- まえがき
- 第1章 学級開きに外せないツボ 〜笑顔で包み込む1年の始まりを演出する〜
- 「一人残らず笑顔にする学級開き 完全シナリオ」の使い方
- ※第2章以降の実践編は,下記の項目を中心にまとめています。
- @学級開きの意味と大切にしていること
- ▲執筆者の先生が大切にしていることを公開!ポイントがわかります。
- A学級開き 完全シナリオ
- ▲@を実現する学級開きシナリオ!具体的に入れていますので,参考になるところがありましたら使ってください!
- B指導のポイント
- ▲Aを実践するための指導ポイントです。児童生徒の反応などエピソードも添えました。
- 第2章 一人残らず笑顔にする学級開き 小学校低学年 完全シナリオ
- 1 安心感でスタート 1年生の学級開き
- 1 学級開きで大切にしていること
- 2 1年生の学級開き 出会いの入学式 完全シナリオ
- 3 学級開き 出会いから1週間
- 4 笑顔と勇気づけで
- 2 笑顔がこぼれる学級開き
- 1 学級開きで最も大事なこと
- 2 笑顔がこぼれる学級開き 完全シナリオ
- 3 愛情と厳しさを伝える
- 3 目指す学級をつくる第一歩
- 1 学級づくりの第一歩
- 2 安心感優先の学級開き 完全シナリオ
- 3 何のための学級開きですか
- 4 オープンハートで,子どもとつながる学級開きを!
- 1 子どもの心をグッと引き寄せる!
- 2 子どもとつながる学級開き 完全シナリオ
- 3 オープンハートで,互いの心を合わせられる学級開きを!
- 第3章 一人残らず笑顔にする学級開き 小学校中学年 完全シナリオ
- 1 ほめること,三つの印象を与えることで伸びる学級を開く
- 1 「三つの印象」を与える
- 2 私の学級開き 完全シナリオ
- 3 学級開きの「底」に流れ続けるもの
- 4 「本番」を迎えるに当たって
- 5 リンクさせる
- 2 育てたい子どもの姿を明らかにしてのぞむ学級開き
- 1 私にとって学級開きとは
- 2 育てたい子どもの姿を意識した学級開き 完全シナリオ
- 3 学級開きのポイント
- 3 子どもに希望と安心感を そして先生とのつながりを
- 1 学級づくりは船旅のイメージで
- 2 航海準備と航海初日まで 完全シナリオ
- 3 学級開きの成功とは
- 4 楽しく明るい雰囲気で希望をもたせる学級開きをしよう!
- 1 学級開きの力と役割
- 2 希望をもたせる学級開き 完全シナリオ
- 3 指導のポイント 学級開きは担任からのメッセージ
- 第4章 一人残らず笑顔にする学級開き 小学校高学年 完全シナリオ
- 1 学級開きはテイクオフへの滑走路〜ここだけ絶対外せない3要素〜
- 1 私にとって学級開きとは
- 2 安心感と楽しさを伝える学級開き 完全シナリオ
- 3 指導のポイント ダメなことはきちんと叱るルール
- 2 子どもが「希望」をもてる学級開き
- 1 学級開きで大切な視点
- 2 子どもが希望をもてる学級開き 完全シナリオ
- 3 成長しようとする雰囲気づくりを
- 3 とにかく「楽しい!」と思える1日目を
- 1 学級開きの失敗と今,大切にしていること
- 2 楽しい!と思える学級開き 完全シナリオ
- 3 指導のポイント 自分に合ったネタを
- 4 学級開きは「期待感」を高めることに徹底する
- 1 期待感を高める
- 2 期待感を高める学級開き 完全シナリオ
- 3 時間は与えられるものじゃない,つくるものだ
- 第5章 一人残らず笑顔にする学級開き 中学校 完全シナリオ
- 1 笑顔と安心で学級開き◎!!
