学級を最高のチームにする極意
保護者を味方にする教師の心得

学級を最高のチームにする極意保護者を味方にする教師の心得

インタビュー掲載中

保護者とのよい関係づくりが学級と子どもを育てる!

「保護者との関係が難しい」と悩む先生方に送る、実践事例集。子どもを大切にしたい、その思いは一緒のはずなのに時として生まれてしまう「ずれ」をどう防ぎ、信頼関係・協力関係を築いていけばよいか。日常の中で見落としがちな落とし穴とリカバリー法をまとめました。


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ISBN:
978-4-18-153728-9
ジャンル:
学級経営
刊行:
対象:
小・中
仕様:
A5判 144頁
状態:
在庫僅少
出荷:
2024年11月5日

目次

もくじの詳細表示

まえがき
第1章 保護者の味方になる教師が保護者を味方にする
保護者を味方にする教師の心得 理論編
1 エピソードから考えよう
(1) 本論を始める前に
(2) 「不幸な」出会い
(3) 始まってから2週間にしたこと
2 保護者の味方になる
(1) 子どもの様子を知らせる
(2) コミュニケーションへの意欲を示す
(3) 考えを伝える
(4) どう見られるかではなく何を見せるか
(5) 子どもとつながる
(6) 保護者を信頼する
「保護者を味方にする教師の心得」の使い方
※第2章の実践編は,下記の内容を中心にして,各執筆者が,それぞれの主張を展開しています。
@保護者を味方にする考え方
▲保護者を味方にする上で大事にしている基本的な考え方,ポイントなどについてまとめました。
A保護者を味方にする具体的な取り組み
▲保護者を味方にすることができた具体的な実践を,はじめて取り組む方にも追試できるよう,わかりやすく解説しました。
▲成功させるコツ,また失敗しそうなところと失敗してしまった際のリカバリーの方法についても,ポイントをまとめています。
第2章 保護者を味方にする教師の心得
保護者を味方にする教師の心得 実践編
小学校
1 共に育てる仲間となるために,子どもとつながり,保護者とつながり,保護者をつなごう!
1 若さと情熱で道を切り開けるのか
2 思いを届け,子どもたちの姿で語ろう!
(1) 「有言実行」学級だよりで自分の思いを発信すべし!
(2) 子どもたちのがんばりや成長を見せつけるべし!
(3) 「きちんと見守っている」と感じてもらおう!
(4) 保護者とつながり,保護者をつなごう!
3 子どもとつながり,保護者とつながり,地域とつながろう!
2 懐に飛び込む
1 保護者との関係をよくする理由と方法
(1) 保護者との関係をよくする理由
(2) 保護者との関係をよくする方法
2 保護者の懐に飛び込もう
(1) いつも笑顔でいる
(2) 信頼される
(3) 自己開示する
3 保護者の味方になる
3 保護者と仲良くなれれば子どもも育つ〜保護者との関係をよくする〜
1 学級経営の中に保護者経営あり!
2 保護者の担任信頼が子どもの担任信頼につながる
3 SNSで情報が広がる時代における保護者経営
(1) 保護者を味方にできた具体例
(2) 保護者を味方にできた具体例A
4 保護者を味方にする教師の心得
4 保護者の一番の味方になる
1 保護者の「?」にアプローチ!
(1) 保護者の願いから
(2) 保護者の不安から
(3) 保護者の要望から
2 協働に向かう変化を起こそう!
(1) 教師に対する見方が変わる〜子どもをよく見る〜
(2) 保護者の子どもへの接し方が変わる〜よさを伝える〜
(3) 保護者の意識が変わる〜ねらいを伝え活動を見てもらう〜
3 目指すは,子どもの成長
(1) 保護者の味方になるために
(2) 謙虚に,信念をもって
5 愛と理解の先に,共感と協力がある
1 違いを理解して,視点を変える
(1) 立ち位置と役割の違い
(2) 「or」ではなく「and」
(3) 相手を信頼することが視点変換の秘訣
2 視点を変えると,保護者も変わる
3 やはり基本は,誠実に謙虚に接すること
6 保護者の安全基地になる
1 初任時代の失敗
2 保護者に安心感を
(1) 懇談会も授業参観も保護者と楽しむ
(2) 学級という「密室」を開放し,「見える化」する
3 学級を開放し,自分も開く
中学校
7 担任は「どう思っているのか」を見せつける!
1 保護者と担任で同じものを見る
2 大事にしてきたこと
(1) 最初の学級懇談で,生徒のよいところを全体で報告!
(2) 学級だよりでつながる
(3) 電話よりもメールよりも直接話す
(4) 保護者一人一人とつながるチャンスを大事にする
3 生徒と担任と,保護者と担任と
8 保護者の協力を得る教師の心得〜学級の「見える化」で保護者に安心感を〜
1 「子どもの幸せ」を共に目指して
2 学級の「見える化」を目指した具体的実践
(1) 学級の様子を保護者に向けて発信し続ける
(2) 学級の課題をありのままに伝える
(3) 最初の授業参観で勝負する
3 保護者との良好な関係性は一日にしてならず
9 計算してもうまくいかないから,もっと本音で勝負しよう!
1 謙虚になる
2 「安心<不安」から「安心>不安」へ
3 顔を合わせる
4 情報を伝えること
5 自然体で接する
10 保護者とつながり,保護者とチーム化を目指す学級・学年づくり
1 保護者を味方にする基本的な考え方
(1) 初対面を大切にする
(2) 学級経営方針を伝えていく
(3) 具体的な子どもの姿で語る
(4) 話を共感して聞く
(5) 丁寧な言葉遣いを心がける
(6) 電話は短く
(7) 足で稼ぐ
(8) 面談は正装で
(9) 一人で悩まず,報告をして責任分散
(10) クレームに対して
(11) 問題行動に対しての鉄則
2 保護者を味方にすることができた具体的事例
(1) 家庭訪問でのエピソード
(2) 学年保護者との関係をつくった懇親会
(3) 学年だより
(4) 保護者面談
3 私が大切にしていること
11 保護者もこの時を共に生きる仲間〜本気で付き合う〜
1 私なんて失敗だらけです!
2 誠意って何だ?
3 私の失敗
(1) なんて言えばいいのかわからない
(2) 教えてあげる!
(3) 「後で」は失敗のもと
4 保護者との関係はドラマチック!
(1) 確かに経験は少ないです!
(2) 不信感をあらわにしていた恭輔の父親
5 保護者に連絡をとるときには
(1) 「今お時間よろしいでしょうか」
(2) 事実だけを伝える
(3) 保護者の気持ちをくむ
(4) より具体的に生徒の気持ちを伝える
(5) それでも不信感をもたれたら
12 生徒との信頼関係が保護者からの信頼を生む
1 保護者が望むことは何なのか?
2 実践が保護者に認められた取り組み
(1) 学級通信第1号
(2) 日常の取り組み〜一言日記の継続〜
(3) 部活動での出来事
3 ピンチはチャンスに変える
(1) 迷ったら連絡をとるべき
(2) “I”メッセージで伝えた出来事
4 私の基本スタンス
(1) 生徒と地域と共に活動を楽しむ
(2) 主役は生徒
あとがき

