著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
問題解決的な発問で、楽しくてためになる道徳授業へ!
岐阜大学大学院教育学研究科准教授柳沼 良太
2018/4/13 掲載
 今回は柳沼良太先生に、新刊『小学校道徳科 「問題解決的な学習」をつくるキー発問50』について伺いました。

柳沼 良太やぎぬま りょうた

早稲田大学大学院文学研究科博士後期課程修了、博士(文学)。早稲田大学文学部助手、山形短期大学専任講師を経て、現在、岐阜大学大学院教育学研究科准教授。中央教育審議会道徳教育専門部会委員、学習指導要領解説特別の教科 道徳編作成協力者、日本道徳教育学会理事。

―まずは本書の構成とねらいについて、簡単にご紹介ください。

 「考え、議論する道徳」を行おうと「問題解決的な学習」にチャレンジしても、なかなかうまくいかないことがあります。それは、子どもの「主体的・対話的で深い学び」を促すための、当意即妙な発問ができていないためです。
 そこで本書では、教師が道徳科で「問題解決的な学習」をするうえで有効活用できるキー発問を50精選し、その実践例とともに提示しました。本書を熟読して実践していただければ、より楽しくて充実した「問題解決的な学習」を展開できるようになります。

―本書では、授業で活用できるように8テーマ50の発問の事例をご紹介いただきましたが、特にイチオシの発問がありましたら、お教えください。

 「何が問題になっているのか?」「自分ならどうするか?」を問うことで問題を発見し、その解決に取り組む学習が成り立ちます。こうした問題の根本をとらえ、主体的に判断するよう促す発問が、授業の骨格をつくります。
 また、「相手の立場ならどうするか?」と他者の立場を考慮したり、「別の場面でも応用できるか?」と汎用性を吟味したりする発問もおすすめです。多面的・多角的な発問こそが、子どもの視野を広め、深く啓発していきます。

―本書の中で、「問題解決的な学習」を実践するにあたり、想定問答を念頭に入れることの重要性について挙げられていますが、もし教師が想定したものとは異なる子どもの意見が出てしまったときに、教師はどのように対処すればよいのでしょうか? 有効な対処法がありましたら、ぜひお教えください。

 「問題解決的な学習」では、子どもは自由な発想で多様な意見を出すものです。そういうときは、子どもの意見を共感的に理解し、柔軟かつ即興的に授業展開を組み立て直すことが大事になります。
 「どうしてそう思うの?」(理由・根拠)、「そうしたら、どうなるだろう?」(結果の予想)、「それで皆が幸せになれるか?」(互恵性)などのキー発問を適宜取り入れると、確実に収斂していきますので大丈夫です。想定問答との違いを楽しみつつ、納得できるまでとことん話し合いたいものです。

―本書は「特別の教科 道徳」に対応していますが、これからの道徳授業では、どのようなことを大切にしていけばよいでしょうか?

 道徳科では、口先だけの意見表明で終わらず、自己の生き方や人間としての生き方を根本から追究し、生きる指針を洞察する「深い学び」とすることが大切です。
 そのためには、子ども自身が問題を自分事としてとらえ、「現状はどうなっているのか?」と分析したり、「本当にそれでいいのか?」と批判したり、「本当ならどうしたいのか?」と本心で考えたりすることが有効です。こうしたキー発問は道徳教育全体とも響き合わせ、実効性を高めたいところです。

―最後に、読者の先生方へメッセージをお願いいたします。

 問題解決的な発問を取り入れることで、道徳科は楽しくてためになる授業へと質的転換します。発問が変わることで、授業の形態がアクティブになり、子どもたちの反応もポジティブに変わっていきます。
 ぜひ、本書で示したキー発問50や実践例を参考にして、使えそうな発問からどんどん気楽に取り入れて、クリエイティブな授業改善にお役立てください。まずは、先生方ご自身が道徳的な問答を楽しみながら、子どもたちと一緒に問題解決にチャレンジしていただきたいです。

(構成:赤木)
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