- 1 私にとって学級開きとは…
- 2 笑顔と安心で学級開き 完全シナリオ
- 3 指導のポイント 成功のために絶対に外してはいけないこと
- 2 「愛と誠」で信頼関係をつくる
- 1 学級開きにおいて大切にしていること
- 2 「愛と誠」で信頼関係をつくる学級開き 完全シナリオ
- 3 すべての場面で教師の愛と誠が溢れる学級開きを
- 3 筋書きをつぶされた学級開き
- 1 忘れられない学級開き 1時間目
- 2 安心感と世論の形成
- 3 A君のこと 2時間目
- 4 学級開きに込めた意図
- 5 私の「普通」の学級開き
- 4 誰にとっても居心地がよいクラスに
- 1 学級開きにおいて大切にしていること
- 2 信頼と結びつきを生む学級開き 完全シナリオ
- 3 指導のポイント 成功のために絶対に外してはいけないこと
- あとがき
まえがき
これから船旅に出かけます。行き先は,夢の国。美しい景色,澄んだ空気の中で,人々はみんな笑顔,楽しいことが毎日たくさん起こる,そんなパラダイスへ旅立ちます。
しかし,希望に胸を膨らませて船に乗り込んでみたら,乗組員は無愛想で不親切,おまけに,一緒に乗っているお客たちも知り合いとばかりこそこそと話をするだけで,自分には挨拶もしません。それでも船長がしっかりしていれば,と期待しましたが,言葉は丁寧だけど,目はうつろで自信がなさそう。さっき言ったことが,数分後に覆っています。乗組員やお客にちょっと何かを言われると,明らかに動揺を隠せない様子です。そのせいか,乗組員の動きは悪く,船内の清掃や修理も滞っています。床は汚れ,壁には穴が空き,海水がそこから入り込んでいるところもあります。エンジンが黒い煙を出してときどき止まるようで,そのたびに乗組員が「またかよ」といらつきを隠せない様子で修理をしています。
この船での航海が,1年から2年続くとしたら,あなたはやはり旅に出かけますか。
学級生活は,同じ船に乗り合わせたメンバーと旅をするようなものです。子どもたちは,新しい学級,仲間,教師にそれなりに期待をしていることでしょう。その旅の初日が,「学級開き」です。子どもたちの学校生活のほとんどは,授業時間です。しかし,いきなり授業で始まるわけではありません。
新しい教室に入り,自分の座席を確認し,仲間と顔を合わせ,教師と出会います。つまり,学校生活の始まりは出会いの連続なのです。新しい時間の始まりは,教師だって不安を感じるのですから,子どもたちはなおさらのことです。学級生活の行く末がパラダイスのような夢の時間だとわかっていたら,子どもたちは出会いの不安を乗り越えることができるかもしれません。しかし,子どもたちのすべてが,これから始まる時間に明るい期待だけをもっているとは考えにくいです。また,子どもたちは,常に現在に生きる人たちです。彼らにとっては,明日よりも今が大事なのです。
子どもたちは,これから始まる時間への期待から今を見ているのではなく,今この瞬間から未来を見据えるのです。つまり,今この瞬間が心地よかったら,未来は明るいだろうと予想するだろうし,今この瞬間が不快だったら,暗い未来を予想するでしょう。
だから,「学級開き」はこれから始まる学校生活の性格をある程度決めるとても大事なイベントだと言えます。「学級づくりは最初が勝負」などと言われます。「学級開き」は,その最初の扉を開ける作業です。是非とも,子どもたちに明るい未来を予見させる時間にしていただきたいと思います。
本書は,学級づくりのスペシャリストたちに「学級開き」の考え方や成功のための方法論を示してもらいました。この16人は,自身の学級で質の高い実践を積み重ねる一方で,大学院で専門的に学級づくりを研究したり,各地でセミナーを開いたり,講師を務めたりなどして,精力的な学びと発信を続けている実力者ばかりです。小学校低学年から,中学校まで多様な発達段階のニーズに応えることができるだろうと思います。また,各執筆者の実践に共通する考え方や方法が読み取れるだろうと思います。それがまさに,「学級開き」成功の極意です。
各実践を忠実に再現するもよし,ある部分を選択的に活用するもよし,また,本書の考え方を共有し,読者が「これだったら私はもっとよい方法がある」と独自の方法で子どもたちと出会うならばなおいいでしょう。いずれの使い方をするにせよ,本書がみなさんと子どもたちの素敵な出会いの一助となることを編著者として願っております。
/赤坂 真二
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- 明治図書
- 学級開きでつかいました2015/10/430代・中学校教員
- 年度初めに大変役立った。2015/7/2540代・小学校管理職