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6月は健康診断も進行形、笑顔を絶やさないで子どもに接しようと思っても、仕事の多さに眉間にシワがよってくる、そんな養護教諭繁忙期ですね。そんな繁忙期に、○○さんが学校を休み始めて、「保健室なら行けると言っているから、保健室登校よろしくね。」と言われたら、あなたならどうしますか?
1 6月に保健室登校を始める子どもの傾向…「真面目で頑張る子どもの息切れ型」
新年度、新担任、新しい友達、そんな新しづくめの中で、真面目で頑張り屋の子どもほど、ゴールデンウイーク明けから疲れが見え始めます。遅刻が増えたな、月曜日によく休むな、そんなサインからスタートします。これは「いいところを見せたい」と、頑張ってきた子どもの息切れです。つまり、適応しようと本人は本人なりに頑張っていたのです。子どもは「なんか疲れちゃったなあ」と、学校への不適応を起こしていると言えるでしょう。
逆に、担任が誰であろうと、クラスメートが誰であろうとも「オレ流」を貫けるツワモノは不適応を起こしません。
2 保健室登校を始めた子どもへの対応のポイント
●まず、「あなたは、よくここまで頑張った」と認めてあげましょう。
児童会長をやるようなお子さんと比べてはいけません。その子なりの頑張りを認めてあげましょう。「もっと頑張っている子もいるよ」「4.5月頑張ったんだから、あなたならできる」などと励ますのは逆効果です。この時期、子どもは『やっと学校を休んだ』のです。心の不調を、学校を休むことで訴えたと考えてください。
●次に、「何ならできそう?」と子ども自身に聞いてみましょう。
できることに意識を向けるのです。「何ならできそう?」そう子どもに尋ねると子どもは「算数ならできそう」「給食を教室に食べに行くことならできそう」などと答えてくれます。中には、「保健室に来ること」と言って家から出て保健室に来るだけでやっとの子どももいます。そんなお子さんは、保健室にいるだけでもいいのです。私は「息してる」「ぼーっとしてる」そんなことも「できること」として認めています。家にいて、ゲームにはまり、昼夜逆転して、学校にいざ行きたいと思っても行けなくなってしまうお子さんも見ているので、私は、できるならまず学校に来ることを目指せばよいと考えます。
●保健室で養護教諭がつきっきりになる必要はありません。
私は、一緒に保健室内で過ごすことはしますが、お互い空間をシェアしている感じです。保健室の主ですから、マネージメントすることを放棄しているわけではありません。繁忙期には、手をかけることはできませんが、声や視線をかけています。「算数ならできそう」そう言う子どもには、空き時間の先生に教われるよう調整します。誰かと一緒にいたがり、教職員で対応ができなければ、帰宅させることも考えます。学校で提供できる支援の中身と子どものニーズをすり合わせる必要があります。子どものニーズを把握せず、「教員側のやってほしいこと」が優先すると共倒れします。
3 校内での連携のポイント
子どもはよくなりたい、大人はよくしたいと思っています。結果、本人、そして、本人を取り巻く全員(保護者、クラスメート、地域の人、担任、管理職などの教職員)が同じ目的を持っているのです。特に担任は、保健室登校の子どもが出ると自分の力不足だと自分を責めてしまう傾向にあります。さらに責任感の強い担任は、早く教室に戻そうと焦ってしまいます。焦れば焦るほど空回り、いや泥沼ということもあるでしょう。
私が一番てっとり早いと思っているのは、本人も含めて関係者が集まって話し合い、共通の目標を持つことです。子ども自身も自分が決めたことはよく守ります。「支援会議」という名称を私は使っていますが、保健室の利用の仕方を養護教諭と本人だけの口約束ではなく、支援計画という形にすることです。「こうあるべき論」ではなく、今現れている事実に基づき、立場の違う意見(本人、保護者、担任、スクールカウンセラーなど)を出し合って、スモールステップを設けます。そして、評価し、次に繋げていきます。さらに役割分担も明確にします。支援計画は、職員会議や打ち合わせで担任からこのように報告します。
「4年3組のAさんのめあては、『一日一回冗談を言って笑うこと』『担任の先生に昼休みに宿題を出すこと』です。職員の皆さんには保健室にAさんがいたら温かい声をお願いします。」
このように報告すると、保健室登校が、本人の発達に合わせた合理的配慮であることを全教職員で共通理解することができ、子ども、大人、双方WIN/WINに回っていきます。
保健室登校の子どもの対応が余分な仕事とは言えませんが、いなければやらなくて済む仕事とも言えます。ですから、「保健室登校頼むよ!」と言われたなら、「ハイか、YESか、喜んで」と言って引き受けましょう。そうすることで、あなたの保健室経営や職場における信頼がより高まるはずです。