著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
オンライン学習とは?
成城学園初等学校教諭秋山 貴俊
2020/9/18 掲載
 今回は秋山貴俊先生に、新刊『ゼロから学べるオンライン学習』について伺いました。

秋山 貴俊あきやま たかとし

1984年東京都生まれ。文教大学教育学部卒業。株式会社帝国データバンク、西武学園文理小学校を経て、現在、成城学園初等学校教諭。成城学園情報一貫推進検討委員、日本スクールコーチ協会認定スクールコーチ。

―2020年初頭から感染が拡大した新型コロナウイルスにより、学校も3月から休校となり、感染拡大が著しい地域を中心に、学校現場では2か月以上の休校を余儀なくされました。そのような中、先生方の熱意と工夫、想いが感じられるオンライン授業の実践が、数多く生まれています。まず、オンライン授業に取り組むにあたって、「はじめの一歩」となるのはどのようなことでしょうか?

 本書のタイトルは「ゼロから学べるオンライン授業」ではなく、「オンライン学習」となっています。なぜ、「オンライン学習」なのでしょうか。
 オンラインで子どもたちが学習するということは、決して教室で行われている対面授業をオンラインで受講するわけではありません。本書は、オンラインでの授業や活動のノウハウに加えて、子どもたちがオンラインで学習することについての理論・評価についても扱っています。ですので、「オンライン学習」という言葉を使っています。
 本書を手に取られる方は、教育委員会の方、管理職の方、現場の先生方など、様々なお立場の方だと思います。全ての方に共通してお伝えできることは、まずはご自身がオンライン学習を体験されることが重要だということです。YouTubeやNHK for Schoolの動画をみることでも、オンライン勉強会に参加することでもいいのでオンライン学習に触れてみることが、はじめの一歩ではないでしょうか。

―本書でも詳しく解説いただいていますがオンライン授業のメリットとデメリットにはどのようなものがあるでしょうか?また、それを補う策があれば、あわせて教えて下さい。

 一言でオンライン授業と言っても、授業動画の配信やZoomなどのWeb会議システムを使ったリアルタイムな授業など、形態は様々です。それぞれのメリット・デメリットを知ることが大切です。また、そのデメリットを補うためには、いくつかを組み合わせるのもよいでしょう。本書でも、いくつか組み合わせを紹介しています。例えば、Zoomとロイロノート・スクール、G suiteとロイロノート・スクールなどです。ねらいや目的に合った授業ができるとよいと思います。

―オンライン学習の取り組みの中で、先生が特にオススメの取り組み・実践がありましたら、教えて下さい。

 本書では、オンラインだから有効な実践も紹介しています。主に視覚と聴覚を使うオンラインならではの実践です。本書で紹介しているレクリエーション「にらめっこ」もその例です。また、他の感覚に邪魔されないという意味では情報伝達、具体的には学習内容を解説をする動画も対面授業よりも集中して視聴できるかもしれません。

―現在のオンライン学習の取り組みは、文部科学省が推奨するGIGAスクール構想にも大きく作用し、その取り組みが加速化するとも言われています。通常の対面授業とオンライン学習の併用など、今後、どのような可能性が考えられるでしょうか?

 今回のコロナ禍で、不登校だった子がオンライン授業に参加できたなどの事例もあります。オンライン学習は対面授業の代替ではありませんし、両極にあるものではありません。通常の学校活動のなかでICTをどのように活用するか、学校として教員として考えていくことが大切です。私はこの夏休みにオンラインを活用した夏休みの宿題を出しています。子どもたちの学習の様子は毎日確認できますし、サポートをすることもできます。学校、授業、宿題といった概念をGIGAスクール構想を機に考え直せればよいと思っています。

―最後に読者の先生方へ、メッセージをお願い致します。

 本書は、オンライン学習をゼロから学びたい方に向けて書いたものです。監修いただいた石井英真先生、このシリーズの生みの親である長瀬拓也先生をはじめ10名以上の全国の優秀な先生方の知見や実践をまとめることができました。私たちは、コロナ禍を乗り切るためのノウハウだけではなく、「これからの時代のオンライン学習」について執筆するという共通の思いで本書を書きました。内容ももちろんですが、その思いも感じていただければ幸いです。

(構成:及川)

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