著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
主体的・対話的で深い学びを実現する学級経営とは
上越教育大学教職大学院教授赤坂 真二
2018/3/2 掲載
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 今回は赤坂真二先生に、新刊『資質・能力を育てる問題解決型学級経営』について伺いました。

赤坂 真二あかさか しんじ

1965年新潟県生まれ。上越教育大学教職大学院教授。学校心理士。19年間の小学校勤務では、アドラー心理学的アプローチの学級経営に取り組み、子どものやる気と自信を高める学級づくりについて実証的な研究を進めてきた。2008年4月から、即戦力となる若手教師の育成、主に小中学校現職教師の再教育にかかわりながら、講演や執筆を行う。
主な著書・編著書に、『最高の学級づくり パーフェクトガイド』『スペシャリスト直伝! 主体性とやる気を引き出す学級づくりの極意』『スペシャリスト直伝! 成功する自治的集団を育てる学級づくりの極意』『スペシャリスト直伝! 学級づくり成功の極意』『スペシャリスト直伝! 学級を最高のチームにする極意』『一人残らず笑顔にする学級開き』『最高のチームを育てる学級目標』『自ら向上する子どもを育てる学級づくり』『クラス会議入門』『いじめに強いクラスづくり』『思春期の子どもとつながる学級集団づくり』『気になる子を伸ばす指導』『信頼感で子どもとつながる学級づくり』『集団をつくるルールと指導』『やる気を引き出す全員参加の授業づくり』『アクティブ・ラーニングで学び合う授業づくり』『教室がアクティブになる学級システム』『クラスがまとまる! 協働力を高める活動づくり』『学級を最高のチームにする! 365日の集団づくり』シリーズ『授業をアクティブにする! 365日の工夫』シリーズ『職員室の関係づくりサバイバル』『保護者を味方にする教師の心得』(以上、明治図書)などがある。

―本書は、平成29年版の新学習指導要領に準拠しながら、子どもたちに必要な資質・能力を育てるための学級経営のあり方をまとめた「学級づくりバイブル」とも言える書籍ですが、まず本書のねらいと読み方について教えてください。

 現場教師ならば、その多くが学級経営の重要さを認識しています。しかし、現在の教員免許取得のプログラムで学級経営という専門科目はありません。つまり、学級経営に関しては「無免許」状態で現場に出ざるを得ないのが現状です。では、教師になってから学級経営を学ぶことができるかというと、教員研修における学級経営にかかわる研修の比重は低く、しっかりと学ぶことができているとは言えません。そうした一つの背景には、学習指導要領上にはっきりと位置づけられてこなかったことがあります。そのため学級経営は、先生方の経験則に基づく文化論になっていて、結局、一人一人がばらばらなことをやっているという実態です。しかし、新学習指導要領においては、「学級経営の充実」ということで、小学校から高等学校までその位置づけを明らかにしました。
 では、新学習指導要領に基づく学級経営の姿とはどのような姿なのでしょうか。そうした問いに答えようとしているのが本書です。

―平成29年版の新学習指導要領で示されている「資質・能力」の育成には、「学級経営」のあり方も大きくかかわってくるものだと思います。その位置づけ、またこれから目指すべき方向性について、先生のお考えをお聞かせください。

 新学習指導要領が子どもたちに身につけようとしていることは、「資質・能力」と呼ばれるこれからを生きるために必要な汎用的能力です。本書では、学習指導要領改訂の議論を踏まえて、「資質・能力」の三つの柱に優先順位をつけて、その中核を定めました。これからの学級経営とは、教科指導の基盤という限定的な役割ではなく、教科指導や子どもたちが質の高い学びができるための環境整備を含む包括的な役割を担うことでしょう。つまり、教科指導をするために学級があるのではなく、一人一人の子どもたちの学びを最適化するために学級があるという考え方です。

―表紙にもあり、第1章のタイトルにもなっている「なぜ、あなたの仕事が成果に結びつかないのか」。ドキッとする言葉でもあり、先生方の悩みの声として少なからずうかがう言葉ですが、学校現場の視点から、教えてください。

 教師としての力量をつけたくて一生懸命学んでいる先生方は大勢いらっしゃいます。しかし、その努力が思ったように実っていない方もいます。また、若い頃はうまくいっていたのに、経験年数とともにしんどさが大きくなってくるような方もいます。こうした事態に陥るのには、ある重要な視点が欠けているからだと考えています。教育という営みの本質を外しているからではないでしょうか。第1章では、教育という営みの本質を見極めることから始めます。そうすることによってこれまでの努力が再編成されると同時に、これからの努力の方向性も見えてくることでしょう。

―先生が本書で提言されている「問題解決型学級経営」は、子どもたちが社会で生きていくために、社会人として必要な力をつけるものですが、その取り組みポイントについて教えてください。

 子どもたちは、実にシンプルな原理で考え行動しています。それは、

・先生が決めたら、ぼくたちは決めないよ
・先生がやったら、ぼくたちはやらないよ

というものです。これまでの学校教育は、子どもたちが失敗することを恐れて、転ばぬ先の杖ばかりついていたように見えます。それでは問題解決能力は育ちません。問題解決能力はこれからを生きる力そのものです。教師がよかれと思ってつき続けているその杖が、子どもたちの生きる力を奪っているのです。かつては、「子どもが主役の教育」が大切にされました。それは今も変わりませんが、実態は「教師主導」どころか「教師主役」になっている教室も多いようです。子どもたちの主体性が育つ教室の実現は、「子どもたちが決めて、子どもたちが行動する」学級経営に教師がどれくらい本気で取り組むかにかかっています。

―最後に、読者の先生方へメッセージをお願いいたします。

 近年の教育界は、授業づくりと学級づくり、どちらが大事かという「不毛な議論」を繰り返してきました。本書では、そうした生産性のない議論とは決別し、子どもたちにとって本当に必要な教育とは何かを学級経営という切り口を通して述べさせていただきました。読者の皆様のこれからのお仕事に少しでも役立てば幸いです。

(構成:及川)

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