著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
最初の5分でワクワク感があふれ出す!
大阪府箕面市立萱野小学校垣内 幸太
2017/7/6 掲載
 今回は関西体育授業研究会事務局の垣内幸太先生に、新刊『導入5分が授業を決める!「準備運動」絶対成功の指導BOOK』について伺いました。

垣内 幸太かきうち こうた

1974年 兵庫県生まれ。大阪教育大学教育学部卒業。
2009年 関西体育授業研究会設立。
「体育科の地位向上」を合言葉に発足。月1回程度の定例会、毎年7月に団体演技講習会、11月に研究大会を開催。
2015年 授業力&学級づくり研究会設立。
「子ども、保護者、教師。みんな幸せ!」を合言葉に発足。月1回程度の定例会、年4回程度の公開学習会を開催。

―体育授業における「準備運動」は、文字通りウォーミングアップ的なイメージをもっている先生が多いと思いますが、体をほぐす以外の目的もあるのでしょうか。

 準備運動となる5分程度の運動を構想する際、次の3つのつながりを大事にしています。1つ目は、「主となる活動と身体的につながること」。2つ目は、「主となる活動と思考的につながること」。3つ目は、「仲間とのつながること」です。身体的な準備のみならず、頭や心もしっかりほぐし、授業に向かうことも準備運動の目的です。この3つすべてが包括されていれば言うことありませんが、どれか1つの要素でもあれば十分だと考えています。

―準備運動というと、ルーティンワークやドリルのような、単調な反復練習になりがちかと思うのですが、子どもたちにとって楽しい時間になるような工夫をぜひ教えてください。

 運動自体が楽しくなるということが理想です。しかし、すべてがそうではなくても、発達段階に応じて、様々な工夫により楽しい時間にすることができます。勝敗や達成できるかどうかを楽しむ「ゲーム化」、リズムに合わせて体を動かす「リズム化」、仲間と動きを同調して楽しむ「そろえる」、自分のでき具合や成長を可視化することで楽しむ「数値化」、動きの美しさやダイナミックさを楽しむ「できばえ」。このような視点で準備運動に工夫を加えてみてください。きっとたくさんの笑顔が広がります!

―子どもたちのテンションが低いときにおすすめの準備運動、逆に、子どもたちが落ち着きのないときにおすすめの準備運動を、本書の中からいくつか紹介していただけますか。

 テンションが低いときは、クラスやグループで1つになれるものがいいですね。16ページの「カウントダウンランニング」「みんなでいっしょ!」や97ページの「リーダーを探せ」などは盛り上がります。落ち着きのないときは、逆に1人ないし2人で夢中になれるものがいいですね。36ページの「シンクロあんたがたどこさ」や63ページの「かぜになろう!」などは、じっくり運動に向かうことができます。もちろん学年やクラスの状況に応じて選択していくことは忘れてはいけません。

―本書には、体育授業以外でも使える5分ネタも収録されていますね。子どもたち、また保護者など、複数の人が集まった場面で、ちょっとした体を動かす活動を取り入れるメリットと、取り入れる際のポイントを教えてください。

 ともに体を動かすことで、心があたたかくなります。心がつながります。人と人のつながりをつくることができます。体を動かすことにはそのような大きな力があります。体育の授業のみならず、様々な場面で活用することができます。クラス遊び、親子活動、異学年交流といった場面もいいですね。人数や場、時間やその目的に応じた運動を選択していくことで、より効果的に活動できるでしょう。

―最後に、読者の先生方へ向け、メッセージをお願いします。

 授業がはじまる時間になっても、だらだらと集まっている子どもたち。先生が準備するための間、ひまそうにしている子どもたち。特になんの準備にもなっていない運動をしている子どもたち…こんなスタートの5分になっていないでしょうか。
 この5分、年間105時間の体育(高学年は90時間)の毎5分と考えると、大きな大きな時間になります。たかが5分、されど5分です。この5分で、多くのことが可能にもなります。
 授業がスタートした最初の5分から、子どもたちが期待で胸をふくらませ、ワクワクした顔であふれる授業にするために、本書が一助となれば幸いです。

(構成:木村)

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