まえがき

 今時の教員養成は,私が教員免許を取得した頃に比べて随分と進化しました。大学によって差があることでしょうが,採用試験対策も指導案づくりも驚くほど丁寧になされています。それだけ現場のニーズは切実になり,「即戦力」の人材を求めているからでしょうか。しかし,今後教員養成がどんなに進化しようとも,なかなか学ばれないであろう分野が保護者との信頼関係づくりです。


 模擬授業を何度繰り返そうと,教育実習を何週間体験しようと,そこは体験できない世界


です。

 そこは,保護者とプロである教師だけが共有できる真剣勝負の場です。そこには,模擬も練習も実習もありません。常に本番なのです。いや,「ロールプレイやって,練習しているよ」と仰る大学関係者もいるかもしれません。しかし,それは保護者の本気の思いに触れたことがないからそんなことが言えるのです。ロールプレイで何度涙を流そうが,それはどこまで行っても「練習」です。本書を手にする方の多くが,学校の教師だと思います。教師ならば,数回は保護者の本気に向き合って,驚きや戸惑いを感じたことがあるはずです。なぜ,私たちは保護者の思いに圧倒されるのでしょうか。それは,子どもの教育は,


 教師にとっては仕事でも,保護者にとっては人生だから


です。

 しかし,この真剣勝負は,教師と保護者が戦うという意味ではありません。教師と保護者が敵対してはならないことは言うまでもありません。教師と保護者は,協働のパートナーです。協働して子どもたちの幸せという共通の目的のために手と手を取り合います。ところが,いつの間にか「保護者対応」という言葉が職員室で流通するようになりました。

 「保護者対応」というとどこか対立的なニュアンスを感じませんか。皆さんは,あまり,そうした感じを受けませんか。保護者同士が,「ねえねえ,今度の教師対応どうする?」なんてやりとりをしていたらいかがですか。そこに信頼関係を築こうとする構えを見出すことはできますか。ただ,元々「対応」という言葉には,対立的な意味はないようです。広辞苑第六版によると,「@互いに向き合うこと,A両者の関係がつりあうこと,B相手や状況に応じて事をすること」とあります。しかし,近年は「モンスター」とか「クレーマー」にまつわる保護者との関係に水を差すような事例が多数起こり,対立的な意味合いを含んできたのかもしれません。

 ここでもう一度原点に返りたくて,本書をまとめました。少なくとも圧倒的多数の保護者は最初から,「モンスター」や「クレーマー」になっているわけではないはずです。ごく一部の事例からすべてを断じてはならないと思います。よい教育のためには保護者の協力が必要です。保護者と信頼関係をつくり,どのように協力を得ていくべきか,澤村力也,永地志乃,内藤慎治,岡田順子,宇野弘恵,北森恵,山本宏幸,吉田聡,渡部智和,松井晃一,堀川真理,井口真紀の小中12氏の教師の実践を通して,考えてみてください。

 彼らはいろいろな「やり方」を通して保護者とつながっています。しかし,本当に読み取っていただきたいのはその「やり方」の奥にある,彼らの「あり方」です。保護者は,教師がどうやるか見ているのでなく,どのような教師なのかを感じているのです。

 本書が,皆さんの保護者とのよりよい関係づくりのために役立つであろうことを確信しています。


   /赤坂 真二

著者紹介

赤坂 真二(あかさか しんじ)著書を検索»

1965年新潟県生まれ。上越教育大学教職大学院教授。学校心理士。19年間の小学校勤務では,アドラー心理学的アプローチの学級経営に取り組み,子どものやる気と自信を高める学級づくりについて実証的な研究を進めてきた。2008年4月から,即戦力となる若手教師の育成,主に小中学校現職教師の再教育にかかわりながら,講演や執筆を行う。

※この情報は、本書が刊行された当時の奥付の記載内容に基づいて作成されています。
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