- 著者インタビュー
- 保健・体育
準備運動となる5分程度の運動を構想する際、次の3つのつながりを大事にしています。1つ目は、「主となる活動と身体的につながること」。2つ目は、「主となる活動と思考的につながること」。3つ目は、「仲間とのつながること」です。身体的な準備のみならず、頭や心もしっかりほぐし、授業に向かうことも準備運動の目的です。この3つすべてが包括されていれば言うことありませんが、どれか1つの要素でもあれば十分だと考えています。
運動自体が楽しくなるということが理想です。しかし、すべてがそうではなくても、発達段階に応じて、様々な工夫により楽しい時間にすることができます。勝敗や達成できるかどうかを楽しむ「ゲーム化」、リズムに合わせて体を動かす「リズム化」、仲間と動きを同調して楽しむ「そろえる」、自分のでき具合や成長を可視化することで楽しむ「数値化」、動きの美しさやダイナミックさを楽しむ「できばえ」。このような視点で準備運動に工夫を加えてみてください。きっとたくさんの笑顔が広がります!
テンションが低いときは、クラスやグループで1つになれるものがいいですね。16ページの「カウントダウンランニング」「みんなでいっしょ!」や97ページの「リーダーを探せ」などは盛り上がります。落ち着きのないときは、逆に1人ないし2人で夢中になれるものがいいですね。36ページの「シンクロあんたがたどこさ」や63ページの「かぜになろう!」などは、じっくり運動に向かうことができます。もちろん学年やクラスの状況に応じて選択していくことは忘れてはいけません。
ともに体を動かすことで、心があたたかくなります。心がつながります。人と人のつながりをつくることができます。体を動かすことにはそのような大きな力があります。体育の授業のみならず、様々な場面で活用することができます。クラス遊び、親子活動、異学年交流といった場面もいいですね。人数や場、時間やその目的に応じた運動を選択していくことで、より効果的に活動できるでしょう。
授業がはじまる時間になっても、だらだらと集まっている子どもたち。先生が準備するための間、ひまそうにしている子どもたち。特になんの準備にもなっていない運動をしている子どもたち…こんなスタートの5分になっていないでしょうか。
この5分、年間105時間の体育(高学年は90時間)の毎5分と考えると、大きな大きな時間になります。たかが5分、されど5分です。この5分で、多くのことが可能にもなります。
授業がスタートした最初の5分から、子どもたちが期待で胸をふくらませ、ワクワクした顔であふれる授業にするために、本書が一助となれば幸いです。