QA解説 「特別の教科 道徳」の授業づくり
教科化時代が来た! 新しい道徳授業の創り方を解説します。
QA解説 「特別の教科 道徳」の授業づくり(8)
板書で重要な要素は?
板書の役割と今後の方向性
筑波大学附属小学校教諭加藤 宣行
2016/1/30 掲載
  • 「特別の教科 道徳」の授業づくり
  • 道徳

B先生

 「特別の教科 道徳」になるということは、従来の道徳授業のスタイルを今一度見直し、改善すべきは思い切って変えるということだと思っています。そうしなければ、何も変わらないし、教科になって縛りがきつくなるだけのように感じます。そのような改良のスタンスで授業を見たとき、一番変えるべきは発問とのことでした。では、それに伴って板書はどのように変わるのでしょうか、変わるべきなのでしょうか。従来の板書との違いを明らかにしながら教えていただけると幸いです。

加藤先生からのアドバイス

子どもたちの視野を広げ、あらゆる能力を駆使して思考をサポートするツールとして活用。

@

解説

 板書の役割は一般的に次のようなものが考えられます。

@共通のステージとして

・学習内容のポイントを提示し、共有する…ねらいに沿った伝達機能
・問題や教材を提示して共通の土俵をつくる…話し合いの活性化
・学習内容全体を俯瞰してふり返りがしやすいようにする…思考のまとめの補助
・記録として形に残す…ノートまとめの補助

A個に応じるツールとして

・個人差、能力差に対応する…視覚化することでの特別支援的配慮
・一人一人が自分の意見を書き込み、意見交流をする場として活用する…活動の保証

従来の板書

 道徳の従来の板書は、下の写真のように、話の流れに合わせて右から左へと展開します。教材の内容を把握し、共感するという目的の授業においては効果的な板書です。一方で、最初からゴールがみえており、あらかじめ期待される答えに向かって「わかりきったことを言わせたり書かせたりする」という問題提起もされています。板書も、あらかじめ用意された発問や場面絵、結論を提示するような役割が強くなり、「価値注入型」などと揶揄されることもあります。

A

テーマ発問型の板書

A テーマ発問型の授業の板書は、掲げたテーマに対して子どもたちが教材の内容をきっかけとして、さらに書かれていない観点をみつけたり、自ら書き込んで意見交流をしたりします。そのため、板書の自由度が高くなります。その分、その場勝負の要素が強くなり、指導者が明確なねらい設定をしていないと落ち着きどころがなくなる可能性があります。子どもたちにとっては、自分たちでつくりあげた板書、考えついた結論という意識が強くなり、学習成果を自分のものとして獲得しやすくなります。結果として、授業後の主体的な実践意欲へと結びついていきます。

 これからの道徳授業改善として板書を通して授業を変えたいと思うのであれば、次の点にチャレンジしてみるとよいのではないでしょうか。
○テーマを真ん中に掲げ、適宜図や記号、色チョークを駆使しながら板書をつくりあげる。
 その際に留意したいことは、「縦書き、右から左」にこだわらず、横書きであったり、真ん中から始めて行ったり来たりするような、自由な発想で板書をつくりあげる意識です。
○観点を共有したら、その観点をもとにして子どもたちに発想させ、板書に参加させる。
 板書計画をきっちり立てると、どうしても子どもたちの入る余地がなくなります。そうではなく、あらかじめ子どもたちの発想を書き込ませて仕上げるというイメージで、「立ち入るスキのある板書計画」を立てることです。
 黒板も子どもたちの主体的な学びのためのツールです。一定のルールを押さえた後で、潔く子どもたちに明け渡しましょう。きっと思いもしない世界が発見できますよ。

板書の役割を意識して、それぞれの授業スタイルの特性を踏まえた上で、効果的に活用しましょう。
板書は子どもたちの思考をサポートする重要なステージとして活用しましょう。
板書に子どもたちを参加させ、見えないものをみつけるツールとして柔軟に使いこなしましょう。

加藤 宣行かとう のぶゆき

東京生まれ。
神奈川県津久井地区公立小学校教諭を経て、現在、筑波大学附属小学校(道徳部)教諭。
筑波大学・淑徳大学講師。

(構成:茅野)
特集 「特別の教科 道徳」
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