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- 学級経営
本書では、学級リーダーを「学級の成果のために、他の子どもに影響を与える」存在であると定義しています。学級リーダーはとても流動的で、時間や場面でリーダーが変わります。
また、学級リーダーの役割は多様です。本書では学級リーダーを「委員長」「副委員長」「ミニ先生」「指揮者・応援団長」「番長」「優等生」という6つのタイプに分けています。これは,「Aさんは委員長タイプ」と固定化するものではなく、1人の子どもの中に、複数のタイプのリーダーシップが内包されていると考えます。
近年、「子どもに任せる」や「子どもを主語にする」という言葉をよく目にしますが、実現するための具体的な手立てが見えない場合があるからです。子どもたちに任せるためには、リーダーが必要です。その一方で、子どもに任せると言いながら放任したり、逆に教師の操り人形のようにしたりすれば、リーダーの子どもが苦しみます。そこで、多様な役割をもつリーダーがかかわり合う場をつくり、子どもたちが自治的に学級づくりに参画できるようにすることが大切だと考えます。
自立とは、自身のよさを自覚し、自分で価値を判断して自主的に行動できる状態だと捉えています。しかも、その判断基準や行動が独りよがりではなく、集団内の他者からも認められている必要があります。子どもたちの自立が進むと、それぞれの持ち味を生かすコラボレーションによって、集団を高めることができます。それが「協働」です。教師には、子ども同士がかかわり合う場を整え、様子を見守り、思い切って任せる役割があります。
自治的な学級づくりは、一朝一夕にはできません。場面ごとに自治的な度合いを強めたり、時期や成長の様子に合わせて自治的な要素を増やしたりしましょう。学級経営を子どもと共同で行うイメージです。
学級リーダーの育成には、教師の距離感が大切です。私自身、かかわりがうまくいかずに悩み続け、子どもたちと一緒に考え、子どもたちから多くのことを学ばせてもらい、今があります。本書がきっかけになり、自治的な空気が全国の教室へ広がることを願っています。