きょういくじん会議
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教員がFA宣言? 希望の学校に転任
kyoikujin
2009/5/4 掲載

 プロ野球シーズンオフの話題の一つが、選手のFA宣言。応援している球団の中心選手がFA宣言して移籍してしまい、ショックを受けるファンも少なからずいるだろう。このFA制度、プロ野球に限ったことだけでなく、教員の間でも行われているという。

FA制度を利用した教員が活躍

 2009年1月10日の読売新聞によると、教員版FA制度というものを利用した教員が活躍しているという。教員版FA制度とは、教師が異動希望を宣言し、受け入れ先の校長と交渉の末に異動できる制度のこと。記事で紹介されている重田英明教諭は、横浜市の教員で、この制度を利用して異動した一人だ。
 重田教諭は、教師歴丸17年のときに、この制度を利用して異動したそうだ。多くの研究授業を手がけ、上司の評価が高かった重田教諭の異動宣言に、12校が指名をしたという。その中で、重田教諭は、自らの母校であり、前任校の元副校長が校長を務め、熱心に誘ってくれた下野谷小学校へ異動したそうだ。下野谷小学校では、校長の指示で校内組織の見直しに取り組み、組織の簡素化をしたことで会議の数が減り、子どもと触れ合う時間が増えたという。重田教諭は、これらの経験を生かし、今は別の小学校で副校長として活躍しているそうだ。FA制度がとてもいい形で機能した結果といえそうだ。

横浜市の取り組み

 横浜市教育委員会では、教員FA制度を2005年から始めた。対象者は、横浜市の教職員歴が6年以上で、現任校に3年以上勤務した教職員。また、学校運営・組織活性化の確かな担い手と現任校長が判断した者という条件がつく。
 FA宣言した教員の異動の流れは、希望指名制度・応募申請書を教育委員会に提出→教育委員会が、応募者の一覧を公開→指名する学校が求める人材に連絡・面談→FA宣言者が、異動に関する具申書を教育委員会に提出→異動の内示、ということになってる。
 初めてFA制度を行った年、宣言した教員は56人で、そのうち41人の異動が成立したとのこと。ただし、指名なしの教員も13人いたという。プロ野球と同じように、FA宣言をしても、指名がなければ非常に辛いところ。宣言したければ、授業力などを十分につけ、自信を持たなければならないだろう。
 横浜市では、FA制度以外に教員公募制度というものも実施している。教員公募制度は、学校長が自らの学校経営方針を明確にし、意欲ある人材を公募する制度。こちらは、学校長が求めている人材が示されるため、宣言しても採用されない可能性があるFA制度よりも手が挙げやすい、という意見もあるようだ。

 まだまだ取り入れている教育委員会が少ないFA制度だが、いろいろな問題をクリアし、教員自身が自らの働きたい学校で存分に力を発揮する環境が整えば、子どものためにもなり、とても効果的な制度になりそうだ。

この記事は、『きょういくじん会議』の記事を移転して掲載しているため、文中に『きょういくじん会議』への掲載を前提とした表現が含まれている場合があります。あらかじめご了承ください。
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