- 著者インタビュー
- 国語
評価の基本は「目標に準拠した評価」を推進することです。例えば算数の第2学年の指導事項「乗法九九について知り、1位数と1位数との乗法の計算が確実にできること。」を指導するのであれば、それをそのまま評価規準に準用して評価を進めることができます。これに対して国語科では、指導事項の構造上、その趣旨をより精緻に『解説国語編』で把握し、評価規準に反映させることで評価を的確に進められるという特質を有しています。つまり、もうひと手間かけることで、より指導と評価が進めやすくなるのです。こうしたことが、国語科における本来的な評価の在り方とも言えるでしょう。本書は、その「もうひと手間」をどうかければよいのか、その秘訣を解説したものとなっています。
評価の改善は、授業改善と一体となって進むものです。例えば子供にとって必要性を感じられない状況で特定の知識を与え、その暗記の量を基に評価することでは十分ではないでしょう。むしろ、子供が自らの課題の解決に向けて、必要となる知識を獲得したり、それらを用いたりできるようしっかりと手立てを講じながら学習状況を評価することで、指導に生きる評価を実現することができます。つまり、授業改善を進める中でこそ、評価が一層的確なものとなり、評価が的確さを増すことで、授業改善が更に進んでいくのです。そのため、評価の改善を進める上で授業改善は不可欠です。本書では、そうした授業改善の参考としていただけるよう、全国の優れた実践を集積して事例として提示しています。いずれも、指導事項の本来的な趣旨をしっかりと踏まえ、ねらいを実現する言語活動を明確に位置付け、子供のよさや可能性を引き出す実践事例となっています。
評価は、子供のよさを教師と子供、保護者等が共有するためのものでもあります。本章は、豊富な実践を積んだ先生方にご協力いただき、所見の文例を示したものとなっています。所見を書く際に参考にしていただくことはもちろん、子供のよさを見取る際の視点としても活用いただければと願っております。
年度当初の休校期間等により、これまで以上に限られた中で効果的な指導を行うことが求められています。国語科では、付けたい力を明確にし、指導と評価を重点的に進めることが大切なものとなります。そうした際の指導と評価のヒントとして本書をご活用いただきたいと考えています。また、実践事例や所見文例、評価規準の設定例などについては、各学校等の実態に応じて柔軟に加工修正しながら活用いただければ幸いです。さらに、力を合わせて困難を乗り越えるためにも、本書を校内研修でもぜひご活用いただければと願っています。
先の見通せない困難な状況の中にあっても、全国の学校関係者の皆様におかれては、大変な中をご尽力いただいていることと思います。本書がそうした皆様の指導と評価の改善の一助となることを切に願っています。