著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
かたちと音のどちらかで得意をいかしてアルファベットを学ぼう!
NPO法人リヴォルヴ学校教育研究所小野村 哲
2020/10/30 掲載

小野村 哲おのむら さとし

1960年東京都生まれ。NPO法人リヴォルヴ学校教育研究所初代理事長。つくば市教育委員会教育委員(2016年12月〜)。大学卒業後、茨城県つくば市内の公立中学校に英語教諭として勤務し、文部省全国研究指定校中間報告会にて代表発表、茨城県教育研修センター英語科教育講座講師を務める。1999年4月、39歳で退職後、NPO法人リヴォルヴ学校教育研究所を立ち上げ、不登校児童生徒や学習につまずきがちな子どもたちの支援にあたる他、講演活動を行っている。

―本書ではアルファベットの読み書きが苦手な子どもたち向けに大文字・小文字の読み書きのワークを中心に紹介しています。まず、本書のコンセプトを教えてください。

 シンプルだからこそ難しいアルファベット。算数では満点を取るような子がここでつまずくこともありますが、その困難はサポート次第で大幅に軽減できます。30年近くに及ぶ研究と実践の成果をもとに、具体的な支援の手立てとしてまとめ、提案することが本書の目的です。

―本書の大文字・小文字の読み書き練習ワークには、文字だけでなく、かわいいイラストも併記されています。こちらにはどのようなねらいがあるのでしょうか?

 字形が似た文字を混同する子に、ただ「よく見なさい」といっても効果は期待できません。例えばhは馬のイラストに「首を長くね」と、rは「ウサギがピョンピョン、(nのように書いて)地面に頭をぶつけないでね」と具体的なアドバイスを添えられるようにしています。

―本書にはタイピング練習用のワークも収録されています。アルファベットの練習とともにタイピングの練習をすることで、どのような効果が期待できますか?

 鉛筆で書くことに困難を示す子に、例えば「bはこう、dはこっち」と同じ練習をさせれば、意欲も失せてしまいます。今後、タイピングスキルがより重要になることは確かです。アルファベットに親しむことを最初の目的とするなら、タイピングはとても有効な練習法です。

―このワークは学校の授業だけでなく、個別学習や家庭での宿題などでも活用できるものだと思いますが、いかがでしょうか?

 本書では、目からの情報と耳からの情報など、その子の認知特性に応じた手立てもご提案しています。それらは、つまずく前に生かしていただけることが理想です。学校での授業や個別支援の場はもちろんのこと、ご家庭でも活用いただければと思います。

―最後に全国で英語を教える先生方に一言メッセージをお願いします。

 本書が、今、困っている子の手助けとなり、これからつまずくかもしれない子の転ばぬ先の杖となることができたなら、幸いです。みなさんのお力を借りて、より良いものにできればとも思います。「ここはこうしたら」といったご意見やご感想もぜひお聞かせください。

著者写真撮影:小山貢弘

(構成:木山)
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