著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
受信力を高めて、日々の教師力をアップデートしよう!
金城学院大学教授森上 一美
2018/6/6 掲載
 今回は森上一美先生に、新刊『信頼される教師の受信力―子どもも保護者もついてくる40の法則』について伺いました。

森上 一美もりかみ かずみ

昭和56年4月から名古屋の公立中学校教諭、平成7年4月から名古屋の公立小学校教務主任、平成12年4月から名古屋の公立小学校教頭、平成21年4月から名古屋の公立小学校長を経て平成30年4月より金城学院大学人間科学部現代子ども教育学科教授。

―本書のテーマである「受信力」(受信スペック)とはどのような力を表しているのでしょうか?簡単にご紹介ください。

 本書の受信力は、教師として子ども理解や保護者理解をする力を表しています。子どもを理解するとか、保護者を理解するということは、見えているものだけでとらえるのでは不十分です。見えないもの、つまり、心の内面をとらえていくためには、的確に問うて思いや気持ちを発信してもらったり、じっくりと継続的に観察し続けていったりすることが大切です。

―また、教師という立場では発信することの方が多いと思いますが、受信力を磨くことにはどのような意味があるのでしょうか?

 教師の使命で最も重要なことは、どんな思いで発信したかでなく、それを受信する子どもたちや保護者にどのように伝わったのか、どのような情動のゆさぶりができたのかです。子ども理解や保護者理解が不十分であれば、教師の志が的確に受けとめてもらえず、間違ったメッセージが伝わってしまいます。

―本書では、子どもに対する受信力や保護者に対する受信力、また教職員や地域の方々に対する受信力と様々なシーンでの受信力についてのポイントが書かれていますが、この40の法則はどのような観点で選ばれたのでしょうか。

 まずは、信頼される本物の教師をめざす上で必要不可欠な心構えや姿勢として重要なものという観点です。そして学級担任として、いじめ問題への重要な対応や発達特性のある子どもたちへの適切な対応などの観点です。そして管理職として開かれた学校経営をしていく上での観点です。

―本書は実際にどのような場面で活用ができるでしょうか。

 毎日の教育活動において、教師が常時こういった心構えで子どもたちや保護者への働きかけをしていけば、絆が結ばれ、信頼関係が構築できます。また、事案が発生しても逆に子どもたちや保護者との信頼が生まれたり、深まったりする契機となる対処法が身につきます。また、危機管理意識を高めるためにも有効です。

―最後に読者の先生方に一言、メッセージをお願いいたします。

 人を育てる、人と人の絆が豊かに結ばれていくことは、学校教育だけでなく、家庭教育においても、社会においても、すべての人々がそれぞれの立場で心から願っていることです。発信力をより充実させていくためにも、より大きく広く深く受信力を高めていくことで、みんなが立ちゆく道を歩めるようになります。

(構成:木山)
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