著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
「見栄え」と「達成感」を両立する!運動会の新定番
大阪府箕面市立西小学校教諭日野 英之
2017/7/5 掲載
 今回は関西体育授業研究会事務局の日野英之先生に、新刊『団体演技でみんなが輝く!「フラッグ運動」絶対成功の指導BOOK』について伺いました。

日野 英之ひの ひでゆき

1982年愛媛県生まれ。信州大学教育学部卒業。所属関西体育授業研究会「体育科の地位向上」を合言葉に設立より発足。月1回程度の定例会、毎年7月に団体演技講習会、11月に研究大会を開催。授業力&学級づくり研究会「子ども、保護者、教師。みんな幸せ!」を合言葉に発足。月1回程度の定例会、年4回程度の公開学習会を開催。

―フラッグ運動はどのような団体演技なのでしょうか。フラッグ運動の魅力とともに教えてください。

 簡潔に言えば,「旗」を用いた団体演技です。
 旗を「上げる、下げる、回す」操作と体の動きを組み合わせることで技が生まれます。その技は子どもがやってみたいと思える、憧れを抱く格好のよい技です。個として十分に輝きを放つ技が、集団となって放たれた時、“迫力”となって観客を魅了します。動きの一体感、“1つ”となった音は子どもの努力の賜物です。
 格好のよい技に主役感、技を獲得するまでの過程に努力感、そして…“1つ”の音に一体感を味わうことができる。それがフラッグ運動です!

―運動会で取り組む団体演技は、子どもたちの達成感と観客の感動の両方を実現したいですね。そんな団体演技をつくるコツは何でしょうか。

 子どもたちの達成感と観客の感動はイコールだと思っています。
 子どもたちが達成感に満ちてやり切った姿、満足感を抱いて退場していく姿に、観る者はこれまでの過程と努力してきた姿を重ね、感動します。そう考えた時、コツになるかどうかはわかりませんが、いかに子どもたちに達成感や満足感(やりがい)を感じさせるかに尽きるかと思います。
 そのために、いかに魅力的な技を示して主役感を感じ取らせるか、努力感を要するためにどんな技を選択するのか、どのようにして一体感を感じさせるのかといったあたりが大切になってくるかと思います。

―本書にはDVDが付属されています。本書とあわせて活用の仕方を教えてください。

 本書の画像や解説だけでわかっていただけるように作成したつもりですが、動きの細部や旗操作まで十分にお示しすることのできなかった部分もあります。読んでいただいて、「これだけではよくわからないな」と思われた技につきましてはDVDを活用して頂ければと思います。
 すぐに技を覚えられない子どもや技の練磨のために、業間休みや給食準備時間等で映像を流すというのも有効な活用法です。

―これから秋の運動会に向け、初めてフラッグ運動に挑戦する場合、まず何から取り組むとよいでしょうか。

 本書を活用していただければ演目の作成はできるかと思います。構成や技、曲はもちろん、そのまま使うことのできるカウント表も掲載されています。今、育んでおきたいことは「子どもと教師、子どもと子どもの関係性」「学びに向かう主体性」「学年の協調性」ではないでしょうか。
 いくら良き素材があったとしても、指導者側と子どもとの間に信頼関係が構築されていなかったり、「取り組みたい!」という気持ちがなかったり、仲間と協力できる環境がなければ上記の満足感や達成感は得られないと思います。

―最後に、読者の先生方へ向け、メッセージをお願いします。

 団体演技は、運動会の中で「花形」種目です。練習でも団体演技に、先生方はたくさんの時間と労力を割かれます。それは子どもにとっても同じことです。子どもが何を獲得するのか、どんな想いを抱くのかは教師次第です。たくさんの時間と労力を子どもたちにとって価値あるものにするかどうかは教師次第です。団体演技を通して身につけた自信が、達成感が更なる学級の“高まり”を、学年の“高まり”を生み出します。“高まり”の一助に本書を活用して頂ければ幸いです。
 本書に書かれていることを元にした実技研修会を毎年夏(今夏は7月29日(土))に大阪教育大学附属池田小学校で開催しています。ぜひお越しください!

●運動会団体演技 フラッグ実技研修会
http://kantaiken.jp/wp-content/uploads/2017/05/フラッグ実技研修会.pdf

(構成:木村)
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