- 著者インタビュー
- 授業全般
本書のタイトルは「ゼロから学べるオンライン授業」ではなく、「オンライン学習」となっています。なぜ、「オンライン学習」なのでしょうか。
オンラインで子どもたちが学習するということは、決して教室で行われている対面授業をオンラインで受講するわけではありません。本書は、オンラインでの授業や活動のノウハウに加えて、子どもたちがオンラインで学習することについての理論・評価についても扱っています。ですので、「オンライン学習」という言葉を使っています。
本書を手に取られる方は、教育委員会の方、管理職の方、現場の先生方など、様々なお立場の方だと思います。全ての方に共通してお伝えできることは、まずはご自身がオンライン学習を体験されることが重要だということです。YouTubeやNHK for Schoolの動画をみることでも、オンライン勉強会に参加することでもいいのでオンライン学習に触れてみることが、はじめの一歩ではないでしょうか。
一言でオンライン授業と言っても、授業動画の配信やZoomなどのWeb会議システムを使ったリアルタイムな授業など、形態は様々です。それぞれのメリット・デメリットを知ることが大切です。また、そのデメリットを補うためには、いくつかを組み合わせるのもよいでしょう。本書でも、いくつか組み合わせを紹介しています。例えば、Zoomとロイロノート・スクール、G suiteとロイロノート・スクールなどです。ねらいや目的に合った授業ができるとよいと思います。
本書では、オンラインだから有効な実践も紹介しています。主に視覚と聴覚を使うオンラインならではの実践です。本書で紹介しているレクリエーション「にらめっこ」もその例です。また、他の感覚に邪魔されないという意味では情報伝達、具体的には学習内容を解説をする動画も対面授業よりも集中して視聴できるかもしれません。
今回のコロナ禍で、不登校だった子がオンライン授業に参加できたなどの事例もあります。オンライン学習は対面授業の代替ではありませんし、両極にあるものではありません。通常の学校活動のなかでICTをどのように活用するか、学校として教員として考えていくことが大切です。私はこの夏休みにオンラインを活用した夏休みの宿題を出しています。子どもたちの学習の様子は毎日確認できますし、サポートをすることもできます。学校、授業、宿題といった概念をGIGAスクール構想を機に考え直せればよいと思っています。
本書は、オンライン学習をゼロから学びたい方に向けて書いたものです。監修いただいた石井英真先生、このシリーズの生みの親である長瀬拓也先生をはじめ10名以上の全国の優秀な先生方の知見や実践をまとめることができました。私たちは、コロナ禍を乗り切るためのノウハウだけではなく、「これからの時代のオンライン学習」について執筆するという共通の思いで本書を書きました。内容ももちろんですが、その思いも感じていただければ幸いです。