- 著者インタビュー
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石元:一番は子どもの興味・関心を高めることができることでしょう。エピソードはその人物の物語であり、物語には力があります。物語からその人物を身近に感じたり、生き方に共感したりすることができ、それがきっかけとなって歴史学習そのものが好きになる可能性があると考えています。
有馬:歴史人物のエピソード関連の書籍は数多くあり、インターネットで情報を手に入れることも容易です。私たちは、そのエピソードから授業をつくったり、授業づくりにエピソードを活用したりしたいと考えました。子どもたちに歴史の面白さを教え、社会科の資質・能力の育成を目指して、とことん、授業づくりにこだわりました。「授業づくりの研究会」が「山の麓の会」だと思っていただければと思います。
田村:どれだけ魅力的なエピソードでも、使う場面や方法を事前に計画しなければ、授業のねらいを達成できなかったり、子どもたちの思考の流れを遮ってしまったりします。
そこで、本書では「つかむ」「調べる」「まとめる」という社会科の授業構成を大切に、どこでエピソードを活用すれば効果的かを整理しました。
「つかむ」のエピソードは、興味・関心を高めたり、問いを生み出したりすることができます。「調べる」では、人物の言葉や行動の意味を考えさせることで、歴史的事象についての理解を深めさせることができるエピソードを選びました。そして、「まとめる」では、ふり返る内容を豊かにできるエピソードや、課外での追究につながると期待できるエピソードを選んでいます。
このように、本書のエピソードを活用することで、授業のねらいが達成できるものと想定しています。
中島:私個人の意見では、小野妹子が親書を紛失したエピソードが印象に残りました。私も驚きましたが、それ以上に児童が驚くと思います。その驚きを原動力にすれば、「もっと知りたい」という意欲が高まり、児童が積極的に思考する授業をつくりあげることができると思います。
印象に残るエピソードは、読者によって異なるはずです。本書のエピソードからは、新たな知識を得るだけでなく、驚きを感じることもできると思うので、楽しみながら読んでいただければと思います。
木下:まず、42人と比較して学習を深めたり、歴史的事象を多角的に見られる人物を、古くは「卑弥弓呼」から約40名を拾い上げ、吟味しました。そして共同研究・実践を行った人物を優先的に選び、次に子どもたちが日常的に、また他教科でも目にする人物に絞りました。新紙幣の肖像となる3人はその典型です。さらには、戦後史の学習を充実させるための人物を選択しました。
宗實:歴史人物の「エピソード」からつくる授業書は多くありません。そういう意味では、みなさまの歴史授業をちょっと違った角度からちょっと豊かにできる書になったと自負しています。本書を手元に置いていただき、手軽に活用していただけると幸いです。
「山の麓の会」では、これで終わりにするのではなく、本書の実践を再度授業を通してバージョンアップしていくつもりです。まだまだ授業づくりを愉しみます。ぜひ読者のみなさまも共に!
「山の麓の会」の月1の定例会にご興味ある方は、下記アドレスまでご連絡ください。どなたでもご参加いただけます。
yamanofumotonokai@gmail.com