上で,学級担任として必ずしなければならないことをしっかりと見極め,効率的に仕事をしていく必要があるのです。

 本書は,このようなコンセプトのもと,学級担任としてどの時期に何をすべきか,どのように工夫したらよいかなどについてコンパクトにまとめています。望ましい学級づくりを通して健全な子どもを育てようとする学級担任の明日からの取り組みに,本書が少しでも役立つことを念じています。

 最後になりましたが,本書の刊行のきっかけは,「いま課題になっている学力向上にも心の教育にもに欠かせないのは学級づくりであり,そのために学級担任は必ずしなければならない仕事をしっかりすべきだ」という考えを明治図書の安藤征宏氏にぶつけたことでした。このことに共感し,本書の刊行について御尽力いただいたことに心から感謝を申しあげます。また,本企画に賛同し,ともに編集にあたっていただいた石塚忠男,脇田哲郎,赤坂真二先生と助言をいただいた東京都世田谷区立烏山北小学校の佐々木文子先生に心よりお礼を申しあげます。


  2010年1月   /杉田 洋

著者紹介

杉田 洋(すぎた ひろし)著書を検索»

文部科学省初等中等教育局教育課程課教科調査官

国立教育政策研究所教育課程研究センター教育課程調査官

赤坂 真二(あかさか しんじ)著書を検索»

上越教育大学教職大学院准教授

※この情報は、本書が刊行された当時の奥付の記載内容に基づいて作成されています。
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      明治図書

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