- 著者インタビュー
- 道徳
忙しい学校の先生に気軽に読んでもらえるよう、道徳の授業で大切にしてもらいたいポイントや、教科化で変わるところ/変わらないところを、50のQ&Aでわかりやすく説きました。どこから読んでもかまわない構成と内容になっています。授業づくりのテクニックだけでなく、道徳教育の原理や歴史など、授業の背景をなすものについても、わかりやすく説明しています。
ふっふっふ、それは秘密です(笑)。……まぁ隠すことは何もないのですが、「びー」が富山、「しん」が沖縄にいた頃に、美的な教育という研究テーマのつながりで互いの存在を知り、その後富山大学で、さらには異動先の愛知教育大学でも同僚になりました。どちらかと言えば「しん」は理論から考え、「びー」は経験から考えるという違いはありますが、教育における想像力の大切さの認識では共通しており、互いにとても尊敬しあう仲です。
もっとも多く聞かれるのは、道徳科の評価に関する不安です。まぁ、教科になるのも評価が始まるのも初めてのことなので無理もありません。ただ、詳しくは本書を読んでほしいのですが、道徳科の評価は客観的な到達度を評価するようなものではなく、子どもたちの成長を認めて励ますことが基本です。できるだけ負担を減らし実害(!)もない評価の方針が示されているので、肩の力を抜いて、子どもたちと素直に向き合ってもらえればいいのではないかと思います。
子どもから学び、子どもとともに育つ姿勢を忘れないようにしてほしいと思います。道徳の授業は誰にとっても難しく、うまくいかなくて当たり前、むしろ失敗から学ぶくらいの姿勢のほうが、子どもたちも先生もいい意味で楽に成長していけるでしょう。人は簡単には変えられず、親や先生の願いどおりに育った子どももいません。子ども自身の育つ力を信じつつ、先生自身の自分らしさを示しながら授業に臨むといいのではないでしょうか。
大人も子どもも、人から「やらされる」ことは面倒で辛いものです。道徳も「教科化されたから仕方なく」と受け止めると苦しくなります。授業の枠組みは変わっても「他人とともによりよく生きる」という道徳の本質は変わりません。道徳の授業は(あるいはそもそも学校教育は)いくらでも先生の専門性を発揮できる自由度の高いものです。やらされる仕事の多い今日の学校現場ですが、本質と自分を見失わないで主体的な授業を展開していってください。